ペンギン三兄弟 〜 43話 水上ステージ の巻
ペンギン三兄弟
チャン・・・性格は几帳面。声がいいが顔がデカい。
サングラスをかけている。つぶあんが大好き。
ドン・・・体はちっちゃいが、器用に何でもこなす。
収集癖あり。
ゴン・・・ド天然。普通のことが超不器用。
日々体を鍛えてる。ゴジラが大好き。
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
秋たけなわ、
赤、黄、オレンジに色づいた山の紅葉が見頃です。
お天気の良い今日は、3羽はケーブルカーに乗って
山の頂上にやってきました。
チャン「紅葉が見事だね」
ドン「ほんときれいだよね」
ゴン「空気もおいしいし、最高だね」
3羽は、お茶屋さんで、お約束のお団子をほおばりながら、くつろいでいました。
ふとみると
「ライン下りはこちら」
と書いてある看板が目に入りました。
チャン「ライン下りだって」
ドン「川があるんだね」
ゴン「行ってみよう」
3羽は、看板の矢印にしたがって歩いていくと、
やがて急流の川へ出ました。
チャン「ここくだるの?」
ドン「おっかなーい」
ゴン「おもしろそうじゃん、乗ろうよ」
チャン「やめとこうよ」
ドン「酔いそうだし」
ゴン「なに言ってんの、オレたちペンギンだよ」
ゴンのゴリ押しで、3羽はライン下りの舟に乗り込みました。
チャン「だいじょうぶかなあ」
ドン「ドキドキ」
ゴン「ワクワク」
3羽を乗せた舟は、急流をものともせず、
船頭さんの見事なかいさばきで、ぐんぐん川を下ります。
3羽も手足を踏んばって、舟にしがみついていました。
チャンは涙目になって、
ドンは目をつぶったままで、
ゴンは満面の笑顔で。
そうして、やがて舟は広い淵へたどり着きました。
川の流れもゆるやかで、かなり深そうです。
水は透き通って、小さな小魚がたくさん泳いでいるのが見えました。
魚の姿を見たとたん、チャンもドンも一気に元気になりました。
チャン「魚がいるぞ」
ドン「がまんできなーい」
ゴン「レッツゴー!」
3羽は次々に川へ飛び込みました。
水を得たペンギンたちは、スイスイと気持ちよさそうに泳ぎ、小魚を追いかけます。
チャンは、小魚を1匹、おでこで、ポーンと舟へ飛ばしました。
つづいてドンが、小魚を2匹、両手首のスナップをきかせて、舟へ飛ばしました。
またまたつづいて、ゴンが、小魚を3匹、水面をジャンプして舟へ投げました。
魚たちはすべて、きれいに弧を描きながら舟におさまりました。
その瞬間、パチパチパチパチと拍手喝采が起こりました。
「すごいすごい!」
「おみごと!」
舟の上の人たちが、喜んで歓声をあげました。
3羽はなんだかうれしくなりました。
「アンコール!アンコール!」
別の舟からも声がかかりました。
3羽はまた川にもぐって、魚をとると、
チャンは、頭の上で、2、3回魚をヘディングしてから、舟へ飛ばしました。
ドンは、体を一回転させながら、魚を舟へ飛ばしました。
ゴンは、水上で宙返りをしながら、魚を舟へ投げました。
これまた魚たちはすべて、きれいに弧を描きながら舟におさまりました。
「アンコール!アンコール!」
喝采は鳴り止みません。
サービス精神旺盛な3羽は、また川に潜ります。
きっとアンコールが続く限り、魚をとりに潜り続けることでしょう。
そろそろだれか、止めてあげて〜
おわり