「カップラーメン1年分の引換券」を手に入れた!
「ふあぁ」
午後五時四十分。 背伸びと一緒にあくびを垂れ流しながら、デパートの中を歩く俺、錦木綾人。 珍しく仕事が連休だった為、少しカッコつけて近所のスーパーではなくて、わざわざ街中のデパートまで買い物をしに来た。
だが基本、こういう時は後半になるにつれて「家で寝てればよかったな。」と、後悔してくるのだ。
「ちょっと買い過ぎたな。」
週二回買い物する俺は、一回の買い物は三千円以内に済ませる様にしていたが、手元のレシートには六千円の文字。 一人暮らしにとってはかなりの痛手だ。
「まぁ、美味しい惣菜とか買えたし。 家帰って食おっと。」
「本日、会計二千円毎に一回、豪華賞品が当たるくじが引けるキャンペーンを行っておりまーす! くじを引きたい方はレシートを持参の上、列に並んで下さーい!」
若いお姉さんの元気な声が店内に響き渡る。 長テーブルが二つあり、その上にはガラガラと回すタイプのくじがあった。 一等は超高級温泉旅館二泊三日ペアチケット。 二等は商品券十万円分。 三等はカップラーメン一年分。 それ以外にもなかなか良い景品が揃っていた。
一等は金色、二等は銀色、三等は銅色の玉が出るらしい。
もちろん俺が狙うのは、三等のカップラーメン一年分。独り身の俺にペアチケットなど当たっても虚しいだけだしね。
「すみません、三回分お願いします。」
突然起こったイベントに胸を躍らせながら、一回目を回す。
「ポタッ」
「あぁ〜っ、残念! ハズレ! 参加賞のマッチです! では、二回目もどうぞ!」
「ガラガラガラ ポタッ」
「あぁっ、残念! ハズレです!」
まぁ、そりゃ当たるわけないよな。 そもそもこういう系のくじってアタリ入ってるイメージないし。
「では、ラスト一回もどうぞ!」
「ガラガラガラ ポタッ」
「………………な、なんと! 三等のカップラーメン一年分です!! おめでとうございます!!」
「えぇっ!」
まさかの当たってしまった。 しかも一番狙っていた三等のカップラーメン一年分。
「こちらが引換券となります! こちらに記載されてる場所に向かい、手続きを済ませていただくと、後日ご自宅に365個のカップラーメンが送られます!」
「ありがとうございます!」
「パチパチパチ」
周りにいた人から大きな拍手をもらった。 やばい。嬉しすぎる。 もう日が暮れるので引換するのは明日にし、その引換券を落とさない様にあえて握り締め、自宅へと向かう。 だんだんと暗くなっていた空に幸せのバフがかかり、なんだか朝日のように光り輝いて見えた。
街中を抜け、段々と住宅街に入ってきた。 もう間も無く俺の家。 今日のこれからの予定はカップラーメン一年分の引換券を眺めながら、デパートで買った惣菜を嗜む。 これ以上の幸せはこれから先の人生でないだろうなぁ。そう考えながら歩いていると、不思議な感触と衝撃が背中に走った。
【残りのカップラーメン数】 0個(365個入荷予定)
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