第4話 転生者、捕まる。
〜古着屋〜
古着屋の男性「ほらよ、オマエの着ていた服だ。少し前にガタイのいい冒険者がこの服を売りに来たんだ。見覚えのある服だったから、どこで手に入れたか問い詰めたんだ。そしたら、すぐにボロを出しやがった。ギルドには秘密にする代わりに、こいつを回収したってわけだ。」
勝「本当に助かったよ!これがないと冒険者ギルドに登録が出来なくて、飢え死にする所だったんだ!」
古着屋の男性「不幸中の幸いってやつだな!そうそう、こいつの買取金額だが、金貨1枚だな。このまま買い取ってもいいか?でもまぁ、オマエはこれを売るしかないよな?」
勝「ああ、もちろんそれでお願いするよ!あ、そうだ。今俺が着ている服と同じ物は持ち込まれなかったか?宿屋に借りているものだったんだが・・・」
古着屋の男性「ああ、一緒に持ち込まれたよ。だから、俺が代わりに今着ている服も合わせて宿屋の店主に返しといてやるよ。オマエは出禁を食らっているからな!w」
勝「うっ、そんな意地悪言わなくたって・・・」
古着屋の男性「ハハッ、悪かったって!wその代わり、古着を1セットサービスしてやるからよ!」
勝「そんな!そこまでしてもらうのはさすがに申し訳ないよ!それぐらいは払わせてくれ!」
古着屋の男性「じゃあ、出世払いってことにしといてやるよ!」
勝「・・・あぁ、分かった!そうさせてもらうよ!そうだ、まだ自己紹介をしていなかった。俺の名前は勝。運命 勝だ!いつか英雄になる男だ・・・!」
セドリック「俺はセドリックだ。これからもよろしくな。」
そうして勝は、金貨を握りしめ、冒険者ギルドに向かった。
勝(この辺りは、屋台が多くていい匂いがするなぁ。そういえば、今日はまだ何も食べていないや。何か食べていくか?いや、まずは冒険者ギルドに登録をしないと・・・ん?)
勝は、道の端で泣いている5歳くらいの男の子と女の子を見つけた。一瞬の迷いもなく、勝は腰を落として話しかけた。
勝「どうしたの、お父さんやお母さんは?」
男の子と女の子「あのね、くぁwせdrftgyふじこlp」
気が動転しているのか、同時にものすごい情報量を話してきて、何も聞き取れない。
勝「ちょっと、まって、ちゃんと全部聞くからまずは一人ずつ話してくれる?」
事情を聴いたところ、2人は仕事で忙しい両親の代わりにお弁当のおつかいを頼まれていたが、預かっていたお金を落としてしまったらしい。
勝「そっか、分かった。そしたら、俺も一緒にお父さんお母さんの所に行ってごめんなさいしてあげる。そうしたら、きっと許してくれるよ。」
女の子「ダメ!お父さんとお母さんすごく怖いの!前にも仕事道具を壊してしまった時も、夕食食べさせてくれなかったの!」
男の子「次怒らせたら家追い出されちゃうよ!」
勝「そ、それは流石にないんじゃないかな・・・」
勝(だが、夕食抜きの件や、こんな小さな子だけでおつかいに行かせるあたり、お世辞にもあまりいい両親とは言えなさそうだな・・・)
勝「・・・よし!そうしたら、お兄ちゃんが代わりにお弁当を買ってあげるよ!」
男の子と女の子「本当!?ありがとう!」
勝「フフン、どういたしまして!」
勝は得意げな顔をした。そうして、2人とはぐれないように手を繋いで歩き出したときだった。周りを衛兵に囲まれてしまった。
衛兵「貴様、昨日町中でパンツ一丁で走り回っていたやつだな?その子たちをどうするつもりだ?」
衛兵達は、あっという間に勝から子供達を引き剥がし、子供達を保護して連れて行ってしまった。
村人A「あいつ、昨日冒険者ギルドで白金貨を見せびらかしてたらしいぜ?普通白金貨なんて1個人が持てるものじゃないだろ?」
村人B「しかも、子供達を誘拐しようとするなんて・・・もしかして奴隷商人なんじゃない?」
村人C「そうだ、そうに違いねぇ!」
勝(マズイ!!!いくら何でもタイミングが悪過ぎる!しかも弁明する事が多すぎて何から話せばいいか・・・!)
勝「ご、誤解なんだ!全部ちゃんと話すから・・・!」
セドリック「勝、こんな所で何しているんだ?」
群衆をかき分けて、セドリックが話しかけてきた。
勝「セドリックさん!俺、どうやら不審者だと勘違いされているみたいなんだ!お金を落とした子供達の代わりにお弁当を買おうとしたら衛兵に捕まったんだ!」
セドリック「弁当って、オマエは冒険者ギルドに登録に行ったんじゃないのか?」
勝「そ、そうなんだけど放っておけなくて!お金はまた何とかすればっていいと思って・・・ ッ!」
勝は、今の発言がかなりまずかった事に気づいた。だが、気づいた時には手遅れだった。
勝(あ。この目を知っている。人を軽蔑する時の目だ。)
セドリック「そうか、頑張れよ。」
セドリックは一度も振り返らずにその場を去った。
勝「ちがっ!今のはそういう意味じゃないんだ!」
衛兵「この男を連行しろ!」
勝「待ってくれ!全部話すから離してくれ!」
衛兵は勝の言葉を一切聞き入れず、乱暴に連行した。
〜謁見の間〜
エリス「・・・」
〜勝のいる世界〜
衛兵「申し訳なかった。仕事とはいえ、乱暴に扱ってしまった。」
勝「いや、気にしないでくれ。誰がどう見ても怪しいからな・・・」
勝は、衛兵の詰所で町に着いてからの出来事をほぼ全て話した。だが、白金貨の事は最後まで口を割らなかったため、子供達と目撃者の証言が集まるまでは厳しい尋問が続いた。尋問は夜まで続いたため、詰所の仮眠室と軽食を用意してくれた。
勝「ありがとう、恩に着るよ」
勝は、無理矢理笑ってみせた。感情を押し殺して。
勝(・・・ 疲れた。今日はもう何も考えなくない。明日の事は明日考えよう。)
勝のポジティブな思考はすっかり無くなっていた。
〜謁見の間〜
勝「・・・あぁ、今日もここに来るんですね。女神様、本日はどのようなご用件でしょうか?」
エリス「ゲッ!何よその気持ち悪い喋り方は!?・・・はぁ、まぁいいわ。今日はアンタに良いものをあげるために呼んだのよ。」
勝「いえ、もうわたくしは十分に恵まれております。これ以上何かを頂くなんて・・・」
エリス「恵まれている人間はそんな絶望に満ちた表情しないわよ!まったく、あのポジティブモンスターがここまで落ち込むなんてね・・・まぁ、無理も無いわ。そ・ん・な・ことより!これ!あげるわ!」
女神は左手を腰に当てて、自慢げにネックレスを見せびらかす。
勝「ありがとうございます、大事に使わせていただきますね。」
勝は、控え目に微笑んでみせた。
エリス「フ、フン!そんなリアクションを出来るのも今のうちよ!これの効果を知ったら、腰を抜かすんだから!これはね・・・」
勝「?」
続く




