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紅玉の正体

「邪魔です。どいて下さい」


 蒼子は目の前にある美しい顔を手で押しのけて身体を起こした。


「貴様……私がどれだけ心配したと思っているっ……」

「何か心配なことがありましたか?」


「お前がうなされていて全く目を覚まさないからだ! 身体は大丈夫なのか? それに紅蘭は一体何をした? あやつは何者だ?」


 凄い剣幕でまくし立てるように鳳は蒼子に詰め寄った。


「ちっ……」


 面倒なことを聞いてくれるな。


「おい、今舌打ちしな?」

「いえ? 気のせいです」


 ふふっとにっこり微笑んで蒼子は舌打ちを誤魔化す。


「何って言われても……」


 そんなこと聞かれても……ねぇ?


 蒼子は困ってしまう。


 紅玉は蒼子の大事な家族であり、宮廷神女である蒼子の手助けをする神官見習いなのである。


 蒼子の家は昔から神力を持つ者が多く生まれる家系で歴史が古く、先祖の多くが神官として王家に仕えて来た。


 大神官と呼ばれる人物の元で神官見習いをしていたのだが、どうも性格の不一致か、上手く過ごせなかったようで今は蒼子付きの神官見習いをしている。


 身内の贔屓目なしに神力も高く、優秀なので見習いなどさっさと卒業して一人前の神官として仕事をしても問題ない。


 紅玉は気配に敏感で、人の気配や神力の気配を辿る失せ者探しを得意としている。索敵能力も高く、戦陣でもその能力は発揮できるだろう。


 蒼子を見つける事が出来たのも紅玉の力があったからだ。


 見習いから神官になれば仕事は増えるが給金も増えるし、出世すれば楽もできるのだが。


 なのに未だに見習いの肩書を大事にしているので意味が分からない。

 蒼子も紅玉も他の神官達も王宮の外では身分を言いふらすことはしない。


 人に知れて良い事は起こらない。


 こんなに親切にしてくれて申し訳ないが、鳳達にも伝える訳にはいかない。

 今回、紅玉は蒼子を夢から覚醒させるために神力を使ったのだ。


 随分と弱っていたが仮にも神である水神の神力に干渉した代償は大きいはずだ。紅玉も蒼子と同じようにろくに神力を補えず、ここまで来たはずだ。


 神力を消費し、しばらく目は覚めないだろう。


 鳳が紅玉を問い詰めるまではまだ時間がある。

 蒼子は鳳に視線を向けると真剣な眼差しで蒼子の言葉を待っている。


 右目は眼帯で覆われているが整った顔立ちは不機嫌そうでも美しいと思える。  

これなら市中の女性が夢中になるのも頷ける。


 さて……。


 無言でこちらに視線を送り続けるこの男に。


 どうやって誤魔化そう……?






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