ゴリラVS犬
ミルトの開始の合図に、ミルジが勢いよく飛び出した。
それを予測していたかの様に、カタルは地面に向けて拳を振り下ろしていた。え?カタルって図体の割には意外と頭脳プレイなのか?
「ドゴォーーン!!!」
とてつもない爆発音が村に響き渡る。地面には大きな窪みができた。やっぱこいつ化け物じゃん…。やっぱり、獣人って怖いかも…。
「ははっ! やるな!お前!」
どうやらミルジは間一髪の所でかわしていた様で、カタルの背後にまわっていた。そして、カタルのふくらはぎ辺りに噛み付く。
「ぐっ…。くそ!」
ダメージはそこまでなさそうだが、ゴリラと犬じゃスピードが違う。小型犬くらいの大きさだったらゴリラの方が速いが、大きめの犬なら犬の方がスピードは速い。それに、犬の方が小回りがきく。ゴリラは上半身の筋肉が発達していて、どうしても他の動物に比べてスピードが劣る。だが、握力は生物トップクラスに強い。掴んでしまえばこっちのもんだ!
「ほらほら! もっとくらえ!」
「い、痛え、くそ…。」
繰り返し、ミルジが噛みついては離れ、噛み付いては離れを繰り返していた。カタルの両足のふくらはぎにはおびただしい数の咬み傷が付いていた。カタルの足元には血の水溜り。これじゃらちが開かない。かといって、「捕まえる事に集中するんだ!」なんて言ったら余計に相手に逃げられる。どうする…。
「くそ、あ、足に力が入らない。」
カタルが地面に手と膝をつけ、亀の様なポーズを取った。そりゃそうだよな…こんだけ噛まれてたら足に力なんて入るわけない。これは木の棒を投げ入れて降参するか…?
「へっ!もう終わりか! んじゃそろそろ上半身を狙っていくぜ!」
ミルジがカタルの前からものすごいスピードで近寄ってくる。それに対し、カタルは依然、手と膝をつき、亀のポーズを取ったままだ。
「くらえ!」
ミルジがカタルの右腕に噛み付いた。その瞬間、カタルは立ち上がり、膝のバネを使ってミルジを頭上の空へと投げ飛ばした。えぇ?!立ち上がれない様に見せかけてたのか!すげえなカタル。やっぱこいつ、頭脳派だぞ。
「な、なんだと! 足に力が入らないってのは嘘だったのか!くそ!」
大空に舞い上がったミルジが悔しそうにしていた。猿やゴリラ、チンパンジーは物を大きく振り投げる力に長けている。
「もう逃げられないぞ!」
「パシッ!」
ミルジが落ちて来たところを、しっかりとカタルが掴んだ。これは勝った。ゴリラに掴まれて逃げれる者などこの世にいない。よし、攻撃だ!
しかしその瞬間、ミルジが不敵な笑みを浮かべた。
【残りのカップラーメン数】 326個
「カップラーメン1年分が当たった俺、貧困異世界で無双する」を読んでくださり、ありがとうございます。
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