短編詐欺
新年始まったと思っていたら、もう17日。
光陰矢の如し。
毎度のことながら、あっという間に過ぎた感じである。
さて・・・
「よし、死ぬか」
お風呂場に首吊用の縄を設置し、死ぬ準備を始める。
なぜお風呂場かって?死んだときに畳の上だったら、特殊清掃の金額が
高額になりそうだから・・・って思うからかな。
死ぬのにも無駄なお金は使いたくないからね。
死んだ後は誰が発見するかわからんが、まあ職場で「〇〇さんが仕事来てない!」
って誰かが心配か不審に思って、いつか警察に通報して発見してくれるだろう。
日本の警察は優秀だから、大丈夫だろう。頼むぞ、ポリスメン!
・・・おっと、これはあくまで「僕個人の感想」だからね?
近所の警察、一時停止の待ち伏せしかしない、優秀じゃねえよってクレームはなしだぜ?
人を批判するのは何事もトラブルの元だ(個人で十分経験済み)
しかしまあ、適当に感情のまま、人生過ごしていたせいか、根拠もなく話す癖が
ついてしまったな。あと喋ってる言葉も考えている言葉もちぐはぐ。
まあいいや、さっさと死ぬか。
ネットオークションで買った、大きな存在感、神聖さすらただよう、太い縄をじっと見る。
「よくこんな立派な縄が存在したものだ。まさか1月から首吊に使うとは出品者も思うまい。
中途半端に行動すると麻痺が残って最悪の事態になりそうだ。気合と根性で思い切りいこう」
そうして、縄に手をかける。瞬間、
「あ、PCのwebサイト開き放しだったわ」
そんな時に思い出したのは、懐かしい思い出でも、家族の事でもなく、些細な事であった。
電源切るだけだから、さっさと切りに行こう。
死んだ後、死人に高額な電気代請求されてもかなわん。
「しかしここ最近は・・・いや1年以上か。感染症とクソ芸能ニュースばっかりだったな」
思わず苦笑いが出る。
・・・おっと、手が滑ってF5ボタンが指に引っかかった。
「死ぬ前にリロードボタンを押してしまうとは・・・PCの神様からの皮肉か?」
まあいい、つまらん時間を過ごしてしまったな。
電源コンセントを抜くだけでも良かったが、まあ長年連れ添ったPCだ。
最後は雑に扱いたくない。
そう思って左下に視線を移そうとした時に・・・あれ?
「大人気グラドル〇〇、衝撃のAVデビュー!」
噂は多かったが絶対にありえるはずのない組み合わせ、その画像が表示されている。
なん・・だと・・!?
な・・ん・・・だ・・と!?
な・・・
くわっ
両目をつむり、そして、痙攣するほどに見開く。
冷えていた体が、一気に熱を帯びてくる。
「死んでる場合じゃねえ!」
詳細情報に胸踊らせ、再び光り輝くネットの世界に首から画面に突っ込むがごとく、
前のめりでダイブ。
「誰だっけ・・・お笑い芸人のコントで似たような展開があったな。
・・・いけね。あれ片付けとかないと。」
お風呂場で1時間かけてした準備を早々に撤去。
それこそ光陰矢の如し。