表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

1

 私は今モーレツにキレている。

 しかし、学校では品行方正そのものの学生として通っているから、そんじょそこらで怒りをブチまけるにはいかなかった。

 だから、学校帰りに行きつけの喫茶店の小部屋に入った。防音仕様になっていて外に聞こえないはずだ。私も仏様ほど気は長くない。早速――


「あのバカタレギャル女が! なんで! 連絡を! 寄越しやしねーんだよ! 私はオマエにとってなんなんだよ!!!」


 カバンに入っていた赤にラッピングされたチョコを、怒りに任せて漆塗りのテーブルに叩きつけようとしたときだった。

 ピロピロリン♪

 スマホからメッセージを受け取った音がして、ひとまず己の早まった行動に急ブレーキがかかった。

 メッセージの差出人が目に入った瞬間、胸が大きく高鳴った。

 アイリからだ。


『連絡が遅くなってごめんなさい。おととい――2月13日――の夜から高熱が出たと思ったら、インフルエンザにかかったみたいで……。昨日――2月14日――はスマホを操作する余裕もなく、ずっと寝てました。今はこうして少し余裕ができたからメッセージを送れたの。本当に約束を破ってごめんなさい。インフルエンザが治ったら約束の喫茶店でおいしいスイーツを食べようね』


 何度も首を上下させて冷静になるまで文面を読み込む。頭が冷えて理解ができた途端、自己チュー的な自分の情けなさに腹が立った。とりあえず、自分でみぞおち辺りにパンチをした。我ながらキレイに入ってしまい、くの字になっているところを店員に女の子に見られた。死ぬほど恥ずかしいぞコノヤロウ。


「大丈夫ですか?」

「ただの腹痛でして。今日は失礼致します。また近々伺いますので」

「は、はぁ……」


 よし、なんとかお嬢様ボイスとスマイルでごまかした……と思う。

 店を出て駅に向かう。確か1回だけ近辺で待ち合わせて遊びに行ったことがあったはず。

 うっすらとした記憶を頼りに、私は駅の改札のくぐった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ