プロローグ
11月────出雲大社
この月は全国の神様が一堂に会し、
年に1度の神様会議が開かれていた。
北は北海道から南は沖縄まで、
伊勢、鹿島、香取などの超一流の神様から
名も無い社の神様まで、大国主命を筆頭に
その数八百万───
そこで様々な議題について議論したり、
表彰も行われる。
オレ、イシガミも一応、神様の端くれなんで、
参加はしてるが、席は、議長席から遥か遠く
野球場で言ったら、外野席の一番上か・・・
担当神社も、田舎町の森の隅にひっそりと佇んでる
あばら屋のような社だ。
名前は地元民からは石神様と呼ばれてるが
参拝客はほとんどなく、
お祭りさえしてもらってない、、、
「それでは、今年の議題は以上ですので、
次に年間表彰に移ります。」
今年は、厳島神社の市杵島姫命が
司会進行係だ。
「それでは、種目別から発表します」
審査員から手渡されたメモを見ながら
発表していく。
「まず、お賽銭額年間1位!───明治神宮!」
「続きまして、縁結び年間1位!───伊勢神宮!」
「家内安全年間1位!───伏見稲荷大社!」
「交通安全年間1位!───善知鳥神社!」
やっぱり、毎年表彰されるのは
そうそうたる神社ばかりだ・・・
「そして最後に総合1位の発表です!」
「栄えある総合1位は‥‥」
「今年も伊勢神宮に決定しました!」
「おめでとうございます!3連覇達成です!」
「天照様!表彰台の方へどうぞーーーー」
天照大神の長い自慢話もやっと終わり、
最後に大国主命から講評があった。
「今回、総合でワースト100の社は
4月までに7人の悩める人を救う事!」
「それが出来ない場合は、
1年間の高天ヶ原ファーム出向を命ず!」
オレの社、石神神社はワースト82位・・・
これはまずい!
高天ヶ原ファームって、ただの農作業じゃん!
そんな所へ1年も行くのやだよーーーー!
でもオレ、、、神通力も奇跡も起こせないけど、、、
どうしたらいいんだ?
~ここからオレの、一人前の神様への協奏曲が始まる~