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第二章


 「ピピピピピ・・・」


 電子音と共に目覚める・・・


 身体のあちこちが痛い・・・


 「・・・そうか・・・昨日はあれだけ探し回ったからな・・・」


 「・・・探し回った・・・?」



 ・・・思い出した。


 昨日の出来事を・・・


 あの信じられないような出来事を・・・



 心配になり、隣を見る・・・



 ・・・そこには、安らかな赤ん坊の寝顔があった・・・



 「・・・やはり・・・夢ではなかったのか・・・」



 昨夜はあれから、思考錯誤の末、結局連れて帰る事にした。


 興味本位というのも確かにあったが・・・


 1番の理由は、流石にこんなに小さな赤ん坊をひとり残しておくことは出来なかったからである。



 しかし・・・連れ帰ったのはいいとして、これからどうしたものか・・・



 考えても仕方ないので、その子を起こさないように注意を払いながら支度を整える。



 幸い、その子はぐっすりと眠ったままだった。



 「・・・まさか、連れて行く訳にもいかないし・・・仕方ない、寝かしておくか・・・」



 結局こういう考えに終わり、自宅を出る。



 自宅から高校までは、徒歩で約20分といったところか・・・


 自転車で通えばもっと早いのだが、何故か俺は、自転車というのが性に合わない。



 高校までの道中、あの子の事で頭がいっぱいだった。



 ・・・しかし、人間というものは怖いものかもしれない。


 朝まではあれほど考えていたことも、時が経つにつれ薄れてきていた。



 時は昼休み・・・


 皆、思い思いの場所へと散って行く・・・



 俺も昼食をとる為に購買部へ向かう。



 やはりどこの学校でも同じなのだろうか。

 この学校でも昼休みともなると、購買部は戦場と化す。


 ・・・しかし、そんなことは気にも止めずに真っ直ぐに売り場へ向かう。


 「おう、月野。」


 俺に気付くなり客の相手をやめる聡。


 「・・・相変わらずだな、ここも・・・」


 「いつものことじゃねえか・・・」


 聡は苦笑いを浮かべている。


 こいつ、竹下たけした さとしとも結構長い付き合いになる。

 ・・・悪友ともいうのだろう。


 「おう、いつものでいいよな?」


 「あぁ・・・頼む。」


 聡は別の所に避けてあった袋を取り出し、俺の方へと放る。


 「ありがたく受け取れよ?」


 「あぁ・・・そうだな・・・」


 お互いに軽い会話を交わし、いつもの場所へと向かう。



 「・・・」


 終始無言のまま昼食にありつく。



 無言なのも当たり前だ。


 この場所には俺しかいない。



 ここはこの学校の屋上。


 屋上と言えば、結構人がいるはずだがここにはいない。



 いま俺がいるのは、屋上へと出てくる出口の建物の上・・・


 そう、そこには誰も上って来る筈も無く、ひとりゆっくりできる・・・



 俺はこの学校の中で、この場所が最も気に入っている。


 誰にも邪魔されることなく、この広い空の下でのんびりと過ごす時間が・・・



 ・・・つまり、こうして授業をさぼっている。



 そこで、ふと重要なことを思い出す。


 いま俺が食べていたゴミを見て・・・



 ・・・そう、あの子の食事のことだ。


 そもそも、どんなものを食べさせればいいのかすらわからない。


 「・・・何を食べるんだ? あいつは・・・」


 考えていても仕方が無い為、帰りに牛乳でも買っていく事にした。



 その日は、午後の授業にも出ずにコンビニに寄って帰った。



 ・・・しかし、帰宅してみて驚いた。


 何に驚いたかと言うと・・・



 「・・・おい・・・昨日まではもっと小さかったよな・・・」


 そう。


 大きくなってたのだ・・・


 ひとまわりほど・・・



 その子は、すでに「ハイハイ」をするまでに成長している。



 「ま、まぁ・・・気のせいだな・・・」


 思い直して、牛乳を温める。



 「・・・」



 何を思ったのかはわからない・・・


 ・・・ただ、本能的にその子をあやしはじめる俺がいた。



 ・・・結局、牛乳も飲ませ、軽い離乳食のようなものまで食べてぐっすり寝てしまった。



 「ふぅ・・・これが母親っていうものなのかぁ・・・?」


 極度の疲労にかられ、その日はその子と一緒になって眠りに落ちた・・・

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