獣人って怖いかも…。
「んじゃ、この大量のカップラーメンは私が持つね!」
クルーシアが大きな風呂敷を取り出し、カップラーメンを包み始めた。 流石に一個一個の重さは軽くても364個もあればかなりの重量だ。 あんな小さい女の子に持たせるわけにはいかない。
「え、いやいいよ! 俺が持つよ。」
「え? なんて?」
「…。」
片手で持ち上げていた。 俺は声が出なかった。 やっぱ獣人って怖いかも。
「んじゃ付いてきて! 案内する!」
俺とクルーシアはクラーク村に向かった。
「私のクラーク村はね。 すんごく貧しい村なの。」
そういや、あの神々しいじいさんがそんな事言ってたな。
「悪い獣人を従えた魔王が、月に二回、その悪い獣人を私たちの村に派遣して、村から全てを持っていくの。」
うそ、魔王もいるのかよ! そんな事聞いてないぞ! まじかよ。 有名な小説の流れで言うと俺がその魔王を倒す流れじゃねえかよ!
「全てって?」
「金銭、水、食料、衣服。 まぁ、衣食住すべて。」
「そうなんだ…。」
こりゃかなり闇が深いな。 俺の力じゃ魔王は倒せないけど、できるだけ力になってあげよう。
「あまり遊ぶ物も何も無いし、本当に何にも無い村だから、明日の朝には旅立ってね。 錦木に退屈な思いさせたくないし。」
「…お、おう。」
「あ! そろそろ着くよ!」
もうそろそろ着くらしいが、村らしき物は何も見えない。 もしかして地下にあるのか?
「着いた! みんなーっ!帰ったよー!」
「………。」
目の前には悲惨な光景が広がっていた。 出迎える人々は皆、骨が剥き出しになる程痩せ細っていた。 服も穴だらけ。 家はそこら辺に落ちてるような木やゴミなどで出来ていた。 おそらく、その魔王の手先が来る度に家も壊していっているんだろう。 腕がない人もいた。 これは、かなりひどい。
「ラグおばさんは?」
「おお、帰ったのかクルーシア。 ラグなら家の中におるぞ。」
村長らしきおじさんがクルーシアの問いに答えた。
「ところで、クルーシア。 隣にいる彼は誰なんだ?」
「この人は錦木っていうの! 私が食糧を探していて、力尽きそうになった時に助けてくれたの!」
「お、おおお…。 なんと優しき人…。」
目の前にいた人々が突然頭を下げ始めた。 どうやらクルーシアは村の宝の様な子らしい。 見た感じ、この村に住む獣人はクルーシアだけみたいだし。 いや俺、カップラーメンひとつあげただけなんだけど!
【残りのカップラーメン数】 364個
「カップラーメン1年分が当たった俺、貧困異世界で無双する」を読んでくださり、ありがとうございます。
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