第5話 転生者、キレる。
エリス「これはね・・・何と!一瞬で謁見の間に来ることが出来て、いつでも私に会えるアイテムなの!どう?メチャすごいでしょ!?」
勝「・・・」
エリス「何よ、何か言いなさいよ。」
勝「・・・そうか!これがあればいつでも一瞬で眠りにつくことができるのか!俺、前世では寝つきが悪くて悩んでいたんだよなー!」
エリス「ちっがーう!!繊細で傷つきやすい勝くんの為に、いつでも女神である私がお悩み相談してあげるって言っているの!こんな特権、まさにチートじゃない!?」
エリスは手足をバタつかせながらプリプリ怒った。
勝「いつでもって、女神の仕事って暇なの?」
エリス「あっ、ふーん?そういうこと言っちゃうんだ?私がその気になればあなたをいつでも白亜紀に転生させることも出来るのよ?きっと軟弱な勝くんは一瞬で恐竜のおやつになっちゃうわね?」
勝「じょ、冗談だって!エリス様には本当に感謝しているよ!」
勝(・・・ そうか、散々な目に遭った俺を見て、エリス様は心配してくれたんだな・・・嬉しいな。でも、もうこれ以上情けない姿見せられないな。)
勝「ありがとう、何かあったらいつでも相談するよ。ようし!エリス様がいれば100人力だぜ!俺、すげー冒険者になって、エリス様を安心させてやるから見ててくれ!」
エリス「まったく、勝くんは調子がいいわね。」
勝「あれ?でもここには魂だけが来ているんだよな?どうやってペンダントを受け取るんだ?」
エリス「そこは安心しなさい。あなたのアイテムボックスにペンダントを転送しといてあげるから。今の勝くんなら、アイテムボックスの魔法は使えるはずよ。あ、そうそう。ペンダントは常に身に着けててね。」
勝「分かった。でも、常に身に着けるのは何でだ?使う時だけ取り出せばいいんじゃないか?」
エリス「あっ、もうこんな時間!悪いけど、また今度ね!勝くんと話していると、時間があっという間ね!それじゃあ、バイバーイ!」
エリスは急に焦りだして、会話を終わらせた。勝は不審に思ったが、考える間もなく意識が遠のいた。
エリス「・・・イヒヒヒヒ!wアハハハハハ!wやったわ!wこれでついに勝くんをイジり放題だわ!!!」
エリスは両手を広げ、高らかに笑った。その目は充血していて、瞳孔は開ききっていた。その姿はもはや魔王である。
エリス「しっかし、以外と勝くんの感が冴えているから、メンタルが弱っているタイミングをじ〜〜っくり待ったのは正解だったわね。さぁて、これからどんな面白い物を見せてくれるのかしら?」
エリスは片手メガネを作って、目を見開きながら、勝が映っている水晶を覗き込んだ。
〜勝のいる世界〜
衛兵「おーい、起きろぉ。もう朝だぞ!」
勝(・・・そうだ、昨日は詰所の仮眠室で眠ったんだった。衛兵さんにちゃんとお礼しないとな。)
勝「おはよう。昨日は仮眠室を貸してくれてありがとう。おかげで、よく眠れたよ。」
衛兵「なぁに、こちらも仕事でやっているだけさ。ほら、アンタの金貨だろ?受け取りな。」
勝「おお!助かるよ!・・・いや、待てよ。子供達のおつかいはどうなったんだ?」
衛兵「なぁに、弁当4つくらい俺達のポケットマネーで払ったさ。」
勝「そうか、それはよかった。」
衛兵「それと、古着屋のセドリックには事情を話しておいたから安心しな。ただまぁ、なんというか、もっとこう・・・あるだろう!!」
勝「す、スマン。あの時は気が動転していたんだ。」
衛兵「だろうな!wそれに弁当4人分なんてせいぜい銀貨2枚程度なもんだ。あの場にいた全員頭に血が上ってたんだな。」
勝「ハハッ、違いない!」
勝(こうして、雑談をしながら朝食まで頂いてしまった。昨日は散々な目に遭ったけど、本当にいい人たちだ。この街、いや、この世界に来て本当に良かった。)
勝「じゃあ、俺はそろそろ行くよ。これ以上邪魔しちゃ悪いからな。」
衛兵「おぅ!今度は茶でもしながらゆっくり話そうぜ!」
勝は、衛兵達に見送られながら詰所を出発した。
勝(エリス様にもらったペンダント着けとくか・・・そういえば、使い方を聞くの忘れてたな。まぁいいや。次会った時に聞こう。)
勝「アイテムボックス!」
次の瞬間、視界にアイテムボックスの情報が表示された。
勝(おお!本当に使えた!ファイアボールといい、身体強化といい、いきなり使えるなんて!もしかして俺、魔法の才能があるのでは!?)
勝は、早速青色に輝くペンダントを着けた。
勝(よし、そうしたら、早いところ冒険者ギルドに登録に行くか!・・・身体強化!)
そうして身体強化が発動し、勝の体が光輝いた次の瞬間、目の前を歩いていた若い女性2人組の目の前で勝の服が弾け飛んだ。
女性2人組「キャアー!!」
勝「キャアー!!」
衛兵「やっぱり不審者だ!!貴様を逮捕する!!!」
勝「ヒィィ!違うんです!誤解です!身体強化を発動しただけです!」
勝は、鬼のような形相をした衛兵達を一瞬で撒いた。人目につかない所で勝は座り込んだ。
勝(ウッ、さっき食べた朝食が出てきそうだ・・・ごめん、エリス様。俺、また情けない姿見せちゃって。)
勝は、エリスにもらったペンダントを握りしめた。次の瞬間、勝は意識を一瞬で失った。
〜謁見の間〜
エリス「アハハハハハッ!さいっこう!w勝くんの情けないお顔は何度見ても飽きないわぁ!wペンダントで勝くんに魔法でイタズラをして、落ち込んでいる勝くんを元気づける。これぞ、マサループだわ!w マサ、マサループwwwだめ、ツボに入ったwww」
エリスはその場でお腹を抱えて大笑いした。そう、後ろにいる勝に気づかずに。そして、エリスは振り返りながら言った。
エリス「ふぅ。さぁて、このあと女神会議があるからみんなに自慢しちゃおうかしr」
勝「・・・」
エリス「・・・・・・よっ!w」
勝「このッ... ゲス女神があぁああ!!!!!」
エリス「イ、イヤァァァァァ!!!」
続く




