無題
GL
私は純粋だ、ってそう思ってた。
だから、私は男バスの先輩に恋してたし、その恋を楽しんでたりもした。
それが一変したのは…
【あの日】
からだった。
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-Yuki side-
「雪ぃーッ!!」
「せ、先輩!?」
男バスの先輩、黒川耕輔。
学校一バスケが上手で、キャプテン候補。
1年生の私からしたら、2年生の先輩は憧れ。
先輩に一目ぼれして、私は男バスのマネージャーになった。
「雪、タオル余ってる??」
「あ、は、はい!!これ、、、でいいですか??」
「おー、さんきゅっ」
そう、この日、私の気持ちは大きく変わるの。
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-Kousuke side-
俺は雪の事が…好き、かな。
あの日、マネージャーを見たときから雪の事が好きだ。
そう、あの時、
アイツ
が来なければ、俺は雪と結ばれていたかもしれない…
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-Yuki side-
((急がなきゃっ…部活始まっちゃう…))
((ドンッ))
「あ、あ、ご、ごめんなさい!!」
…誰だろ?
この可愛い子。
「えッと…大丈夫?けがしてない?」
「だ、だ、大丈夫ですっ!!す、すみませんでしたっ」
「ちょっと待って!!」
靴下から微妙に血が滲んでる。
「え、え、え、えっと…」
「怪我してる、手当するからおいで」
「あ、は、は、は、はい。。。お構いなく!!」
「駄目!怪我させちゃったんだもん」
黙って頷いてついてくるその子は多分1年生だった。
「貴方、何年生?」
「い、い、い、いち…ねんです」
「ははッ、私も1年生だよ。そんなに緊張しなくても大丈夫!!仲良くしようね♪」
「は、は、は、はい!!」
「雪ーッ」
「あ、先輩!!」
「どうしたんだ?部活になかなか来ないから探したぞ??」
「あ、ありがとうございます♪ちょっと怪我させちゃったみたいで救護室に…」
「あ?そうなの??」
「あ、はい」
「大丈夫?君、名前は??」
「え、え、え、え、えっとぉ…さ、さ、桜ですっ」
「桜ちゃんって言うんだ。私、雪。宜しくね♪」
「俺は耕輔。黒川耕輔だ。男バスキャプテン候補っ!!」
「よ、よ、よ、よろしくお、おねがい、します・・・」
目を潤ませてこっちを見上げる桜ちゃんはとても可愛かった。
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-Sakura side-
雪…さんは優しい人。
誰も相手にしてくれなかった…今までは。
雪さんは…桜の目を見て喋ってくれた。
雪…さんは優しい人。
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-Yuki side-
「今日からマネージャーを一緒にやることになりました桜です!!」
「よ、よ、よ、よろしくおねが、いします」
「桜、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ??」
「ゆ、きさん」
「呼びすてでいいの!!」
「ゆ、き・・・?」
「そうだよ」
「ゆき、は、その…耕輔先輩のこと、す、きなんですか?」
「っえ!?」
「そう、見えた…桜の目には、そう、見えた・・・」
「…そっか」
「よ、よけいな、こ、と言ってごめんなさい!!」
そんな桜の目はやっぱり綺麗だった…
そこで気づいたんだ。
私の好きな人は
耕輔先輩
なのかな…って。
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-Sakura side-
桜のものにしたい。
雪を桜のものにしたい。
どんどん自我が強くなる。
桜、イケナイ子。
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-Kousuke side-
見てしまったんだ…
アイツがあんなことをしてる所を…
「桜は、イケナイ子。桜は、イケナイ子。」
((あれは、桜ちゃん…!?))
「桜は、いてはいけない。雪の前から、消えなければいけない。」
((何してんだ!?自分を殴ってる…??))
「桜は、雪の事、好きではいられない」
((…今、何て!?))
「桜は…ゆ…!?」
((バレた!?))
「耕輔、先輩?」
「さ、桜ちゃん??」
「今の、見たんですか」
その時の桜ちゃんの顔はいつになく怖くて…まるで別人のようだった。
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-Yuki side-
「はぁ…」
「どうしたのー??そんなに溜息ついてー」
「こ、耕輔先輩!!」
「顔色悪いよ??」
「いえ、大丈夫です!!それより耕輔先輩その傷…」
「あ、これ??かすり傷だよ。練習中に転んじゃって」
「手当します!!そこに座ってください!!」
「いや、大丈夫だよ!!」
「え・・・?」
思い切り私の手を振り払う先輩。
何があったの…?
「雪」
「さ、桜?」
私の後ろには睨むように遠くを見つめる桜の姿があった。
「ゆ、雪?じゃぁ俺、練習あるから」
急に素っ気なくなった先輩と、態度の変わった桜。
二人の間に何があったの?
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-Sakura side-
桜は悪い子です。
イケナイ子です。
雪を好きになった、駄目な子です。
「雪」
「さ、桜…?」
「好き」
言ってしまいました。
抑えられなかった。
桜、悪い子、駄目な子。
「それって、、、どういうこと?」
「好きです、雪」
「私も好きだよ??」
「そ、そういう意味じゃない」
「…!?」
「ご、ご、ご、ごめんなさい」
本当の桜を見せてしまいました。
桜、バカな子。
「…私も桜の事好きなのかも、本当に。」
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-Yuki side-
言ってしまったの?
私の好きな人は耕輔先輩じゃないの?
私自身が分からない。
でも、きっと桜が好きなの。
「桜、私も好き」
END