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短編集  作者: 安楽樹
【どこにでもある恋の話】
35/42

【vol.2】9.二度目の別れ 『好き……。』

6/23


ドライブして初めてのホテルへ行く。

初めてのホテルはなんかおもろそうだった。

そして思った通りはしゃいでしまう俺。

あちこち探った。広いお風呂はいいー。

コミュニケーションノートを勝手に書いたけどイマイチだった。

わがまま言ってカラオケできるようにして勝手に歌う。


『もう一度キスしたかった』を歌ったら彼女は泣いてしまった。

……作戦成功。意地悪だった。確信犯。

その後は一緒にまんぷくチャンネルをみて大笑いしたり、プレイボーイチャンネルを見ていた。暇つぶしに。

でも彼女がお風呂に入るというので俺も一緒に入った。

俺は一緒にお風呂入るのが好きなのだ。

見られる心配も無くて広くてジャグジーはいい。とてもいい。楽しかった。


出た後は彼女は飲みながらなんか適当に見てたけど、用意してあるパジャマが似合わない俺はまたそろそろ眠くなってきてベッドに寝転がっていた。

そしたらいきなし俺の写真とか撮ってた向こうも寝たくなってきたようで、電気を消してブラックライトを点けてダブルベッドへ。

ムーディーで広くて覗かれなくて大の字になれるベッドはいい。とてもいい。楽しかった。


で、やっぱりもう一度やってしまうのですけど、最中に彼女が切ない表情で、


「好き……。」


とか言ってきたのでもう大変だった。……そりゃあ反則ですよおねぇさん。

しばらく思い出してしまいそうだった。


「もう少しこのまま居てよ……」

とりあえず朝から最中のセリフ。

ともかく、昨日から大分感情を表し気味な彼女。……別れの時は近い。

うちへ来た。

いい加減チケットを買いに行かなくてはならない。もうこれで最後だ。

それが彼女にもわかっていたようで、前にも増して甘えてきた。


そして俺たちは最後の行為を始める。

ゆっくりと、ゆっくりと。

できるだけ長い間一緒に居たかった。

俺の体の下で、彼女はとても切ない表情をすると、「行かないでよ……。」と言った。

俺は返事ができなくて、しばらく無言で動き続けた。

そして限界が来たのを悟ると、静かに「……行くね。」と囁いて彼女の中から去った。

二人とも、その後少しだけ一緒に眠った。


……時間だ。

眠っている彼女を起こすと、出かける支度をする。

彼女を車まで送っていくと、窓を開けて一度だけ軽くキスをした。

そして、「……じゃあね。」二人ともそう言うと、彼女は車を走らせた。


……車は、角を曲がるとすぐに見えなくなった。

そして、降りだした、雨。


『本格的な雨になっちゃったね。別れのシュチュエーションには最高かも。一緒にいていろんな君を見てもっと見ていたかった。少しは私の事想っていてくれたんだよね?意味のない出会いはない、意味のない別れもない?本当にそうなのかなぁ?出会いはうれしいけど気をつかったり、大変な事な方が多いし別れは寂しいだけだし。私にはとても理解できない。十代以来だよ~あんなにキスしてHしたの。今の気持ちを全部伝えられたのかな?本当に一瞬のような出会いと別れだったね。また会える時がきたら /』


文字数超過で、途中で切れたメール。

……その先は、とうとう最後まで聞けなかった。


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