危険の訪れ
俺とクルーシアは村に戻ってお湯を注いだカップラーメンを村の住民全員に配った。 人数は36人。 残りのカップラーメンはまだ300個以上ある。
「皆さんどうぞ! これはさっきクルーシアに食べさせた「カップラーメン」という俺の国の食べ物です。 3分で出来るとても美味しい食べ物です! 3分経ったら蓋を開けて、かき混ぜてから食べてください!」
そして、ラグおばさんにもカップラーメンを渡した。 ラグおばさんには、クルーシアと同じの醤油味。
「ラグおばさんもどうぞ。 食べてください。」
「このカップラーメンっていうの、とっっても美味しいんだよ! だから…食べて…。」
クルーシアが泣きそうになっていた。 俺もそれを見て少し感極まってしまった。
「錦木さん、いいんですか? いただいて。」
「えぇ。 どうぞ。 お食べください。」
そしてラグおばさんはカップラーメンの麺をすくいあげ、特に冷ましもせずに口に運んだ。
「…。」
「どう? ラグおばさん…。」
「美味しい…。 美味しいです…。 こんな美味しいもの、村が栄えてた頃も、産まれてからもないです…。 ありがとうございます、ありがとうございます……。」
ラグおばさんが両手を合わせ、涙を流し始めた。 そしてその隣ではクルーシアが大泣きしていた。 村の住民達も次々俺の所にやって来て、感謝を述べる。 なんだか、村の英雄になれた気がした。
いや、俺カップラーメンあげただけだぞ。
ーーー数時間後
日も沈み、だんだんと眠くなって来た。 2つしかない寝具は、ラグおばさんが「錦木さんとクルーシアで使ってください。 私は友人の所で寝ますから。」と言って使わせてくれた。
「ゴロゴロ スリスリ フミフミ」
「…。」
だが、俺は今、クルーシアに猫が甘える時の3つの行動、「ゴロゴロ」「スリスリ」「フミフミ」を全て同時にやられていた。 ゴロゴロ鳴きながら俺のお腹に乗っかり、両手でフミフミ、顔を俺の胸にスリスリしていた。 普通どれかひとつでしょ…。 これじゃ布団ひとつで十分じゃん…。 やっぱり獣人って分かりやすい。
「錦木。今日は本当にありがとう。 本当に助かった。 ラグおばさんも、村のみんなもこんな素敵な思いができて嬉しそうだった。」
「よかったよかった。 俺も嬉しかったよ。」
むしろ俺の方こそありがとうだった。 異世界にきて右も左も分からない時に村に誘ってくれて。 ただちょっと、頭も体も疲れ切っていた為、眠くなって来た。 そしてそこにクルーシアのフミフミの心地よさ。
「ごめん…、ちょっと寝そ…。」
俺は寝落ちしてしまった。
翌朝
「ま、まぶしっ…。」
隙間だらけの家でほとんど日光が遮らずに目に当たった。 隣の布団にはクルーシアはいない。 ラグおばさんの所にでもいってるのかな?
外に出てみると、全く知らない所に来ていた。
え、一体ここはどこだ? ラグおばさんの家の形は全くもって一緒。 だけど周りには人の姿は誰1人見つからず、ただ木がたくさん生えていて、それにはたくさん木の実が付いていた。 もしかしてこれがグルミの木の実か?
「ドーーーン!!!」
東の方向からとてつもない爆発音が聞こえ、地面が揺れた。 俺はものすごく嫌な予感がした。 昨日聞いた話が蘇る。
【残りのカップラーメン数】 328個
「カップラーメン1年分が当たった俺、貧困異世界で無双する」を読んでくださり、ありがとうございます。
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