2 フリンフィニティ・ワールド? その2
(⊃ωー`).。oOアワアワ
(。・ω-。).。oO{眠ぃ…}
( ˘꒳˘)
先生の話を聞いて事ある事にノートに要点を書きまとめ、書きまとめを繰り返していたらいつの間にか放課後になっていた。
自分でも信じられないぐらいにVRMM……なんちゃらに惹かれているようだ。
いつもよりも足を早く動かし、ななちゃんとの待ち合わせ場所へ向かう。
「あっ…桜坂さんっ、少しいいかな……?」
「ごめんなさいっ!今急いでるので!!」
「えっ、あっちょっ……」
途中見知らぬ男子から声をかけられたが、それどころでは無い。
今の陽菜の頭の中はVRMMなんちゃらでいっぱいなのだ。
階段をおり、下駄箱で靴を履き替え、ななちゃんといつも待ち合わせているサクラの木の下へ向かう。
「ななちゃん、何時もだったら先に着いてるんだけどな……?」
そう不思議に思っているとカバンからぴこんっ、と着信音が聞こえた。
「……?、ななちゃんからだ……えーと、『いまもってきた』って、何を……?」
「はぁ、はぁっ……お、お待たせぇぇ……」
「あ!ななちゃー……ん?」
ななちゃんがやってきた……と思ったら。
「なに、それ?」
両手に少し大きめのゴーグル?のような何かをかかえていた。
頭に止めるようだと思われるバンドには『VRMMORPG Ver』と印刷されている。
ーーーあっ、VRMMORPGか、思い出した。
という考えは置いといて。
そのゴーグルはまさにSF!と言わんばかりの見た目をしている。
全体は白を基調とした表面に機械のような物がいくつか取り付けられた、少しこんもりとしたゴーグル。
「ひなちゃん、これが……『VRMMORPGゴーグル』だよ!!」
「ええっ!なんの捻りもないっ!?」
まんまだった。
「ふっふっふ、聞いて驚け!!……これでVRMMORPGが遊べるのです!!」
ばぁん!という効果音が似合いそうな香ばしいポーズと共に叫ぶ。
ちなみに、普通のことを言っているだけで何も凄いことは言ってないのだ。
「あれ、でもゲームするためには他に本体とか必要なんじゃ……?」
「古いよ考え方が!!今のゲームはね……」
「……今のゲームは……?(ごくり)」
「ゲームの情報が入ったディスクを予めゴーグルに読み込んでおくことで、ディスク他本体が無くても遊べるのだー!!」
「な、なんだってー!!」
またも香ばしいポーズと共に大きく叫ぶ。
これもまた、普通のことである。
「ま、茶番は置いといて、今から私んち行くぞ!!」
「……結局ななちゃんち行くならそれ持ってこなくても良かったんじゃ?」
「あっ……」
世の中触れてはならないこともあるのである。
・ーーー・
「さっきも言った通り、これが『VRMMORPGゴーグル』と言って、VRMMORPGを遊ぶ為だけに作られた特化型ゴーグルなのだ!!」
「ふむふむ」
「そしてこの中にはとあるゲームが元々内蔵されているのだ!!」
「とあるゲーム?」
「それこそ今世間をザワつかせ、今日サービスが開始される『フリンフィニティ・ワールド』というVRMMORPGだっ!!」
「ふ……ふりんふぃ……なんだってー!?」
放課後、ななちゃんの家でVRMMORPGゴーグルの説明を聞いていた。
そこで上がったゲームの名前は『フリンフィニティ・ワールド』。
フリーとインフィニティの造語らしい。
そしてなぜななちゃんがゴーグルを2つ持っているかについても聞いた。
ななちゃんはこのゲームのベータテスターだったらしく、ベータテスト中大会で惜しくも優勝を逃したものの2位であった。
2位の商品がゲーム入りゴーグルとその他会社の商品諸々であったところ、その他諸々を『親友とゲームがしたいから』という理由で何とか変更してもらいゲーム入りゴーグルを2個手に入れたという。ありがとう、ななちゃん。
そうしてゲームに関する色々な話をしていたらいつの間にか5時になっていた。
「忘れてた!サービスは5時からだった!!」
「えぇ!?」
「ひなちゃん!今すぐお家に帰りなさい!」
「どうしてー!?」
「胸揉むぞ!!」
「やめて!!」
ゲームのこととなると非情である。
相変わらずだなぁ……。
「……ん?」
懐からぴろんっ、と音がした。
見てみると、『また、ゲーム内で会おう』とメールで送られていた。
「ふふっ、キザっぽく言ってて可愛いなぁ……」
家に帰ったら私も、早速やってみようかな!
次からログインして……
( ˘꒳˘)