第1話 転生者、女神と出会う。
「俺の名前は運命 勝16歳、高校2年生だ。自分で言うのも何だが、楽観的な性格で、悪い事が起きた後には大抵いい事も起こる。人生は山あり谷ありというが、これはあまりにも谷過ぎる・・・!」
気が付けば俺は地面に寝ていて、周りには何もない空間が広がっていた。そして目の前にはとても美しい女性がいて、こちらを見つめて微笑んでいた。
謎の女性「目が覚めましたか、勝さん。突然ですが、あなたは山で熊に襲われている女性を庇って、奇跡的に生き延びましたが、川に転落して流された後、川で鮭を取っていた別の熊に襲われて死んでしまったのです。」
勝「俺、やっぱりあの時死んだのか・・・。でも、何で俺は今ここに?あなたは?」
エリス「申し遅れました。私の名は女神エリス。これからあなたを魔法のファンタジー世界に転生させるために、ここ謁見の間にあなたの魂をお呼びしました。」
勝「魔法のファンタジー世界!?もしかして、俺生まれ変わるのか!?ってことは、何かチート能力を授けてくれるとか?」
エリス「は?そんな物ないよ。それに、転生するとは言ったけど、0歳から人生やり直せるほど世の中甘くないよ。今と同じ16歳で、見た目も同じように作り直すから。あ、記憶はそのままだから安心していいよ。」
勝「エ、エリス様?何だかさっきとキャラが違うような・・・?あと、これから俺どうすれb」
エリス「チッ、さっきから質問が多いなぁ。それに、いつまでもアンタがここで熟睡しているから、こっちは時間押してるの。後のことは自分で調べてよ。」
勝「そ、そうだな。人生山あり谷ありと言うし。ありがとう、エリス様。俺、頑張るよ!」
エリス「人生山あり谷ありねぇ・・・。そう上手くいくといいけど。まぁいいわ、私も陰ながら応援してるから頑張りなさい。それじゃあ、転生始めるわよー。」
勝「ああ、行ってくる!」
勝(・・・最後の女神様の言葉が気になるけど、今考えてもしょうがない。人生山あり谷ありだ!)
勝(気が付くと、俺は森の中にいた。前世で死んだ森とよく似ているが、森なんてどこも似たようなものだろう。森には若干のトラウマもあるので、まずは人里か街を目指そう。)
勝「えーと、どっちに進めばいいかな?」
その時、すぐ近くから男性の叫び声が聞こえた。何者かに追われているようだった。
勝「まずい、すぐ助けにいかないと・・・!」
勝が走った先には、今にも熊に襲われそうになっている中年の男性がいた。
勝(く、熊!?よりによって・・・!だが、ここは魔法のファンタジー世界、一か八かだ!)
勝「くらえ、ファイア・ボール!」
次の瞬間、決して高威力とは言えないが、手から火の玉が出て、熊に直撃した。驚いた熊はその場から走り去った。
中年の男性「あぁ!冒険者様、ありがとうございます。何とお礼したらいいか・・・!」
勝「い、いや、俺は田舎から飛び出して来たばかりで、その冒険者とやらも全く分からないんだ。さっきのファイア・ボールも偶然出ただけで・・・」
トム「なんて命知らずな・・・!いや、命の恩人に失礼だ。そ、そうだ!私の名前はトム。あなたのお名前は?」
勝「俺の名前は勝。お礼なら気にしなくていいよ。」
トム「そういう訳にはいきません。そうだ、この白金貨をお礼に差し上げます。」
そう言ってトムは、化粧箱に入っている白金貨を差し出した。
勝「分かった、ありがとう。じゃあ、遠慮なくもらっておくよ。」
トム「ところで、勝様はどちらに行かれる予定ですか?」
勝「実は、道に迷ってて、人里か街を探しているんだ。」
トム「ならちょうどよかった。ここから20分ほど先に大きな街があります。街までご案内いたしましょう。」
勝「ありがとう!助かるよ!」
こうして、勝はトムにこの世界の事を色々聞きながら、街へと向かった。たがしかし、このとき勝は重要なことをトムに聞いていなかった。
〜謁見の間〜
エリス「は、白金貨ァ!wそんな物もらってどうすんのよ(笑)。しかもこの世界の通貨の価値も聞かずに(笑)。1000万円の小切手握りしめて何が買えるっていうのよ!w人生山あり谷あr、ブフォ!www」
エリスはひとしきり笑い転げた後、にやけながら呟いた。
エリス「あー、ほんと、これだから女神の仕事は辞められないわぁ。」
〜勝のいる世界〜
トム「さあ、着きました。ここいらじゃ1番大きな街、グラベルタです。これからどうするんですか?」
勝「とりあえず、仕事を探しているから、さっき教えてもらった冒険者ギルドに行ってみるよ。」
トム「そうですか、勝様ならきっとすごい冒険者になれますよ。それじゃあ、お元気で。」
勝はトムと別れたあと、街の中央にある冒険者ギルドに向かった。これから、渓谷のような谷続きの出来事が待ち受けているとも知らずに。はたして、勝は山という名の幸せをつかみ取ることができるのか!?
勝「冒険者ギルド、楽しみだなぁ!」
続く