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短編集  作者: 安楽樹
【どこにでもある恋の話】
21/42

【vol.1】2.小さなつむじ風は突然に

5/22 小さなつむじ風は突然に


いつもそれは突然に。

「ごめん、いつも私の都合に合わせるのって、すごく自分勝手だよね。」

それっきり、手紙は来なくなった。

ようやく僕も、この一方的なルールを楽しみ始めた所だったのに。

違うんだ。別に僕は、僕を想って欲しかったんじゃない。


少し弱めのつむじ風は、いつの間にか現れて、瞬きをする間に去っていった。

僕は簡単に舞い上げられて、すぐに真っ逆さまに落とされてしまう。

その風が来る前と後では、何も変わっていないように思えた。

でも僕は、何だか大事なものが風にさらわれたような気がして、辺りを探す。

必死で探したけど、結局どこにも何も見つからない。

きっとそれを見つけていたら、僕は涙なんて流したのかも。


彼女に別れの手紙を出そう。

このままじゃ、あまりに僕の気持ちは中途半端だから。


『多分これが最後の手紙になると思う。

僕はただ、時々あなたの話が聴けるだけで良かったのに。

あなたにとって、僕は簡単に連絡を絶つ事ができる。

その程度の存在だったことが、少し悲しかったよ。

きっともう会わないだろうけど、ずっと幸せでいてね。

あなたに会えて良かったよ。……さよなら。』


この小さな心の痛みは、恋なんて呼べるものではなかったけど。

僕の忘れていた感情を思い出させてくれた。

まだ僕にもこんなに強くて熱い感情があって。

切なさと思い出を少しだけ残して。

ほんの少し、記憶に残って。

そしていつか、僕の心の一部になっていく。

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