3 岩場の奥へ
ウマ娘楽しい。
しかしハルウララ、おめーだけはダメだ。
ハルウララに殺意が湧きました。
いや、可愛いんだけどさ?
( ˘꒳˘)
「よっしゃぁ……ヒナさんとフレンドなったぞ……!!」
ヒナとフレンド交換した後のナガレは喜びを噛み締めるかのように手をグッと握りしめ明後日の方向へと向いて涙を流していた。
その様子をヒナはよく分からない様子で、ナナは冷めた目で見つめていた。
「……ヒナちゃん、あっちの岩場行こ!!」
「えっ、あ、うん!!……ナガレくんは……?」
「いいのいいのアイツは放っておいて!!」
「あっ、えっ、……ナナちゃんがそう言うなら……?」
ヒナはナナに背中をぐいぐいと押されて海辺の端にある岩場へと足を踏み入れた。
ちなみにナガレはまだ泣いていた。
「ここの岩場って何か涼しいね……」
ひんやりと冷たい風が火照った肌を冷やしていく。
「本当だね……って、あぁ……ここが涼しい理由はあそこに穴があるからだよ」
と、ナナが指を指した方向に目を向けると岩と岩の隙間に大きな穴が空いているのが確認できた。
近づいてみると本当にここから冷たい空気が出ているらしく、奥の方からヒュウヒュウと風が音を立てていた。
「ヒナちゃん、入ってみよう!!」
「えっ……でも暗いよ?」
「だいじょぶだいじょぶ!悪魔がいたとこよりは暗くないよ!!」
あの時の淀んだ漆黒と比べるのは間違いである。
と、当時の記憶を思い出していると。
「まっ、待ってくれぇー!!」
と、情けない声を上げつつナガレが走ってきた。
「チッ……ナガレは来なくていいのに!!」
「はぁ?お前は黙ってろようるせぇなぁ!!」
「勝手に着いてきてるのに何よその態度!!」
「グッ……めんどくせぇなぁお前はやっぱ!!」
喧嘩を始める2人。
「ナナちゃんもナガレくんも喧嘩はやめて?ほら、仲良くしよう?あくしゅあくしゅ……」
2人をなだめようと間に割って入り、2人の手を取り強制的に握手をさせる。
その際必然的にナナと、ナガレの手にヒナの手が触れてしまう。
「!!……ふへへっ……」
キモイ笑みを浮かべるナガレ。
それを先程よりも冷めた目で見つめるナナ。
そして何も気づかないヒナ。
「じゃあナナちゃん、奥に行こ?」
と、切り替えるべく普段よりも声を張ってしゃべるヒナ。
その様子を見て冷めた目を緩めたナナはヒナに。
「やっぱヒナちゃんは可愛いねぇ……」
と、まるで近所のおばあちゃんのように優しい口調でそう言った。
何の脈絡もないこのやり取り。
唐突なこの達観したナナの発言にナガレは引いていた。
どっちもどっちである。
洞窟をしばらく進むと、開けた場所に出た。
天井からは小粒の雫が滴り落ちており、まさに地底洞窟といった雰囲気だ。
先程は意外と小さめな洞窟なのかな、と思っていたが予想より大きくて驚く一同。
すると唐突に更に奥の方から何やら歌声のようなものが聞こえ始めた。
声のトーンから、男の声だ。
「ナナちゃん、行ってみる?」
「……そりゃぁまぁ、行くっきゃないでしょ!!」
「俺が先行するから、ヒナさんは後ろから着いてき……あっ……」
ナガレが言っていたことはどうやらヒナに聞こえなかったらしくナナと手を繋ぎどんどん奥へ進んでいくヒナ。
「…………しょぼん」
ナガレというベータテスターランキング1位のプレイヤーの背中が小さく見えた。
ちなみにオグリキャップが推し。
天然は好き。
大食いも好き。
かわいい。
( ˘꒳˘)




