表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/15

『カラス』1-2

目の前まで飛んで来て、視界を遮った。

「おい、おい!」

腕で顔を庇っていたのだが、またあの声が聞こえてきた。

恐る恐る腕を解く。

そこには、真っ黒な人間がいた。

墨を全身に塗ったよう。

坊主頭。

真っ黒な目玉はギョロリとしていて、ギラギラと光っている。

服も黒一色なのだが、裾から出た腕は、鱗状に羽毛が生えていた。

人間ではないのは確かだ。

「だ、誰?」

なのに出てきたのはそんな言葉。

「オレ?死の使者さ」

口端を持ち上げ、不自然に笑うそいつの口の中も真っ黒で、歯並びの悪い歯が合わさる。

「何の用?」

「お前、オレらを見てただろ」

そう言って笑った奴の笑い声は特徴的で、喉を押し潰したようだった。

「興味を持ったのさ」

また不自然な笑い。


奴は真似だと言って、所構わず着いて来た。

後から気付いたのだが、奴は他の人には見えなかった。

夜眠る時、ベットの隅に奴は腰を下す。何も明かりのない中、奴は暗闇とうまく溶け合っていた。

なのに、そこにいるという存在感はあった。

いつでも奴の存在は纏わり付いた。


ガクン


あれ?

今、膝が落ち、視界がぶれた。

目を擦る。

疲れているのかなぁ?


それから何度も同じような事があった。日に日に足取りが重くなり、視界は霞んだ。


「そろそろだな」


いつだか、目の前は真っ暗になった。


『オレ?死の使者さ』


ああ、死ぬ運命だったのかな?


でも、それは違った。

今、青い空を見ている。晴れやかな空。

自分には、この空は似合わない。


だって…


死の臭いは歓迎されないでしょ?


「似合ってるぜ」


そう言って、あの不自然な笑みを零す自分が通り過ぎた。


今日も知らせよう。

死の日和を−




                                                                     終

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ