霊感少女那奈との出会い
「あ~あ、、、」
「ヤバいことになっちゃったなーーー」
「こんな‥‥初詣にも来ないような神社で
どうやって7人も救おうってんだよ~」
すきま風が吹き込む、埃だらけの社の中で
イシガミは寝転がってぼやいてた。
「奇跡でも見せてやれれば簡単なんだけどな~」
「もっと真面目に勉強しとくんだった、、、」
と、ぶつぶつ独り言を言いながら、
とりあえず町の人々をウォッチしてみることにした。
「おっと、危ないなーーー」
ふらふら歩いてても
神様の姿は人間には見えないから、
こちらから避けないと、人にぶつかってばかりだ、、、
「悩んでる人、困ってる人‥‥いないかぁ~?」
「なかなかそれっぽい人なんていないよな」
駅前のコンビニで足を止めて中を伺ってみると、
制服姿の女子高生が3人いるだけだった、、、
「こいつらは悩んでるように見えないし‥‥」
と思ってると
そのうちの1人の女子高生と目が合った!
「えっ!」と目をパチクリしたら
女子高生も目をパチクリした、、、
「オレが見えてるのか?、、、」
「そんなはずはない!」
「よほどの祈祷師か修験者でないと、
神様の姿は見えないはずだ、、、」
すると、その娘がダーっと出て来て、
「あんた何?‥‥地縛霊?」
「失礼な!これでも神様だぞ!」
「え~?、マジ?、チョーうける~」
「じゃあ、奇跡とか起こせるの?」
「海を割ったりできる?」
「あんなのは映画の中だけだ!」
本当は勉強不足でできないだけだけど・・・
「あ~、、、やっぱりね、、、」
「あんた、オーラ薄いもんね、、、」
「ほっとけ!」
「それで‥‥神様がこんな所で何してんの?」
「悩める人を救ってあげたくて来たんだよ」
ブハーーーー‼
飲みかけてたミルクティーを
一気に吹き出して、オレの顔にかかったじゃないか!
───いや、正確には、顔をすり抜けた───
女子高生はお腹抱えて笑ってる、、、
「お腹痛ーーーい」
「笑わせないでよーーーー」
「あんたの特技は何?」
「ほら、よくあるじゃない?、
縁結びとか、家内安全とか?」
「あぁ‥‥、それなら、縁結びから安産まで
何でもOKだぜ~」
「御利益あるの~?」
疑い深い眼差しに、イシガミは少し怯んだ、、、
「御利益も何も‥‥滅多にお参りに来ないし」
「来ても5円や10円のお賽銭じゃ、
本気になれないっつ────の!」
「だから早く、こんなド田舎のあばら屋から
都会の、若いお姉さんたちがお参りにくるような
由緒正しい神社に異動したいんだよ!」
一生懸命訴えるイシガミだが、那奈は冷めた目で、
「若いお姉さんかよ‥‥」とぼやく。
「そりゃあ、婆さんより、
若いお姉さんの願い事の方が気合い入るじゃん」
「こんなんじゃ、いつまでたってもあばら屋暮らしだ‥‥」
「那奈ーーー!?」
他の女子高生が呼んでいる。
「1人で何笑ってんのーーー?」
「カラオケ行くよーーー」
「うん。先行っててーーーー」
「それよりさ、あんた、名前あるの?」
「だから、イシガミ、、、石神様だって‥‥」
「それじゃあ堅苦しいからさ‥‥イッチャンでいいよね?」
「イッチャン?‥‥仮にも神様に‥‥イッチャンかよ‥‥」
「アタシは那奈だから、
イッチャンとアタシで、1、7コンビだね?」
「これからみんなでカラオケ行くんだけど
イッチャンもおいでよ」
「神様がカラオケなんて‥‥前代未聞だな、、、」
「文句言わないで、どうせ暇でしょ?」
「暇って言うな!」
「それに神様は無料だし」