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4、眷属の能力

 一つ目の能力は、最初に女神様が説明してくれた神域干渉。

 人間は最大で一日しか神域に滞在できなかったり、神域に入った場所にしか出られなかったりと不便な部分もあるけど、いつでもどこからでも自由に神域に出入りできるのは相当便利だろう。

 魔物に襲われそうになったら神域に逃げて、魔物が去ったらまた戻るってこともできるんだもんな……俺は今まで何度も魔物に殺されかけたことを思い出し、この力のありがたさを実感した。


 二つ目は神力操作だ。

 これは神力を使って、全ての属性魔法が使えるようになるらしい。この世界の魔法は火、水、風、土、雷、氷、光、闇と属性が分かれていて、生まれつき持っている属性の魔法しか使うことができず、さらには魔力量に応じた規模の魔法しか使えない。

 それを眷属は全部使えるっていうんだから、本当に凄い能力だ。しかも神力を使うから魔力量などを気にする必要はなく、ほぼ制限なしに魔法を使い続けられるらしい。


 最後三つ目は、平和の女神様特有の能力である仮初の平和。

 今までの二つは全眷属に共通の能力だけど、三つ目だけはそれぞれの神によって能力に違いがあるらしい。創造神様が決められた能力だと女神様は言っていたから、女神様が作った能力というわけではないそうだ。


 そんな能力の中身は、ダメージを移動できる力。例えば俺が負ったダメージを別の人間に移したり、その逆もできる。また他人から他人への移譲も可能らしい。

 一度使ったら数時間は使えなくなったり、ダメージを抽出しただけで移せなかったら爆発の危険があったりとデメリットもあるらしいんだけど……この能力って強いのだろうか。


 確かに凄い能力であることは分かるんだけど、平和の女神様の能力と言われると違和感があるというか……名前も仮初の平和って、平和っぽくないし。


「理解はできたかしら?」

「とりあえず、なんとか。でもあの、仮初の平和って平和の女神様の能力としては微妙じゃないですか? 爆発の危険があったり、ダメージを消し去るんじゃなくて移すだけだったり、名前も一時的な平和って意味ですよね……?」

「それは仕方がないのよ。ダメージを消し去るような、世界のバランスが崩れる能力は創造神様が作られないから。能力の名称は私が決めたのだけれど、言うなれば私への戒めね。一度平和を実現させたからって、それが永遠に続くなんてことはあり得ないのだから気を抜くなって」


 そういうことなのか……それなら納得できるかも。俺も平和の女神様の眷属となったからには、しっかりと認識しておこう。油断は綻びの元だからな。


「理解できました。ありがとうございます」

「良かったわ」

「能力を使いこなして、平和の女神様のお役に立てるように頑張ります」


 こんなに凄い能力を与えてもらったんだからと気合を入れて宣言すると、平和の女神様は優しく微笑んでくれた。


「期待しているわね。それと私のことは平和の女神じゃなくてセレミースと呼んで欲しいわ。その方が親近感があるじゃない?」

「いいのですか?」

「もちろんよ」

「では……、セレミース様」


 凄く綺麗な女性の名前を呼ぶという事実に照れながらも口を開くと、セレミース様は満足そうに頷いてくれた。


「それで良いわ。では能力についての話が終わったし、最後にこれからの連絡方法と神像の扱いについて話をして終わりにしましょう。色々と話をしすぎても覚えられないものね」


 俺はセレミース様のその言葉を聞いて、ほっと安堵して体の力を抜いた。もう既に記憶が曖昧になりかけていたのだ。


「まずは私とリュカの連絡方法についてだけれど、これに関してはいつでもどこでも自由に連絡可能よ。リュカ、心の中で私に話しかけてみてくれる?」

「分かりました……え、何これ」


 声には出さずにセレミース様と呼びかけたら、その直後に頭の中で『何かしら?』と声が響いた。


『聞こえているでしょう? これが下界に戻ってからもできるから、いつでも会話が可能よ』

「凄いですね……では何かあったら連絡させていただきます」

「ええ、私からも色々と連絡すると思うから、忙しくなければ答えてね」

「分かりました。……そういえば、セレミース様は下界? の様子って見えるんですか?」


 俺がその質問をすると、セレミース様は東屋の中にある水瓶の前に連れて行ってくれた。そしてどこから取り出したのか分からない杖で水面を軽く叩くと、下界の様子が映し出される。

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