私もう関係ないんですの
初投稿!
「マリア・ルーベルト!貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーも終盤にかかって来た頃ホールの中央が第二王子の一言により突然騒がしくなる。騒ぎの中心であるこの国の第二王子とその婚約者そして第二王子に寄り添うように立っている男爵令嬢と数名の男性貴族達。
切実に思った、やめてくれ。テンプレすぎて笑うどころか引いてしまうからやめて欲しい。ゲームの中では良かったけど現実で見ると思ったより酷い。
「承知しましたわ、殿下」
透き通るような声が響いた。殿下の婚約者であるマリア様の言葉に会場が少し騒がしくなる。
「なっ!?何故だ!」
何故だが何故だ。
「何故と申されましても婚約は解消出来るのですから別に良いのでは?それより他に何か申したいことはありませんの?」
「そ、そうだ!お前達!」
第二王子の言葉に後ろで控えていた男性貴族達が前に出る。ものすごく嫌な予感がする。
男性貴族達により呼ばれる令嬢達の名前。
「ルシア・ユーデル!」
白目を剥きそうになったのは仕方がないと思う。呼ばれた名前の中に私の名前もあったのだ。何故だ、私が何をした。行きたくはないが行かないと面倒なことになりそうなので渋々ホールの中央へ向かう。
呼ばれた令嬢達が集まった所で男性貴族の中の一人がこれまた婚約破棄すると言った。
お前達は一体何がしたいんだ。よく見れば呼ばれた令嬢達はそれぞれの婚約者だったようだ。じゃあ、何故私は呼ばれたんだ。
「ルシア・ユーデル!お前との婚約を破棄する!」
とち狂ったのか、この男は。私の目の前にいる侯爵貴族であるユリウス・クラック様。
思わずポカーンとしてしまったのは悪くないと思う。そして丁寧に理由まで説明してくる。そこにいる男爵令嬢をいじめたとか何とか。
「あの、ユリウス様」
「何だ、言い訳でもする気か」
「まず、婚約破棄するも何も婚約しておりませんが」
私の言葉に何故か周りがシーンとなる。
「は?」
こちらがは?なんだけど。
「ですから婚約しておりません。確かに候補にはおりましたが辞退しておりますわ。それに私には愛してる婚約者がおりますわ。結婚も控えておりますの。何を以て勘違いされておられたのか分かりませんが…」
固まって動かなくなったユリウス様にどうしたらいいのか分からなくなる。帰っていいかな?これ。
「ど、どういうことだ!お前は俺の婚約者だろ!?」
「ですから違いますわ」
確かに婚約一歩手前まではいったがする寸前になって前世の記憶を思い出したのだ。危なかった、してから思い出さなくて本当によかったと思った。そこから両親に泣きながら説得して辞退することになったのだ。
「もうよろしいですか?」
目立っているので早くこの場を去りたいのだが。
「嘘をつくな!そんなは「シア」」
ユリウス様の言葉を遮るようにして現れた男性が私の腰を引き寄せる。
「あら、どうしてこちらに?」
「待ちきれなくて迎えに来てしまったよ」
そう言って微笑む私の婚約者のクリス様。やめて、絶対顔赤くなってるから。
「さぁ、帰ろう」
いいのか?と思ったが、卒業パーティー所ではないし婚約者様がいいと言ってるのだからいいのか、と結論付けてこの場を去ることにした。
後からまだ何か言っているユリウス様に向かって微笑む。
「私もう関係ないんですの」
そうしてその場を去った。
その後何故かユリウス様が押し掛けてきたり何故かあの男爵令嬢がクリス様にちょっかいを掛けてきたりしたものの無事結婚して幸せに暮らしている。
「クリス様」
「なんだい、シア」
「愛しておりますわ」
「私も愛してるよ、シア」
幸せだ。
思いつきです。乙女ゲーム要素あまりない笑