表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

猫少女、クルーシアの過去

 「錦木は旅してて寝る所ないから、今日泊めてあげるんだ!」

 「なるほど。 そういう事でしたか。」

 「あ!! ラグおばさん!」


 奥の家から腰がひん曲がって歩くのもやっとそうなお婆さんが出てきた。 このお婆さんには、右腕が無かった。


 「錦木! この人は、ラグおばさんっていって、私の親の代わりに私を育ててくれてる親みたいな人!」

 「あ、そうなんだ。 優しい人だね。」


 俺はこの「ラグおばさん」という名前をどこかで聞いた覚えがあった。 …あ、確か俺を襲った時にこの名前言ってたな。


 「錦木さん。 クルーシアを助けてくれてありがとうございます。 今日は是非私達の家に泊まっていってください。」

 「あ、ありがとうございます。」

 「さ! 入って入って!」

 「お邪魔します。」


 二人の家に入ると二つの寝具があり、一つの寝具は大量の桜の花びらでできた敷布団と毛布。 もう一つの寝具はそこら辺に生えてる雑草で出来た寝具があった。 おそらくだが、桜の花びらの方がクルーシア用の布団だろう。


 「この布団!綺麗でしょ! 村のみんなが毎年桜の花びらを使って布団を作ってくれるの!」

 「うん…。綺麗だ。」


 俺は少し魔王達に怒りを覚え始めていた。 小さな棘が俺の心をチクチクと刺し始める。


 「あ! 錦木ちょっと待ってて! 飲み物持ってくる!」

 「あ、いやいいよ! 大丈夫だよ!」


 そう言った頃にはもうクルーシアの姿は無かった。 一体どこに向かったんだ?


 「おそらく、「グルミ」という木の実で使ったジュースを持ってきますよ。」


 ラグおばさんが俺の頭で考えていた事を見透かしていたかの様に俺の疑問を解いた。


 「この村はね、数年前までとても栄えていたんです。 活気あふれる声で溢れていたんです。 ただ、魔王がこの村を見つけてからは一気に変わりました。 月2回、大きな悪い獣人が来て、全てを奪っていくんです。」


 ラグおばさんは出来る限り腰を、顔を上げて俺に伝える。 その身体はプルプルと震えていた。 そんな無理しなくていいのに。


 「クルーシアがまだ幼かった時、クルーシアのお父さん、お母さんはその魔王の手先に連れてかれました。 この村の若者はクルーシアただ1人。 あの子は、あの子だけが村の宝物なんです。 良い思いをして欲しいんです。 だからこそ、こんな女の子らしいかわいい寝具を村のみんなで作ってあげてるんです。 先程は「人を食いなさい。」とクルーシアに伝えてしまい、錦木さんは襲われてしまいました。 本当に申し訳ありません。 見た目は汚いかもしれませんが、ゆっくりしていってください。」


 ラグおばさんは、ひん曲がった腰で深々と謝罪した。 クルーシアにそんな過去があったのか…。 襲われた時はかなりびっくりしたが、こんな話を聞かされては何も責めれない。 ってか、もともと責めるつもりはないし、根本的に悪いのは魔王だ。

 

 「いえいえ、傷も浅いですし、数日あれば塞がります。お気遣いありがとうございます。」

 「では、私は少し出歩いてきます。 そろそろクルーシアも戻るでしょうし。」

 「はい。 分かりました。」


 これは思っていた数百倍深刻な話だった。 心の中がひどく抉られた。 村のみんな、優しそうな人たちばかりなのに。 やっぱりちょっと、魔王ムカつく。



【残りのカップラーメン数】 364個

 「カップラーメン1年分が当たった俺、貧困異世界で無双する」を読んでくださり、ありがとうございます。


 気に入った方は、もしよければブックマーク、↓の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎などで評価をよろしくお願いします!m(_ _)m


 皆様の評価を参考にさせていただき、より良くしていきます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ