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第6話 転生者、反撃する。


 エリス「うぅ、ひどいじゃない・・・」


 勝の手によって、エリスは髪の毛はボサボサ、頬は赤く腫れていた。


 勝「ペンダントのことを聞いた時の様子がおかしいとは思っていたが、まさかエリスがこんな恐ろしい計画のためにこれまで演技をしていたなんてな。こんなペンダント、帰ったら速攻で宝石店に売りつけてやる・・・!」


 エリス「待って!確かに勝くんの服を爆散させたのは私だけど、勝くんの事を心配していたのは本当よ!?それに、いつでも私に会えるペンダントを渡したのだって、勝くんを信頼してのことよ!もし、他の悪い奴の手に渡って私にもしもの事があったら・・・ うっ。」


 エリスは、顔を両手で覆った。勝に表情を見られないように。


 勝「どーだか?さっきの笑い方だって尋常じゃない笑い方だったし、エリスはこれまでのことだってああやって爆笑してたんだろ?」


 エリス(くっ、前から思っていたけど、勝くんの勘ってほんと冴えているのよね・・・ん?てか、)


 エリス「ちょっと勝くん?今女神であるこの私を呼び捨てにしなかった!?ねぇ、したわよね!?」


 勝「これは失礼いたしました。今後は失礼のないように敬意を持ってお話させていただきますね。」


 勝は、控え目に微笑んだ。


 エリス「ぐっ!分かったわよ!呼び捨てでも何でもいいから、その気持ち悪い喋り方はやめなさい!」


 エリス(これじゃあ、まるで私が勝くんに弄ばれているみたいじゃない!・・・そうだ!)


 エリス「ねぇ、さっきも言ったけど、ペンダントが他の人に渡ったらとっても困るの。普段はアイテムボックスに入れててもいいから、勝くんに持ってて欲しいの・・・駄目かなぁ?」


 エリスは、しおらしい態度で勝に訴えかけた。すると勝は、しばらく考え込んでから口を開いた。


 勝「・・・ いや、やっぱり普段から身に着けるよ。今回の件は度が過ぎるイタズラだけど、せっかく俺のために作ってくれたペンダントなんだ。お守りだと思って大切にするよ。俺、やっぱりエリスには感謝しているんだ。」


 エリス「ま、勝くん!!」 


 エリス(ちょっろーーい!wちょろすぎて草生えますわ!www)


 エリスは、心の中でひょっとこみたいな表情をしてみせた。だが、このあとの予定を思い出し、すぐに我に返った。


 エリス「あら、いけない!もう女神会議の時間だわ!残念だけどまた今度ね。」


 勝「・・・ああ、また!」


 エリスは、意識が遠のく勝を手を降って見送った。



〜女神の世界・会議室〜


 20畳程の真っ白い部屋に長方形のテーブルがあり、その両脇に4人の女神が座っている。


 サン「ねぇ、エリスが遅刻なんて珍しくない?せっかく私が時間通りに来たっていうのにさぁ。」


 赤髪のセミロングの女神が脚をテーブルの上に乗せた。


 ルナ「たまたま時間通りに来たからって、調子に乗らないで下さい。あなたのせいで毎回時間通りに始まらないんですから。」


 青髪のショートカットの女神がサンを睨みつけながら言った。


 ステラ「まぁまぁ、ルナちゃん。そんなに怒らないで?でもサンちゃん、テーブルの上に脚を乗せたら駄目よ?」


 コーヒー牛乳のような優しい茶髪の女性が困惑しながらも、おだやかな口調で言った。


 サン「はぁーい。」


 ルナ「フン!」


 サンは、しぶしぶ脚をテーブルから降ろした。


 ノワール(み、みんなピリピリしている・・・ エリス、早く来ないかな・・・ )


 前髪が長い黒髪の女神が体を縮こませながら、心の中で呟いた。


 エリス「うぃーっす。」


 エリスは気怠そうに言いながら、会議室に入ってきた。


 サン「おそーい!今何時だと思っているの!みんな待ちくたびれ...って、その顔どうしたの!?」


 4人の女神達は、エリスのボサボサの髪と赤く腫れた頬を見て、目を丸くして驚いた。


 エリス「あぁ、これね!!いやー、こないだ地球から転生させた勝くんっていう子がいるんだけど、さっき謁見の間で仕返しされちゃったのよ!wいやー、参った参った!w」


 ルナ「ちょっ!ちょっと待って!?ツッコミ所が多すぎます!1つずつ整理して話してください!」


 エリスは、これまでのことを嬉々として話した。


 4人の女神(えぇ・・・ドン引きですわ・・・)


 ステラ「その勝くんって子にそんなイタズラをしたり、笑い者にしたり、可哀想だわ。転生して不安もいっぱいあるでしょうに、もっと優しくしなきゃだめよ?しかもまだ16歳じゃない。」


 ノワール「しかも、君付けで呼ぶなんて・・・め、女神なのに距離感近すぎだと思う。」


 ルナ「そもそも、転生者の魂を遊びで謁見の間に呼び寄せるなんてありえません!しかも女神の世界に自由に来ることが出来るペンダントを授けるなんて・・・!まぁ、ペンダントはあなたが困るだけなのでどうでもいいですが・・・」


 エリス「ルナちゃん、ひどいわ!」


 サン「というか、何で大人しくやられたんだ?女神なんだから返り討ちにすればよかったのに。」


 ステラ「それはねぇ・・・」


 4人の女神「そ、それは!?」


 物騒な質問をしたサンだったが、全員が1番気になっていた部分であり、4人そろってエリスの発言に耳を傾ける。


 エリス「私は、勝くんが誰かに危害を加えられたり、苦しめられたりする姿は見たくないの。私はただ、勝くんの情けない姿を見て愉悦に浸りたいだけなの!そのためだったら、どんな苦労だって厭わないわ!!」


 その瞳は、純粋無垢な少女のようにキラキラと輝いていた。


 4人の女神(ゲ、ゲス女神・・・!)


 ルナ「ハァ・・・こんなくだらないことで会議の時間がさらに遅れてしまったわ・・・そろそろ本日の議題を発表してくれますか、議長?」


 エリス「ええ、分かったわ・・・!」



続く

 

 

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