サングラスの魔法使い
「君は知ってる?サングラスをかけた魔法使いの話。」
「え?知らないわ。」
「なんでも、恋の魔法が大得意なんだってさ。」
「・・・そうなの?」
「魔法のステッキの代わりにサングラスをかけて、可愛い子にはすぐに魔法をかけてしまうんだよ。」
「つまり、あなたがその魔法使いっていう事?」
「いいや、僕はまだ半人前なんだ。」
「それなら、どうしてサングラスをかけているの?」
「これを取ったら、君に魔法をかけてしまうから。」
「・・・そう?私は何ともないわよ。」
「じゃあ、どうやら僕の方が魔法にかかってしまったみたいだね。」
「ふふ、上手いのね。」
「良かったら、君をエバーランドに連れて行くよ。」
「エバーランド?」
「大人だけの、魔法の国さ。」
「空も飛べるの?」
「きっと、ね。」
「ねぇ、さっきの話、聞かせてよ。魔法使いの話。」
「姫のお望みとあらば。」
「ふふっ、お願いですわ、王子。」
「仰せのままに、ってね。・・・確かその魔法使いは、魔法をかけるときにだけ、そのサングラスを外すんだってさ。」
「・・・ふ~ん。どうしてサングラスを取るの?」
「知りたいかい?」
・・・そう言って、魔法使いは彼女に口づけをしたんだって。
君は知ってる?
サングラスをかけた魔法使いのことを。
なんでも、一夜の恋を演出する魔法が大の得意なんだってさ。