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短編集  作者: 安楽樹
【短編集】
4/42

勧誘

ピンポーン


「どちら様でしょうか?」


あ、どもー。読買新聞でーす。


「すみません、うちは新聞いらないんですよ。」


まあ話だけでも。安田さーん、開けて下さいよ~。


「すみません、今、手が放せないもので。」


そう言わずに~、今なら色々サービスしときますから。


「本当にすみません。他の方を当たってください。」


3ヶ月、3ヶ月だけでいいですから。


「・・・それでは、仕方ありませんね。」


え!取って頂けるんですか!?ありがとうございます!


「いいえ、違います。私が出す問題に答えられたら、新聞を取りましょう。」


へっ?いやそんなこと言われても・・・。


「ではいきますよ。『読買新聞の一面広告の広告料は?』」


えっ!?そんな知りませんよ。だから安田さん・・・。


「それでは残念です。またどうぞ。」


安田さん?安田さーん!


「・・・・・・。」


――次の日。


(ちっきしょう、昨日は何だかうまくやられたな。でも「またどうぞ」って言ってたし、今日はちゃんと広告料も調べてきたし、もう揚げ足はとらせんぞ・・・。)


どもー。読買新聞でーす。安田さーん。


「その声は・・・、また来たんですか。昨日も言いましたように、うちに新聞は必要ありませんから。」


そう言わずに、お願いしますよー。問題に答えられたらいいっておっしゃってたじゃないですか~。


「・・・確かに言いましたね。」


でしょー?今日はきちんと調べてきたんですよ。えーと、¥500・・・。


「では今日の問題です。『読買新聞の発行地域・部数は?』」


え?発行部数?・・・広告料じゃないの?


「・・・残念でした。またどうぞ。」


いや待ってくださいよ、ずるいですよそんな!広告料調べてきたんですから!


「・・・・・・。」


(くっそ~っ。)



安田さーん。新聞お願いしまーす。


「読買新聞が初めて発行された年と創始者は?」


・・・・・・、昭和・・・1・2年?読山・・・買之介?駄目だ、わかんね。


「残念、またどうぞ。」


「自分の体験談を元にして、『新聞の有効性』をテーマに400字以内の小論文を完成させなさい。」


・・・ろ、論文まで!?


「残念です、またどうぞ。」


つ、次こそは、次こそ必ず・・・。



ぜぇ、ぜぇ、安田さん・・・、お願いします。


「では、・・・『読買新聞の1ヶ月の購読料は?』」


え・・・・・・?2400円です!!


ガチャ


「フフ、おめでとうございます。もうお出しする問題がありませんよ。それでは約束通り、契約いたしましょう。」


・・・・・・、え!?


「・・・やはり、驚かれましたか。」


そんな、お客さん。・・・あんたまさか目が・・・。


「いいんですよ。この新聞を持っていれば、私も頑張れる・・・。そんな気がするんです。」


そ、そんなこっちこそ、あんたのおかげで・・・。


「・・・・・・あなたの努力のおかげですよ。」


お客さん、洗剤も付けとくよ。・・・・・・毎度あり。




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