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第14話 転生者、バレる。


 クルミがにっこり笑いながら言うと、しばらく時が止まったかのように静寂が続いた。


 ハヤテ「どういうことだ?フライングタイガーはDランクモンスター。そして、俺達はとっくに20ポイント以上稼いでいるぞ!」


 クルミ「残念ながら、白の覇者はDランクの討伐系依頼を一度も達成しておらず、また、現在フライングタイガーの討伐依頼は出ておりません。よって、昇格条件は満たしておりません。」


 タカシ「むぅ。確かにここ最近は、フライングタイガーの討伐依頼を見た覚えはない。それに、今回は異常事態だったからな。」


 クルミ「異常事態ですか?」


 クルミの表情が、急に深刻な顔になった。


 一ノ助右衛門「ああ、西側の薬草の群生地に貴重な植物を複数確認した。」


 勝は、アイテムボックスから採取した植物を取り出した。


 クルミ「こ、これは・・・!少々お待ち下さい!」


 クルミは、慌てた表情で走って行った。


 勝(こんな表情のクルミさんを見るのは初めてだ。)


 しばらくすると、頭にでっかいタンこぶを乗せたクルミが、マヤと一緒にカウンターの前に戻って来た。


 白の覇者達「・・・」


 白の覇者達は、クルミが何かヘマをしたことを悟って呆れた顔をした。しかし勝を含め、すっかり慣れてしまった。


 マヤ「待たせたね。どれどれ・・・確かに、貴重な植物ばかりだ。特にマジックリーフ。こいつがこんな近場に生えているなんて、間違いなく異常事態だね。」


 勝「それは何故だ?」


 マヤ「マジックリーフは、魔物の死骸を養分に育つ植物さ。それも、Bランク以上の魔物が生息している危険地帯に極稀にしか自生しない希少な植物なんだよ。そして、この辺りはEランク以下の魔物が大半で、Dランクのフライングタイガーでさえ滅多に現れない。これは間違いなく異常事態だよ。」


 勝「そうか、Fランクの依頼だから本来なら比較的安全なクエストのはずだからな。」


 マヤ「ああ、勝にとっては、災難な初クエストだったね。だが、これで他の3人は無事Cランクに昇格だ。」


 タカシ「おや?先程クルミさんが昇格条件を満たしていないと言っていたが・・・ああ、なるほど。」


 マヤ「ついさっき、フライングタイガーの討伐依頼が出たんだ。このおバカはそれを確認もせずに話を進めるし、そもそも近場の薬草採取でフライングタイガーが出た時点で異常事態を疑わないなんてね。ベテランなのに新人みたいなミスをいつまでもするんだから。もうイヤになっちゃうよ。」


 マヤは、ため息をつきながら言った。


 クルミ「初心を忘れないのが、私のモットーなんです!」


 マヤは、クルミを睨みつけて拳を振り上げる動作をした。


 クルミ「や、やめてください〜!ギルマスの馬鹿力で何度も殴られたら頭馬鹿になっちゃいます〜!」


 マヤ「安心しな、アンタはもう既に大馬鹿だよ!」


 タカシ「ま、まぁ、私達も異常事態のことを真っ先に話すべきところを後回しにしてしまった落ち度がある。だからそんなに怒らないでやって欲しい。」


 マヤ「...まぁ、アンタがそう言うなら。」


 マヤが拳を下ろすと、クルミは安堵の表情を浮かべた。


 マヤ「薬草の群生地の調査依頼は、このあと掲示板に貼り出される。帰って来てすぐで悪いけど、白の覇者にも参加してほしい。この調査は人手が必要だからね。あと、デスティニーは参加出来ないよ。これはCランククエストだからね。」


 勝「そうか、分かった。」

 

 タカシ「フライングタイガーが出たんだ。仕方あるまいよ。それ以上のモンスターが出てきてもおかしくはないからな。」


 勝「ああ。だが、4人揃った方が達成もしやすいと思うんだがな。」


 ハヤテ「心配するな!この手のクエストは白の覇者の18おはこだからな!」


 勝「フッ、そうだったな。」


〜少し前、クエストの帰り道にて。〜


 勝「正直、こんなに強いメンバーが揃っているのに、今までDランクだったのが不思議なくらいだ。」


 ハヤテ「それなんだが・・・」


 タカシ「デスティニーが加入するまで、ウチのパーティーの殺傷能力のある攻撃は私の解体用ナイフだけだったんだ・・・」


 勝「ん?イッチーが使っている刀は?」


 一ノ助右衛門「これはミスリル製の居合刀       

(殺傷能力の無い刀)でござる。いくら振っても全く斬れないでござるよ。」


 そう言って一ノ助右衛門は、アイテムボックスから刀を3本取り出した。


 勝「な、なるほど?だが、ミスリルってかなり高価だろ?斬れないのにそこまでする必要あるか?」


 一ノ助右衛門「拙者はタンクだからな。攻撃出来ない分、刀の耐久力に特化するのは当然でござる。」


 ハヤテ「イッチーの"攻撃を防ぐ"能力においては、世界一だよ!ただ、剣を振って攻撃を防ぐというピーキー過ぎる能力のせいか、周りから過小評価されているんだ。」


 一ノ助右衛門「フッ、仲間達に評価してもらえればそれで十分でござるよ。」


 勝「そ、そうか。じゃあ、ハヤテは?拳銃を使っていただろ?」

 

 ハヤテ「俺の銃は、無属性魔法の身体強化と闇属性魔法のデバフを魔力弾にして撃っているんだ。どちらも攻撃魔法ではないな。」


 タカシ「だが、ハヤテの魔法、特に無属性魔法はスゴいぞ!普通、無属性魔法は自身にしか発動出来ないんだが、それを味方に付与出来るんだからな。恐らく、世界中でハヤテただ一人しか出来ない。ただ、そのせいで頻繁に引き抜きを試みるものが後を絶たなくてな。」


 勝(そういえば、テツもそんなこと言ってたな。) 


 ハヤテ「まぁ、俺とイッチーもすごいんだが、一番凄いのはタカシなんだよな。」


 一ノ助右衛門は、大きく二度頷いた。


 勝「オールラウンダーってことか?」


 ハヤテ「間違ってはいない。ただ、タカシの一番の強みはその場にいる全員の生存確率を飛躍的に上昇させるところにあるんだよな。」


 勝「・・・?」


 タカシ「さ、さぁ!もう街に着いたぞ!」


 タカシは、話を遮るようにして言った。


〜現在〜


 勝(確かに、モンスターの討伐の必要が無いのであれば、白の覇者の右に出るパーティーはそういないだろう。)


 マヤ「まぁ、でもデスティニーならすぐにCランクになれるから焦る必要はないよ。」


 勝「ああ、それに関しては俺も心配していない。何せあのメンバーと一緒のパーティーだからな。」


 マヤ「フフッ、もうすっかり信頼しているみたいだね。ただアンタも、初めてのクエストであのだだっ広い薬草の群生地から希少な植物をこんなに見つけ出すとはね。流石"鑑定魔法持ち"だね。」


 勝(!?コ、コイツ・・・!人前でバラしやがった!しかもクルミさんの目の前で!)


 一ノ助右衛門(勘がいい上に、口が軽い。相変わらずたちが悪いでござる・・・)


 ハヤテ(あ〜あ、こりゃあ大変なことになるぞー。)


 タカシ(強く生きるのだ、デスティニーよ・・・!)


 クルミ「えぇーー!?鑑定魔法持っているんですか!?すごいじゃないですか!!私、鑑定魔法持っている人初めて見ました!!」


 ただでさえよく声が通るクルミの声が、いつもに増して大きくなった。当然、ギルド内にいる全員に聞こえてしまった。次の瞬間、ギルド内は大地が揺れていると錯覚する程に騒がしくなった。


 クルミ「わわっ!?すごい騒ぎになっちゃいました!」


 勝(誰のせいだと思ってる!)


 マヤは目を泳がせており、珍しく同様していた。そして・・・


 マヤ「・・・てへぺろ☆」


 勝(ぜ、絶望的にかわいくねぇ・・・)


〜謁見の間〜


 サン・ルナ・ステラ・ノワール「・・・」


 4人の女神は、座っているエリスの前に立って睨みつけていた。


 エリス「あ、アハハ・・・」



続く


 

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