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28 シントン=マーブ
「ぬう、」
好き勝手に空を翔ける黒い龍からの攻撃に、儂はずっと苛まれていた。男一人が乗れる程度の子供のドラゴンではあったが、しかし、その小ささ故のすばしこさによって、こちらから何とか行っている攻撃は全て躱されてしまっているのだ。そして、向こうからの攻撃にも手を焼いている。儂を狙うのならばまだしも、作業員や火薬庫を標的にされているのだからたまらない。巨大な火球によって腕っこきの職人が炭の像と化し、また、既に何層かの魔導障壁を解除していた火薬庫の防壁が穿たれていく。どちらも、失えば国家としてただならぬ損失となるものであり、我が身の責務、ネルファンを護ると言う責務に照らして心の芯が抉られるような気分になるのだ。
背に乗ってその龍を駆っているのは、陽光を照り返す黒い艶髪の若者で、戦闘行為によって乱れたその襟首からは、痛ましい、鎖骨を横断するような傷跡が見える。魔獣使いの勲章であろうか。
しかし、龍騎とはな! そういう戦闘術があるとは聞いたことが有ったが、初めて相対した。儂の地表への凍結術がなんら役に立たない。一応、火薬庫を外から冷やすことで引火や爆発を防いではいるつもりだが、果たしてどれだけの意味が有るか。
儂が護っていない側の、西側も先ほどから騒がしい。無事か? サルヴェイの奴は、そして、火薬庫の正門は、




