7 職業は不遇でした
次がその次あたりで恐らく魔物と戯れる……予定。
( ˘꒳˘)
テイムする確率は限りなく低い。
どのくらいかと言うと、自販機の下に100円玉が落ちているぐらい。
……それでも分かりづらいので、ソーシャルゲームのガチャで表そう。
実はこのFIW、プレイヤーレベルが15までは初心者ボーナスとして、各職業にそれぞれボーナスが存在する。
例えば剣士だと剣の耐久力が少し上がる、魔法使いだとMPの回復速度が少し上がる、などの恩恵が受けられるのだ。
テイマーの場合だと、テイムできる確率が2倍になるという破格の数値なのだ。
が。
ここで冒頭のソーシャルゲームのガチャへと戻そう。
例えば、ゲームで最高レアリティであるURが排出される確率が0.5%だったと。
もし、そのゲームで最高レアリティが常より排出される確率がほとんど皆無だったとしよう。
そうなれば、例えキャンペーンで排出率が2倍になったとしても。
……結局は最高レアリティは出ないことが殆どである。
このゲームのテイマーはそういう状況下にある。
よってテイマーは不遇職、というレッテルを貼られているのだ。
「……ぅわぁお」
「……ひなちゃん、どんまい」
初めから挫折するようなこと言わないでよ……。
でも、それでも。
「……私はテイマーを貫き通すよ!」
「うおっ!ま、まじで!?」
「まじまじの大まじだよ!」
自分の欲を満たす為ならば、多少の障害だって乗り越えてやる。
「では、こちらが登録完了いたしました冒険者カードとなります!紛失した場合再発行にかかる費用は1万Gですのでご注意ください!」
現実ではなくゲームであるのだから無くすことは殆どないと思うが、注意するに越したことはない。
一応チュートリアルクエスト達成の報酬として5万Gが含まれていたけど初心者からしたら1万はでかいしね。
「ひなちゃん、本当にいいの?」
「大丈夫大丈夫ー、なんとかなるって!!」
「そうだといいけど、今までのテイマーの姿を見ていると心配すぎる……」
「もうっ、ななちゃんは心配性だなぁー」
菜々美はテイマーのことだけで心配している訳では無い。
いつもぽわぽわしている陽菜+不遇職という絶対不安しか産まないコンビが爆誕してしまったから心配度が爆速で跳ね上がっているのである。
「そういえば、ななちゃんは何の職業なの?」
「私はベータテストからやってるからユニークの『魔剣士』っていう職業なんだわ」
「へぇー、何か強そうだね!」
よく分からないけど、ななちゃんは強いから強いんだろうなぁ。
そう言えば、今って何時だろうな。
「ななちゃん、今何時?」
「えーと、ちょい待っ……あっ」
……?
あっ、まさか……。
「ご、ごめんひなちゃん……、何時もの寝る時間、過ぎてる……」
なんと、11時……!
「えっ、もうそんな時間なの!?」
ゲームって時間経つの早く感じるんだね……。
恐ろしや。
「と、とりあえずログアウトしなよ」
「ログアウトってどうやるの!?」
「手をかざして横にスライドすればメニュー画面出るから、そこの1番下!」
言われた通りにやって見ると、ほんとうにメニューが現れて1番下に『ログアウト』と表示されていた。
凄いなぁ、最新の技術って。
「じゃあ寝るね、おやすみななちゃん」
「私はもう少しゲームしてっから、またね。また明日学校で!」
急いで明日に備えて寝ないと!
( ˘꒳˘)
このひとことに限る。