第7話 転生者、再会する。
エリス「以上、これにて女神会議を終了するわ。それじゃあ、解散!!」
そういって、エリスは嬉々として会議室を出た。
サン「・・・なぁ、議長があんな調子でいいのかよ?」
ステラ「う〜ん、でも女神の仕事は誰よりもこなしているし、何よりここにいる全員仕事で普段お世話になっているからねぇ・・・」
サン「ちょ、ちょっとだけだよ!ちょっとだけ!」
ルナ「ちょっとぉ?1番お世話になっているのは、どこの誰かしら?」
サン「何だとぉ!?」
ステラ「はいはーい、喧嘩はそこまでよ♪」
ノワール「わ、私はエリスが議長でよかったと思うな・・・ だって、こうやってみんなと一緒にお仕事出来るの楽しいから・・・」
3人の女神「ノワールちゃん・・・!」
3人の女神は、ノワールを見て目を輝かせた。
サン「なんだよぉ!ノワールめ、嬉しいこといいやがって!」
サンは、ノワールの肩を組み、頭を激しく撫でた。
ノワール「や、やめてよ・・・!それに、ここにいる全員が今でも独り立ちしていない以上、文句は言えないと思う・・・」
4人の女神「・・・」
4人の女神は、気まずそうに下を向いて黙ってしまった。
〜勝のいる世界〜
勝「う〜ん・・・はっ!」
勝は、パンツ一丁の状態で気を失っていた事を思い出した。
勝「な、何かアイテムボックスに入っていないか?・・・あっ、服が入っている!エリスが入れたのかな?そういう所は気を遣うのかよ。」
アイテムボックスから服を取り出すと、爆散した服と同じ物が出てきた。
勝「・・・色々あったが、ようやく冒険者ギルドに行ける。エリスが会議から戻る前にさっさと登録済ませちゃおう。」
勝は、街の反対側にある冒険者ギルドに向かっている途中、偶然トムに出会う。
トム「おや、勝さんではありませんか。お元気そうで何より!」
勝「トムさん!?久しぶり!トムさんも元気そうでよかった!もしかして、トムさんはこの街に住んでいるのか?」
トム「おや、申し遅れました。わたくし、この街で領主をやっているトム・デューク・グラベルタと申します。」
勝「りょ、領主様!?そんな高貴なお方だったとは!」
トム「そんな!かしこまらないで下さい!そうだ、先日美味しいお茶菓子を頂いたのですが、よろしければご一緒にいかがですか?」
勝(うーん、出来ればすぐにでも冒険者ギルドで登録を済ませたいんだけど、厚意を無下にする訳にもいかないしなぁ。まぁ、今日中に済ませればいいか。)
勝「分かった。じゃあ、お言葉に甘えていただくよ。」
そうして、勝はトムの屋敷にお邪魔した。
〜トムのお屋敷〜
トム「さぁ、召し上がれ。」
白いテーブルの上に、手入れの行き届いた銀食器が並んでおり、その上には色とりどりのクッキーと紅茶が並べられた。
勝「ありがとう、いただきます・・・おお!このクッキーと紅茶美味しい!」
トム「それはよかった。ところで、最近街で不審者が出没しているのをご存知ですか?何でもパンツ一丁で走り回ったり、子供を誘拐しようとしているとか・・・」
勝「あぁ、それなんだけど・・・」
勝は、街に着いてからの出来事を白金貨の件も含めて話した。少し罪悪感もあったが、不審者になってしまった以上、隠す訳にはいかなかった。
トム「これは大変失礼いたしました。グラベルタでは白金貨を両替する手段が無いのを失念しておりました。セバス、大至急衛兵に話を通しておいてくれ。」
セバス「はっ、かしこまりました。」
トムは一度立ち上がり、深く頭を下げた。執事のセバスは部屋から退室して、トムと2人きりになった。
トム「私のせいで、大変お辛い目に遭ったこと、大変申し訳なく思っております。」
勝「いや、トムさんには本当に感謝しているんだ、頭を上げてくれ。そうだ、よければ白金貨を両替出来る所を教えてくれないか?」
トム「もちろんでございます。ここから乗合馬車で2週間程にある王都の銀行でしたら、両替も可能です。もし口座をお持ちでないのであれば、お作りすることをお勧めいたします。」
勝「分かった。ありがとう。」
こうして、30分程雑談をした後、トムの屋敷を出た。
トム「それではお気をつけて。」
勝「ああ、ありがとう!」
その後、勝が冒険者ギルドの前に到着する頃、エリスが謁見の間に戻ってきた。
〜謁見の間〜
エリス「やっと会議が終わったぁ〜。さぁて、勝くんはどうしているかな・・・ん?あれは・・・」
〜勝のいる世界〜
勝(ようやく着いた。もうお昼前になってしまったが、まだ時間には余裕がある・・・よし!ここから俺の冒険が始まるんd)
次の瞬間、勝は後ろから肩を掴まれた。後ろにゆっくり振り返ると、煽るようにニヤけた衛兵達が立っていた。
衛兵「みぃ〜つけた♡」
勝「い、嫌だぁぁぁぁ!!!!!」
衛兵「不審者を連行しろー!」
衛兵達は、勝を神輿のように担いで、運んだ。
勝「分かった!自分で歩くから降ろしてくれ!これじゃあ恥ずかし過ぎる!」
衛兵「そうやって逃げる腹積もりだろう!そーれ、ワッショイ!ワッショイ!」
そうやって、衛兵達は楽しそうに勝を詰所まで担いだ。
〜謁見の間〜
エリス「あっれれ〜?まっさるくぅ〜ん?この展開何度目かにゃあ?wもう7話なのに冒険者登録すら出来ないなんて、恥ずかしくないのぉ〜?wヒヒハハッ...はっ!?」
水晶玉に映し出されている勝は、ペンダントを握り締めるフリをした。そして、頭上を見上げて、煽るようにニヤけた。
エリス「キィーーー!何よ何よ!そうやって私を弄ぶのね!?・・・そうか、このためにあえてペンダントを身に着けているのね!・・・いいわ、受けて立とうじゃない!こんなことで私はへこたれないわよーーー!!!」
続く




