20 キモイやつ
タダイマキヒコ。
……RISEできません。あいどんとはぶすいっち。
ウマ娘で大爆死してやる気が絶不調だっただけです。
ゆるして。
( ˘꒳˘)
こつこつ、と。
ヒナが暗闇の中、進む音だけが通路に響き渡る。
ベルゼイブと戦った時の広間からナナ達と分断された地下に入り、ホーリータイガーの手助けもあって真っ暗であったその部屋の様子を何とか確認することが出来た。
部屋の奥には1つの通路があり、明らかに怪しかったので他の魔物達は動物園に還した後、ホーリータイガーと共にその通路へと足を踏み入れた。
「ナナちゃん達、どこ行っちゃったんだろう……?」
『ヒナ様、彼らは無事ですよ!だって皆とてもお強いのですから!』
「……うん、そうだよね!よーし、頑張って探そー!」
若干不安がしこりとなって残るが、暗い気持ちのままでは何も出来ない為気持ちを切り替えてナナ達の探索へと挑む。
通路を進んでいくと前方に何らかの気配が確認できた。
プレイヤーだったら暗くても上の方に名前などの情報が記載されるためその可能性は無い。
『……ヒナ様、私でも見たことがない……魔物……です』
「え……?」
どうやら魔物であるようだが、ホーリータイガーですら知らない未知の魔物のようだ。
『あと……3、2、1……接敵します!!』
ホーリータイガーが魔物との遭遇までの時間をカウントし、ヒナはそのホーリータイガーですら知らなかった魔物との会合を果たした。
「……うぇ……」
一言で言うと、キモイ。
タールのように真っ黒で、スライムのような液体状で常時ドロドロしている。
表面はツルッとしておりまるでGのよう。
歩いた後に残るのはその魔物から分泌されているであろう粘液。
スライムのように見えるのだが、スライムでない。
「『月光』!!『星纏』!!『月の光』ぃぃぃ!!!!」
キモかったので速攻いつもの攻撃を使った。
唐突な攻撃が謎の魔物を襲う!!
『ピギィィィィィィィ……イッ…………』
少し耐えていたようだが甲高い鳴き声を上げた後、断末魔を残して消え去った。
「……あれ?……なんか、弱くない……?」
『そう……ですね……で、でも、油断大敵ですよ!!個体差みたいなのがあるかもしれません……しね!?』
その後もいろいろな謎の魔物と戦った。
見た目が狼のキモイやつ、見た目がクマのキモイやつ、見た目が鹿のキモイやつ、見た目がetc……など。
様々なキモイやつが出てきたのだがどれもが弱かった。
途中からホーリータイガー単体だけでも簡単に倒せてしまうことが分かってしまったため見つけた際にはホーリータイガーが速攻で倒しに行っていた。
見つけたら倒すを繰り返していたからか、何やらキモイやつが『モウヤメテ……ボクワルイキモイヤツジャナイヨ……?』と言うかのようにフルフルと震えていた。
どうやらキモイやつにも感情があるらしい。
『もうこの個体のことは『キモイやつ』と呼びましょうか』
「そうだね」
先程からキモイやつのゲシュタルト崩壊が起きすぎて精神が若干おかしくなっているヒナとホーリータイガーはめんどくさいから謎の魔物のことをキモイやつと呼ぶことした。
この通路限定なのか分からないけど、今後ともよろしくな、キモイやつ。
眠いって打ったら『俺以外に寝顔みせんの禁止ね』ってSimejiが変換催促してくるのキモすぎてキモイやつになりそう。
ボクワルイキモイヤツジャナイヨ……?
( ˘꒳˘)




