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あとがき

あとがき


 最後まで読んでいただいてありがとうございます。時代物の中編、長編を書いたことはありますが、異世界スチームパンク、ホラーアクションという分野の長編は初めてでした。


 執筆中は「吸血鬼ハンターD」の第一作と第二作のサウンドトラック、ユーチューブでさまざまなBGMを聞きながら書きました。やっぱり気分的なノリが必要。


 主人公のグリフェは2005年度のホラーアクション映画「ヴァン・ヘルシング」に影響を受けて執筆しましたものです。主演のヒュー・ジャックマンのようなワイルドでタフな主人公にしようと思い、書き始めたのですが、なんかやたらと悪態をつくガラの悪いキャラになりましたなあ……


 他にも吸血鬼、狼男といった昔から現在まで続くホラー映画や小説の題材を多くだしました。それに、菊地秀行氏の超伝奇小説やホラーアクション小説の影響が大きいですね。まあ、足元にも及ばない出来ですけどね……


 まだ、題材的にフランケンシュタインの怪物、ミイラ、半魚人、ゾンビ、悪霊や、メジャーからマイナーなモンスターなども描いてみたいので、そのうち続きを描きたいと思います。


 主人公が銀髪なのは、作者が学生時代に地方の本屋で出会った人物がモデルです。書店に入ると、本を選んでいた男性の背中が見えたのですが、頭髪が真っ白で、始めは老人かと思ったのです。が、横をむくと若い二十代くらいの外国人だったのです。なんとも不思議な印象を受けて今でも覚えているのですが、あとから思えば、あれが銀髪というものだったのだなあ……と思います。銀髪って、漫画や小説などではたまに聞く言葉ですが、実際に銀髪の方を見たのは初めてです。


 あと、プラグセン王国は以前チェコの事をいろいろ調べた事から、物語の舞台のモデルにしました。チェコは海の無い国なので肉食中心なのですが、クリスマスでは七面鳥のかわりにこいをメイン料理にするとか、不思議な風習があるのですよ。クリスマスには市場に鯉のはいった盥が並びます。

 もっとも、現代のチェコでは鯉を食べる風習はすたれつつあり、クリスマスには肉食をするようになったようですなあ……


 また、日本と違うチェコで驚いた文化では、苗字に男性名詞と女性名詞があるのですよ。たとえば作中人物のアンドレア・ユルコヴァーですが、ユルコヴァーは女の苗字。男の形苗字はユルコとなります。お父さんはユルコ侯爵となるのが正しいのですが、本文にそんな注釈をいれても、日本人読者は混乱するだけなので、ユルコヴァー伯爵と書きました。


 また、女騎士リリアナ・ネドマヴァーの苗字、ネドマヴァーは女性形で、男性形はネドマとなります。ここまでくれば、チェコの苗字は男性苗字にOVAをつければ女性苗字になると推察できるかと思います。


 実際、ほとんどの女性苗字は男性形にOVAをつけたものがほとんどです。隣のスロバキアにもある名前の風習です。日本人にはなんとも不思議に思える習慣ですよねえ……


 この習慣の便利な点は、名前で既婚かどうかすぐわかることです。ただし、チェコがEUに加盟してからは、外国人がチェコ人と結婚してもOVAを付けなくてもよくなりました。


 しかしですね、OVAをつける法則には例外もあるのです。女騎士スヴェトラ・シェラーの苗字シェラーは女性形ですが、男性苗字はシェリーとなるのですなあ……でもまあ、女性形は最後にAをつけるというのが唯一の共通事項のようですね。


 ややこしいのですが、日本の当て字のほうが難解だともいえるかもしれません。大和を“やまと”、飛鳥を“あすか”だなんて、外国人はまず読めません。


 地理や歴史を調べると、こういった面白い時事風俗が知れて興味がふかまるというものです。


 それと、「眠り男レザーチェ」も構想中。これは昔、クララと日本人女学生・宮葉みぞれというキャラクターが現代のチェコで探偵社をひらき、ヨーロッパ各地で毎回オカルト的な事件に遭遇し、秘密結社やモンスターに襲われ、二人がピンチになるとレザーチェが出現するという、「Xファイル」や「怪奇大作戦」、「事件記者コルチャック」的な一時間ドラマ風の連続中編もので考えていたものなのですよ。


 今度書く時はそれを踏襲するか、ドイツ表現主義映画「カリガリ博士」プラス「風太郎忍法帖」形式か、「吸血鬼ハンターD」のようなロードノベル形式のスチームパンクの長編にするかいろいろ考え中です。













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