『雷雲の祭祀場跡』(=タヅィヤ・ヨフ・エマフォトテ)
『雷雲の祭祀場跡』(=タヅィヤ・ヨフ・エマフォトテ)
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・・・カサマント帝政連合共和国・・・(作成中)
《ヴェクテジナ:古代カサマント島周辺名…黒雲の地》
(王立議会圏:王立共和国影響域…カサマント三頭の権威担当) アリュー王立共和国:旧コルフィルズ副王領 カシュ王国:旧東部ロジカ人自治区及び同民族生存地域 王政ドーレズ州:旧カバロ人三王国 西ビンケン州連合:旧サンジニア狼王国
(大教会圏:信仰評定所設置域…カサマント三頭の宗教担当) ジンナベイクン宗旨領:旧フォクジット副王領 リーリン統一帝国:旧トトポ人信仰会議域 グルヴィニヨ樹冠経国:旧テナイ神話圏 ブルミ自治諸州:旧チルベッコ部族圏
(元帥代官圏:平定軍駐屯域…カサマント三頭の軍事担当) レケス大元帥府:アドポルト旧副王領 ヤィーズ山地保護州:旧帝国城塞群支配域 ヤフォテラム島民代表会議:旧オキバス島嶼各部族 リックベン和平議会領:旧南ユーラ族友邦郡及び北ユーラ族居住圏
(帝室圏:皇帝代理統治域…旧カサマント帝国権力層の落ち延びた先) 皇帝領ルコーハル騎士国:旧クルビ荘園 カロネ総督領:旧レグソン人居住圏 アクレル砂丘総督府:旧レグソン人小部族帝室保護区 メロド太守同盟:旧北ヤィーズ大辺境伯領
(皇帝勅許軍:皇帝直属の精鋭部隊…連合共和国を後ろ盾にした私掠組織) コモンドーレ外洋護衛艦隊 タブロッシュ沿海警備艦隊
(協商連帯:商人の自治区…カサマント経済界に大きな影響力を持つ) ケルウィック都市連邦圏:旧帝国分離所領 クルーガ諸島カレル市:旧帝室保護地
(共和国特別行政区:巨人種支配域…カサマント首脳部に大きな影響力を持つ) シック人入殖巨都群
(北方種族評議会:北部傀儡政府…ヴェクテジナ極北の蛮族を統治する) トビヨック人:ロート氏族・ウェチェク氏族・ティンネルゴ氏族・カリハン氏族 ポーリ人 エルバス人
(係争地域:軍政下…“海峡戦争”後の統一連盟との境界線) フーブァーズ列島軍管区
〔騎士道伝説の幕は下りた! 皆の目が醒めたからだ!! 奴等が紡いだ物語に私達は、君達は今までもそしてこれからも登場することは無かっただろう… しかしもう違う! 断じて違うのだ、諸君!! 何故か? 私達が物語を紡ぐからだ! 私たちの物語が語り継がれるからだ! 奴等の伝説は君達無くして成し得なかった… 奴等に思い知らせるのだ!! 奴等の伝説を奪え! そして刻み込むのだ! 私達が歩んだ記憶を! そしてこれからの伝説を!! さあ! 立ち上がれ!! 黒雲立ち込む大地に住まいし民達よ! 今こそ、伝説の担い手が誰であるかを、思い知らせる時なのだ!!〕
大陸オスルの遙かなる辺境レトリンムル北西に海峡を挟んで存在する巨大な島が鎮座する領域がある。古代帝国時代、その地は黒雲に覆われた立ち入り難い領域だと認識され、黒雲の地ヴェクテジナの名前が定着した。
帝政連合共和国は、ヴェクテジナの中心とも言えるレーンルージナ島に生まれた勢力の中で、史上初めてヴェェクテジナ全土の平定に成功した強大な国家である。驚くべきことに連合共和国は誕生してから僅か30年余りしか経っていないにも関わらず、その存在感を大陸諸国は警戒している。
というのも、連合共和国は散々大陸諸国に煮え湯を飲ませたカサマント連合王国と統一後の帝国と衰退後に興った3王政評議国の正式な後継であるからだ。オスルに戦禍を撒き散らしたその手法を受け継いだ連合共和国の増長は望ましい物でないのは当然である。
統一連盟の侵食を押し留めている国の1つであり、その他の国々よりも積極的に連盟への工作を展開している。何故ならば、統一連盟こそがカサマントを幾度もの崩壊の危機に陥れた張本人であるからだ。
ただし、こうした行動はレーンルージナ島で誕生した歴代各王朝の伝統的な政策を踏襲した結果に過ぎない。時代を遡れば、ヴェクテジナに勢力基盤を持った国々は例外なく大陸への野心を煮えたぎらせてきた。連合共和国の3代前の前身である連合王国や2代前の帝国は“大空戦争”や“100年戦争”の混乱を利用して、大陸にも跨がる版図を持つに至った。こうした行為による大陸との確執は埋め難い溝となって今日まで存在し、連盟への危機感を共有する国同士でも嫌われている。
そして、業を煮やした各国からの要請によって、物語開始の5年前の“海峡戦争”で連盟に自国領内への前線拠点の確立を許した。それから行われた、内部への切り崩し工作が功を奏して独立運動が隆盛している。加えて、連盟を始めとした大陸諸国の海軍力増強も行われ始めた結果、お得意の海賊戦術が封じられる可能性まで出てきただけでなく、通商面での幾度もの紛争を交えた北海大陸同盟がいよいよ全面戦争の構えを見せ始めている。
そうはいっても、巨大な国力は未だ健在であり、寧ろこの逆境を活用して国内の締め上げを行っている節がある。“連合”共和国とは名ばかりで、実態は王立共和国とその内部に鎮座するただ1人の男によるにヴェクテジナ全土を統治する征服王朝だからだ。だが、決してその支配構造は王立共和国による一元支配ではない。
モントル帝国時代、この島は唯一オスル周辺で影響下に収まるのを免れた土地だった。それでも国交を結んでいたのだから、自然と民族の緩やかな交流が実現していたし、何よりも大陸系移住民は高い開拓技術を持っていたので、島の居住可能領域を広げるのに貢献し、それ故に少なくとも帝国健在時は大規模な争いは起こらなかった。
だが、北海を渡ってくる漂流部族の北部からの浸透は常に問題であり、このことは民族移動時代においても同様であった。大陸部から押し出された民族達は凄まじい速度で北上し、勢いに押されて一時的ではあるが島が1つの勢力の支配下に入った時期も存在する。
しかしながら、却ってこのことで漂流部族は島の周辺に散らばって定住を決意させることとなった。それを頼りにして漂流部族の親類が再び殺到した。この暗黒期はユシテル二ア竜神国設立の機運が高まるにつれて激化したオスル全海岸線や川が引き込まれた内陸で行われた「船出の宴」(掠奪)の主催者であるグルブティカ半島出身のシック人の到来と定住まで続く。
後の竜神国は、初期に海路の行き来を厳重に禁止していた時期もあり、というか半ば鎖国状態だった。これでカサマント島は内部統一の時間を稼げたのである。そして勝者が決まり、現在へ至った。
遊牧に適した土地を持っており、精強な騎兵でも定評がある。手織物業や工芸品を主力に輸出しており、国内では大陸有数の銀山を保有している。島でほぼ唯一農業に非常に適した土地を範疇に収めているのがオストック王国である。
このように、確かにオストックには国力の源になる資源や好立地が揃っていたとはいえ、統一への道程は決して楽ではなかった。古代帝国時代の交流の結果、後のオストック地域はインフラが整い、生産性の向上が成功した結果、繁栄と共に学問が盛んになった。オスカン地方が当時では最高の学術の都とする傾向が強く、同地方を傘下に収める帝国もそれに習っていたが、当然それに反発する流派や集団は常に存在する。帝国の領土には入らないこの島は、彼等にとっての理想郷だったのだ。
しかし、どれだけ多種多様で独特な気風であろうとも、知識の一極集中は当然独占的な性格を帯び始める。後の世の魔導結社の源流はこの島で生まれたとする見解も強い。しかしまだ当時の(民族大移動時や暗黒期)集団は単なる研究機関に過ぎなかった。魔導結社のように混乱を生み出し、実験を行うなど考えつかず、ひたすら激動の時代を殻に籠もって過ぎ去るのを待っていた(認知阻害・擬態・偽装などあらゆる手段を使う)。各時代の勢力も存在は薄々感づいてはいたが、薄気味悪がり手を出さずにいた。