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短編集  作者: 安楽樹
【どこにでもある恋の話】
33/42

【vol.2】7.一度目の再会

6/17 一度目の再会


久し振りに見る、相変わらずの笑顔だ。

いたずらが見つかった時の子供のような顔をして笑う彼女。

「えへへ、来ちゃった。」その顔はそう言っていた。


再会の余韻もどこへやら、俺は男のカフェオレのカフェインにやられて前の日徹夜だったので、すぐさま二度寝した。

ろくに一人で遠くへ行った事の無い彼女は、この初めての一人旅行にはしゃぎ、それから一人で上野動物園へ行ってきた。

……けどすぐに帰ってきた。定休日だったらしい。

少しむくれた彼女をなだめながら、夕方から少し早めの晩餐会にする。……相変わらず毎日飲み続けているらしい。

ほんのりと気だるい空気の部屋で二人でお酒を飲んでいると、何だか急に錯覚を起こした。

まるで貧乏学生が年上のホステスに入れ込んでいるような。

「マリさんは俺が幸せにするよ!」

そんな台詞と共に俺の錯覚を彼女に話すと、彼女は屈託無く笑い、そのあどけない笑顔を見た俺は、やっぱりさっきのは錯覚だったんだなと気付く。


山ほどの焼きもやし(……野菜炒めになるはずだった)を8割平らげた後、ほろ酔いながら体を重ねる。

デザートみたいに、甘い時間。

何も無い部屋。

畳に敷いた布団の上で二人寝転んでいると、さっきまでの錯覚がまた呼び戻された。

そして二人は、白黒に染まり……。


次の日。

用事で出かけていた俺が戻ってくると、彼女から電話があった。

「道に迷った~。」

そりゃそうだ。見知らぬ町でウロウロしてたらね。

何とか道を教えて、家の前で再会する。俺が何で迷ったの?と聞くと、

「靴買ったら、嬉しくなっちゃって。」

……まあ、そんな所が、かわいいんだけど。


そしてそれから俺は彼女と一緒に帰郷した。

別に両親に紹介するわけじゃない。

一緒に乗った夜行バスは、……調子に乗りすぎだったな。


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