勧誘
ピンポーン
「どちら様でしょうか?」
あ、どもー。読買新聞でーす。
「すみません、うちは新聞いらないんですよ。」
まあ話だけでも。安田さーん、開けて下さいよ~。
「すみません、今、手が放せないもので。」
そう言わずに~、今なら色々サービスしときますから。
「本当にすみません。他の方を当たってください。」
3ヶ月、3ヶ月だけでいいですから。
「・・・それでは、仕方ありませんね。」
え!取って頂けるんですか!?ありがとうございます!
「いいえ、違います。私が出す問題に答えられたら、新聞を取りましょう。」
へっ?いやそんなこと言われても・・・。
「ではいきますよ。『読買新聞の一面広告の広告料は?』」
えっ!?そんな知りませんよ。だから安田さん・・・。
「それでは残念です。またどうぞ。」
安田さん?安田さーん!
「・・・・・・。」
――次の日。
(ちっきしょう、昨日は何だかうまくやられたな。でも「またどうぞ」って言ってたし、今日はちゃんと広告料も調べてきたし、もう揚げ足はとらせんぞ・・・。)
どもー。読買新聞でーす。安田さーん。
「その声は・・・、また来たんですか。昨日も言いましたように、うちに新聞は必要ありませんから。」
そう言わずに、お願いしますよー。問題に答えられたらいいっておっしゃってたじゃないですか~。
「・・・確かに言いましたね。」
でしょー?今日はきちんと調べてきたんですよ。えーと、¥500・・・。
「では今日の問題です。『読買新聞の発行地域・部数は?』」
え?発行部数?・・・広告料じゃないの?
「・・・残念でした。またどうぞ。」
いや待ってくださいよ、ずるいですよそんな!広告料調べてきたんですから!
「・・・・・・。」
(くっそ~っ。)
*
安田さーん。新聞お願いしまーす。
「読買新聞が初めて発行された年と創始者は?」
・・・・・・、昭和・・・1・2年?読山・・・買之介?駄目だ、わかんね。
「残念、またどうぞ。」
「自分の体験談を元にして、『新聞の有効性』をテーマに400字以内の小論文を完成させなさい。」
・・・ろ、論文まで!?
「残念です、またどうぞ。」
つ、次こそは、次こそ必ず・・・。
*
ぜぇ、ぜぇ、安田さん・・・、お願いします。
「では、・・・『読買新聞の1ヶ月の購読料は?』」
え・・・・・・?2400円です!!
ガチャ
「フフ、おめでとうございます。もうお出しする問題がありませんよ。それでは約束通り、契約いたしましょう。」
・・・・・・、え!?
「・・・やはり、驚かれましたか。」
そんな、お客さん。・・・あんたまさか目が・・・。
「いいんですよ。この新聞を持っていれば、私も頑張れる・・・。そんな気がするんです。」
そ、そんなこっちこそ、あんたのおかげで・・・。
「・・・・・・あなたの努力のおかげですよ。」
お客さん、洗剤も付けとくよ。・・・・・・毎度あり。