1 海だぁぁぁぁぁ!!
海だぁぁぁぁぁ!!
今春だぁぁぁぁぁ!!
夏じゃないんだぁぁぁぁぁ!!
( ˘꒳˘)
初イベント『深海祭』というのがここ第2の街『シーランド』で行われるようだ。
どのプレイヤーもこのゲームが始まって、初めてのイベントということなので期待に胸を膨らませている。
私もその内の1人だ。
「多分開催される今回のイベントはアイテム収集系じゃないかな?」
「なにそれ?」
ナナは先程からヒナに対して開催されるイベントの考察を語っている。
出てくる敵は水生生物系統、戦闘地域の環境は水中だろう、とか。
早口でどんどん話していくのでヒナの頭にはたいして情報が残っていなかった。
「ボスはどんなのだろうなー……深海魚かな?……それとも、シーマン?」
「深海魚かぁ……かっこいいのもいるけど、少し怖いのもいるからなぁ……」
もしそうだったら即座に気絶する自信がある。
……シーマン?知らない子だ。
「まぁとりあえずさ、イベントまで少し時間あるからこの街の付近を探索しようよ!」
「そうだね……あ!海行きたいなぁ!!」
「そうだね!(ヒナちゃんの水着姿!?……グヘッグへへへへへ……)」
少し邪気を感じたが、よく分からなかったので無視した。
「とりあえず準備のために動物園に戻ってもいい?」
「おけぇい!!」
そう言うとヒナはメニューを開き『ホーム』と記されたボタンをタップ。
すると指定画面が出てきて、対象をヒナとナナに設定した。
そして次の瞬間、ヒナとナナが光りだし。
「……っと、便利だけどなんか慣れないね……」
「そうかなぁ?」
平和な森 奥地 ……つまるところヒナの動物園に移動した。
どうやら自分の所有地には何時でも転移することが可能らしい。
そして元いた場所にも戻れるというスグレモノだ。
この間気づいたばかりだ。
そのことに気づいたヒナはこれからも頻繁にここに通うため小さな小屋を設置してそこに様々なアイテムを置いておくことにしたのだ。
このシステムのおかげでラビ以外のもふ成分を摂取したい時は直ぐに摂取することが可能になった。
ラビ曰く、悲しいとのこと。(意訳)
「とりあえずこの前購入した状態異常回復のアイテムとか持ってくね!!」
「りょーかい」
持ち物を確認し、準備を完了させる。
「じゃあナナちゃん、海行こっか!!」
「イエスマムッ!!」
堅苦しい敬礼を見せたヒナを軽く無視して。
いざ……!!
・ーーーーー・
「海だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
街に吹き抜ける潮風よりも爽快で。
日差しが強く照っていて。
日光が反射する海面はまるで宝石箱のように煌めく。
海の底が見えるほど透き通ったエメラルドグリーンの海に映えるサンゴ。
暑い砂!!
スイカ割りをする子供たち!!
そして……ッ!!
「ヒナちゃんのぉぉぉぉぉぉッ……水着ィィィィィィ!!!!」
海の前にあったレンタル店で借りた水着ッ!!
「きゃぁ、ってナナちゃん!!抱きつかないでよー!!」
「ふへへへへッヒナちゃぁぁぁん~ほぉーらこぉーんなけしからんモノぶら下げちゃって~んあぁぁぁぁぁぁここがええんか?ここがええんかぁ!?」
「ちょっ、ナナちゃんっ!!くすぐったい、っひゃん!!」
ここぞとばかりにヒナの美味しそうな果実を堪能するナナ。
ナナおじさん、ここに爆誕!!
「ん~お肌もすべすべもっちもち!!えっち!えっちじゃあ……ッテェ!!」
「はぁっ……はぁっ……、っもうナナちゃん!!やりすぎ!!」
ヒナも我慢の限界だったようでナナの頭を叩いて強制中断させた。
顔を火照らせ、ナナにまさぐられたことにより微妙にズレたビキニと汗ばむヒナの肌。
「ごちそうさまでしたっ……ゴフッ……」
血を吐いて地に伏せるナナ。
そして誰に向けたのやら『グッジョブ』と、手を掲げた。
「もう……ナナちゃん……、遊ぶ前にはっちゃけすぎ……」
「ナナ隊員、無事に生還致しました!!さぁいざ海へ行こう!!」
「うえぇっ!?休まなくて大丈夫!?」
「だいじょぶだいじょぶー♪」
驚愕の回復スピードで起き上がるナナ。
ヒナの手を取り海へとダッシュ……。
「おっ、おい!!ナナ……と……ヒナ、さんっ!!」
とは行かず。
「あ゛あ゛ん??」
と、ヒナと遊ぶ時間を奪われた恨みを込めつつ振り返ると。
「……ッ!!ナガレ!!なんでここにいんのよ!?」
「……?だれ?」
ナナからナガレと呼ばれた男が1人、立っていた。
……顔を赤らめて。
「何顔を赤らめて……!……ははぁ~ん?……さては、見た、な?」
「……ッ!!な、なっなな何言ってんだよこのバカ野郎!!」
そう言い争う2人を見て。
とりあえずヒナは。
「……ねぇナナちゃん、知り合い?」
と、疑問に思ったことを質問した。
「あっ、ごめんごめん。こいつはナガレって言って、最初ギルド内で私と会った時に言い争っていた奴だよ!!」
「……?……あぁ、あの人かぁ」
「覚えてくれていたんだ!!」
実は男がいた、ということだけ覚えているだけでその見た目は全くと言っていいほど覚えていない、とは言えない。
「ちなみにクラスメイトの『剣咬流星』だよ」
「えっ!!そうなんだぁ!!流星君もこのゲームやってたんだね!!」
剣咬流星……けんがみりゅうせい。
ヒナのクラスメイトであり、容姿端麗、運動神経抜群といった勝ち組である。
10人が見ると10人が振り返ると言っていいほど見目が良く、学校ではモテる。
ただし馬鹿である。
「俺としても、ヒナさんが……このゲームというかゲームをしていたのが意外だったなぁ」
「ナナちゃんに誘われて一緒に遊んでるんだ!!……そうだ!良かったらフレンドになろうよ!!私フレンド凄く少ないんだよねぇー……」
「ゑッ!!……ありがとう!!」
ヒナがナガレに近づく。
するとナナがナガレの後ろに回り。
「……ナガレ、見るな、よ?」
と、殺意を込めて言い放った。
「……お、おう……」
「……?何が?」
「ヒナちゃんー!なんでもないよー!!」
頭の上に???が浮かぶヒナであった。
水着回。
でゅふふ。
次回少し長めの掲示板回。
1章の内容が少し含まれます。
( ˘꒳˘)




