とある猫少女との出会い
「…ねぇ、一体どうしたの?」
「グスッ」
何も答えずにその猫少女は泣き続けてた。
その時、猫少女のお腹から「ぐーーーーうっ」っと音が鳴った。 なんだ? この猫少女、腹減ってるのか。 …そーだ。
「よし、んじゃちょっと待っててね。」
俺は醤油味のカップラーメンを取り出し、身の回りにお湯を沸かすのに使えそうなのが何かないか探した。 すると、近くに誰かが野営した跡があり、その周りには食器が散乱していた。 これはラッキー。 後は火だ。 俺はさっきの参加賞のマッチをポケットに入れていた。 どうやらこれはバレてなかったっぽく、普通に持って来れた。 これで準備万端。
「ちょっと待っててね。 三分! 頭の中でいち、に、さん、よん、って数えてて!」
ーーー三分経過。
「ほら、出来たよ。 食べな。」
その猫少女は今にも溶けそうなほど衰弱していたが、なんとか力を振り絞り、起き上がった。
そして、ズルズルっと醤油味のカップラーメンを口に運ぶ。
「…どう?」
「…………うまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
猫少女はあまりの美味しさに声をあげた。
「ズルズルッ、ズルズルズルッ」
ものすごい勢いでカップラーメンを貪る。 見た感じ、どうやら最近ご飯をあまり食べれてなさそうな感じだった。 そんな所にカップラーメンなんて食べたらそりゃそうなるよな。 俺だって仕事の昼休憩のカップラーメンは数分で平らげる。
「ゆっくり食べなよ。まだまだあるんだから笑」
「もう食べ終わった!」
「早っ!」
スープも完飲していた。こりゃたまげた。
「…。」
突然目の前の猫少女が悲しげな顔をしてうつむき始めた。 もう一個食べたいのか? …いや、流石にカップラーメンを一度にニ個食いはきついだろ。
「さっきは切りかかってごめん。 私、あんたを殺して食べようとしてた。」
ひぇ…っ。 やっぱり食おうとしてたのかよ! まぁでも死んでないし、傷も浅い。 このくらいなら3日あれば傷も塞がるし、何より何か訳ありな感じだ。
「別に大丈夫だよ。 俺の名前は錦木綾人。 君の名前は?」
「私の名前はクルーシア。 こんな美味いもの食べさせてくれてありがとう。 これはカップラー…メン?って言うの?」
「そうそう。 手頃な価格、お湯を入れればすぐできる、そして美味い! 俺のいた国では国民のほとんどが食べた事のある庶民的な物だ。」
「こっ…こんな美味いものを…国民全員がかっ!」
クルーシアは驚いた表情を見せた。 確かに、いつ食ってもカップラーメンは美味いしな。
「錦木の出身国はどこなんだ?」
「あ、あぁ…俺の国はね…。」
これ聞かれた時になんて答えるか考えるの忘れてたーっ! 「日本」って言っても伝わる訳ないし、「そんな国はない!」って怪しまれるのも厄介だ。 よし、ここは誤魔化そう。
「俺の国は…内緒!」
「えぇーー!」
「カップラーメン食べさせてあげたんだから、これくらいは許してよ。」
「寝る所はあるの?」
ギクーッ。 痛いところをつかれた。 寝るところなんてあるわけがない。 まぁここは嘘ついてもしょうがない。 素直に答えるか。
「寝る所はない。 ちょっと旅をしていたんだ。」
「んじゃ、私の村に来てよ! 私の村はクラーク村っていうんだ。 お礼として招待するよ!」
お、俺が行こうとしてた村じゃん。 ここはご厚意に甘えて寝かせてもらうか。 よくよく考えたら朝からずっと動きっぱなしだ。
「いいの? んじゃ休ませてもらおうかな。」
「うん!」
その瞬間、クルーシアの尻尾がピーンと垂直に立った。 確か、これって猫が嬉しい時にするやつだよな。 獣人って分かりやすくていいな。
【残りのカップラーメン数】 364個
「カップラーメン1年分が当たった俺、貧困異世界で無双する」を読んでくださり、ありがとうございます。
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