超能力=カップラーメン1年分
「…く、く、く…。」
どうやらこのおじいさんは舌を出しながら笑いを堪えているみたいだ。 まるでガ〇使でも見てる気分だ。
「あの、簡単に今の状況を把握したんですけど、僕は通り魔に殺されて、貴方にこれから異世界に飛ばされるんですかね?」
「…そうだ。 ちなみにお主の死因はカップ…ラーメンの引換券を…守る為に死ん……だ。 く、くく。」
俺は苛立ちを抑える為に歯を食いしばった。 相当馬鹿にされてるぞ。これ。 ちくしょう…。 まあいいや。 よく小説や漫画で目にしてた異世界転生ってやつを体験できるんだ。
「もう一つ言わせてもらう。」
なんだ? また馬鹿にしやがるのか?
「お主は選ばれし者だ。 超能力を得るか、自身の国から一つ好きなものを持っていくか。 選べ。」
え! まじ! 超能力貰えるなら超能力一択でしょ!
「超能力でおねがいします!」
「…あ、いや、その手に握ってるカップラーメンの引換券で一つとしてカウントするつもりなんだがな。 すまないすまない。 なんて答えるか気になってな。」
このっ…! …いや、耐えろ耐えろ。
「…で、これから僕はどこに飛ばされるんですか?」
「お主はまず、「クラーク村」という大きな国の端にある貧しい村に飛ばす事にした。 その国は人の姿をした様々な生き物が生息している。 そこに着いてからは自由にせい。 それ以外の情報は現地調達だ。」
あ、選ばれし者とか言われたけど、意外と放置系なんですね。 のびのびとできそうだ。 まぁ、超能力貰えなかったのは残念だけど。
「飛ばす前にそのカップラーメン一年分の引換券をしっかりとカップラーメンに交換してやろう。」
お、なんだなんだ。 ってっきり紙切れになるだろうと思ってたのに。 良い所あるじゃん。 これでしばらく食料には困らなそうだ。
「そしてこれを…持っていけ。」
ネックレスのようなものを貰った。 見た目はかなり細めで数珠の玉のような物が12個ついてた。 なんだこれ。
「いいですよ。 ネックレスとかつけた事ないですし。 慣れてないんで首元にずっと違和感ありながら生活する事になりそうなんで。」
「いいから。 持っていけ。」
少し強めな口調で言われた。 なんかの意味があるのだろう。
「…分かりました。 付けていきます。」
俺は慣れない手つきでネックレスを付けた。 チャラチャラしてるって思われたくないし、動く度に胸元で暴れられるのも厄介な為、服の中にしまった。
「よし、これからクラーク村に飛ばすぞ。 いきなり村の中に飛ばすと変な目に遭うだろう。 村の近くに川がある。 そこの川沿いに飛ばす。」
「分かりました。 …あの、一応感謝しますね。 僕のことを選んでくれましたし。」
その瞬間、おじさんが驚いたような表情を見せた。
段々と俺の体が透明になり、頭上の方に伸びていく。
「…頼んだぞ。」
「?」
俺の体が透明になるにつれ、視界がぼやけていく。
そして俺は意識を失った。
【残りのカップラーメン数】 365個
「カップラーメン1年分が当たった俺、貧困異世界で無双する」を読んでくださり、ありがとうございます。
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