『だーれだ』1-2
「ここって、結構穴場の心霊スポットだよね」と、沙織ちゃんは言った。あまり怖がっている様子はない。
「そうそう、隣町にこんなスポットがあってラッキーだよなぁ。なっ、夏紀!」と和喜は言って、俺の肩を叩いた。
浮かれてんのはお前だけだって。
「そういえば一週間前、この辺りで男の子が二人、行方不明になったよね」
沙織ちゃんの友達は少し怖がっているみたいで、顔が強張っていた。
「あ、それ知ってる。最後に目撃されたのって、この公園近辺なんだよね」
沙織ちゃんもどうやらその話は知ってるみたいだな。
「あれでしょ?」と和喜は言って、懐中電灯で近くの電柱を照らした。
そこには、貼り紙があった。行方不明の男の子の二人の写真。
まさか…これ…。
俺は、懐中電灯で照らしながら、電柱に近づいた。
「おい、どうしたんだよ」
和喜が後ろにやって来た。
「こいつらさ、一週間前に見たんだよ」
「え!?」
俺の言葉に、和喜は素直に驚いていた。
「こんな偶然ってあるんだな」
和喜はそう言ったが、本当に偶然なんてあるんだろうか?
「とりあえず、中入ろうぜ」
和喜の掛け声で、俺達は中へと足を踏み入れた。
心なしか、足取りが重い。
頭もズキズキと痛む。
行ってはいけないと頭ん中では、警報鳴らしてんのに、体は正反対に前へ進む。
「夜の公園って気味が悪いね」
「じゃなかったら、肝試しになんないでしょ」
相変わらず暢気な奴。お前と代わりたいよ。
不意に、茂みががさがさと揺れた。