夢
「私、大きくなったらあなたのお嫁さんになる!」
そう言ってきたのは着物姿の幼い少女
大きな桜の樹の下、2人の子供は未来を語る
「じゃあ僕は君を守るよ」
少年は誓った
この子を守り続けたい、この子の素敵な笑みを絶やさせたくないと
「じゃあこれはおまじない」
少女は少年の額にそっと唇をよせた
その時何かが体を包み込むかのようにぬくもりに包まれた感じがした
「これでまた会えるよ...きっと。絶対に会いに行くからね!!」
そう言った刹那桜に舞う強い風が吹いた
僕は思わず目を塞ぎ、目を開けその少女の方を見ると既に少女の姿は無かった
そんな中僕は耳鳴りがしていた
ジリジリジリジリ
そして僕は辛さのあまりうずくまった
すると足場が崩れどんどん落ちていく
「うわぁぁぁぁ!!」
ドンッ!!
「ふぇっ!?」
そこはいつもの見慣れた部屋だった。
どうやらベットが落ちてしまったららしい。
「夢か...まったく、妙な夢を見るもんだなぁ。ほんと何で同じ夢を見るのだろうか」
そんなことを考えながら落ちた時に打った腰をさすり時計を止めていた
「さて、朝飯でも食べるか!」
2階から階段を降りキッチンへとむかうと寝起きだというのに食欲をそそる匂いがただよってきた
「おはよう、枢くんっ!!」
毎日のように同じ光景だが、ピンクのエプロンを着て元気に挨拶してくれる幼馴染みの姿があった
「おはよう、蒼」
俺、宮瀬 枢はこの井口 蒼とともに一軒家に住んでいる
俺達は捨て子ででまだ赤ん坊の頃に孤児院の前に同じ日に捨ててあったらしい、いわゆる孤児というやつだ
蒼は朝に俺は夜に拾われたのたが俺達が入っていた籠の底には1通の手紙が入っていたらしい
この子をよろしくお願い致します
家もお金も一式手配はしてあります、どうかよろしくお願い致します
と書いてあったらしい
小さな孤児院で数えるほどしか子供はいないがシスターは俺ら一人一人を面倒見てくれた
高校生になる頃に手紙の事を知らされたのだが正直なところ親なんてどうでも良かった。ただ、一つ家の下から学校に通えるのは嬉しかった
一方で蒼は今では誰もが想像も付かないほど暗くとても引っ込み思案な子だった
周りの子に話しかけられるが上手く話せずコミュニケーションが苦手だった
ある日、それが原因かは分からないが3人の程の男の子に囲まれていじめられしゃがんでる蒼がいた
俺は不意に中に入り蒼を庇うように前に出て3人に殴りかかったのを今でも覚えている
その後はそれを見たシスターが鬼のような形相でこちらに走ってきたので俺ら男4人は抱き合うようにして泣いた。
あれはほんとに怖かった
しかしこの件がきっかけで蒼は俺に付き添うような形で付いてくるようになった。
どこに行くにも右の袖を引っ張りながら斜め後ろにいるのがいつものポジションだった。
ご飯食べる時も寝るときもいつもぴったりとくっついていたが、トイレだけはほんとに勘弁して欲しかった
その時だけシスターを呼んで外で待っているのだがシャツを話すと涙目になって次第に大泣きしていた
泣き止ませるのも大変でさすがのシスターも手を焼いていた。