表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/36

有り弾全て溶かした人

こんにちは。ここから徐々にギャグ路線へシフトして行きます。序章がかなり鬱な展開となってしまった為、もっと最初から明るい感じの雰囲気で話が読みたいんじゃ!って意見があればコメントお願いします。別の物語で士道を転生させる話を考えるかも知れません。



 あと、この作品は色々矛盾しまくった話になっております。そういった類の突っ込みは堪忍してつかあさい(´Д`;)

 翌日、俺は外から聞こえる朝の小鳥の鳴き声と、ムチャな体勢で寝た体の痛みで目が覚めた。地球で聞いたことのある音に今までの事が全て夢でもうその夢から目が覚めてベッドの中に入ってて、今までと同じ日々が繰り返されると期待したが、目の前に映る戦車のコックピットがそんな期待を打ち壊す。



 俺はハッチを開け、もう一度外の景色を見渡すが相変わらず周りは樹海で覆われ、戦車の後ろには既に扉の閉まった昨日俺が通ったトンネルの入り口がある。そして戦車から降り空を見上げ、空の太陽(?)の位置を見ておおよその時間を推察する。大体午前11時くらいか。随分と寝ていたものである。



「……それにしても腹減った……」



 よく考えたら昨日から何も食べてない。俺は出発の前に召喚メニューを開いて「食料品」のタブから俺の住んでた地球で市販されている「カロリーアミーゴ チョコレート味」を2つ召喚する。4本のブロックに分けられた非常食のような携帯食を俺はあっさりと平らげ、再び出発の準備を整える。



 まずはP90の動作確認だ。戦車内からマガジンと本体を分離したP90を取り出した。何一つ汚れの付いていない銃の状態から察するに、間違いなく新品だが最悪な場合を常に想定してしまうチキンハートな俺は、移動を開始する前に動作確認をしっかりと行う。



 P90はその特異なデザインからマガジンを挿入する位置が違う。平均的なマシンガンは銃本体の下からマガジンを装填するのだが、P90の場合銃本体の後ろ側からサイトに向かって滑り込ませるような形でスライドさて、はめ込む様な形で装填する。



 俺はP90の名前こそ知っていても、詳しい扱い方や分解清掃の仕方など全くしらない。だが、アリアスの与えてくれた能力のおかげでどこからともなく何かが脳内に入ってくるような感覚のあと、完全に使い方をマスターしてしまった。なので問題なくP90のマガジンを上部のレールへ乗せ、マガジンを上から軽く叩いて銃本体に固定させ、「カシャ」っとコッキングレバーを引き、銃内部に弾丸を装填する。


 

 そして右手を引き金に当て安全装置を解除して左手を引き金前方の湾曲した部分に手を添え、握り銃床(ストック)を右の胸部と脇の真ん中辺りに当てる。最初は単発(シングル)だ。モードの切り替えダイアルが「1」になっている事を確認し、右指の引き金に力を入れて引く。そして、タンッ! と静寂に静まり返った森にこの世界にないはずの乾いた銃声が広がる。単発モードで何発か撃ち、トリガーの下に付いているモード切替のダイアルを「A」に合わせ、連射(フルオート)モードでマガジンが空になるまで撃つ。タタタタタタタッ! と森の木に向かって乱射する。毎分900発の連射性能を誇るP90は50発のマガジンをおよそ3秒ほどですべての弾を食らい尽し、本体の下から空薬莢を吐き出し地面を薬莢の海へと変える。そして俺はあることに気が付く。



 「た、弾がねえええ!」



 とんだ誤算かつ、初歩的なミスである。それはこの世界での弾薬の調達方法を全くもって考えていなかったのである。自分のやらかした最悪のボケに頭が痛くなる。異世界で殺傷能力を持った武器をものの数秒でヘンテコなアーティファクトに変えてしまった俺はまるでどこかの有り金全て溶かした人の顔ならぬ、異世界で有り弾全て溶かした人の顔になり、放心状態となる。因みに、弾薬などの消耗品の補給はレベルに関係なく行えると気が付くのは大分先の事である。



 だが俺には召喚能力があることを思い出しP90に代わる新たな武器を探すことにする。レベル制限が掛っているのでP90のような代物は出来ないにしろ、小型のハンドガンくらいは出来るだろう。そんな浅はかな考えの元、もう一度召喚端末を開き「武器」のカテゴリーから「銃火器」を選択、その中にある「ハンドガン」のカテゴリー内から試しにベレッタM92Fと呼ばれるハンドガンを出そうとするが、要求レベルの高さに唖然とするのであった。



 ベレッタM92F 必要召喚レベル:92 現在レベル:1  「は?」



 目の前に表示されている要求レベルの高さに目が点になる。何で民間に販売されているハンドガンがレベル92なんだよ。急に雲行きが怪しくなってきたぞ。そして俺は適当に知っている銃や兵器を一通りピックアップして、必要レベルの確認を行う。



 コルトガバメント 必要召喚レベル:98

 コルトパイソン  必要召喚レベル:119

 デザートイーグル 必要召喚レベル:152


 ウージー     必要召喚レベル:119

 H&K MP5 必要召喚レベル:128

FN P90 必要召喚レベル:145


AK-47 必要召喚レベル:135

M16 A4    必要召喚レベル:155

FN SCAR 必要召喚レベル:175


M500 必要召喚レベル:145

SPAS12 必要召喚レベル:162

AA-12 必要召喚レベル:244


64式狙撃銃 必要召喚レベル:231

L96A1 必要召喚レベル:266

PGM ヘカート2  必要召喚レベル:355


RPG-7     必要召喚レベル:441

84mm無反動砲 必要召喚レベル:573

87式対戦車誘導弾  必要召喚レベル:721


クルセイダー巡行戦車  必要召喚レベル:461

レオパルト1   必要召喚レベル:891

10式戦車    必要召喚レベル:1456



 おぞましい要求レベルの数値を見せられ、また目がくらむ。これだとレベル1で召喚可能な武器は何になるんだ?俺はレベル1で召喚出来るアイテムを絞り、リストアップさせる。結果、レベル1で召喚出来るような武器は、「木の棒」と「木に石を括り付けたハンマー」だけだった。俺は改めて与えられた能力の制約に目が眩む。こんな原始時代の武器でそうやって魔物と戦えばいいのだ? 冒険者をやめて盗賊にでもなれば良いのか? 畜生、盗んだ馬車で走り出すぞコノヤロー。

 


 しかし、まだ全ての武器を失った訳ではない。俺にはまだ戦車が残っているし、戦車は歩兵の武器とは比較にならない程の弾薬のキャパシティがある。それにこっちのモンスターは狩ると経験値がガッポリと入る、どっかのメタル系のモンスターかも知れない。1000を超える要求レベルを見せられると、逆にこういった都合のいい発想が生まれるモノだ。



 それにこんな場所でくよくよしていたら誰も助けることが出来ない。失ったものは仕方がないと割り切り、モンスターは極力戦車で倒せば歩兵用の武器は必要ない。戦車の入れないようなダンジョンはどうするのかって? 知らん。



 俺はSタンクの後方の弾薬室に詰められた砲弾の種類と数を数える。戦車もP90の様に弾庫には満タン弾が入っている。砲弾の内訳はAPFSDSを10発、HE(榴弾)を20発、対人用のキャニスター弾15発、燃焼性の高いナパーム弾を5発、計50発の弾薬構成である。



 何故Sタンクの弾薬として存在しないキャニスターやナパーム弾があるのかと言うと、「モンスター」という、いかにも生々しさ満点の生物と戦うことを想定し、転生前に戦車のカスタムで作ったオリジナルのアイテムで、モンスターの群れを纏めて蹂躙できるような砲弾が欲しかったからだ。キャニスター弾は数千個の散弾を撃ちだし、広範囲の目標を加害する。その威力はコンクリートの壁も容易に貫通し、乗用車も正面からリアパネルに至るまで蜂の巣となり、生身の人間なら原型を留めなくなるほどの破壊力だ。ナパーム弾も1000度を超える炎を広範囲に散布し、戦車でもこの中に入ると無事じゃ済まない。これら攻撃を凌げるのであれば、この世界のモンスターの強さは計り知れないが、そんなことはないと信じたい。だがナパーム弾は余りにも非人道的すぎるため、余程の事がない限りは使用しない。あくまで切り札としての装備だ。



 一通りの確認を済ませた俺は、戦車に乗り込みエンジンを掛ける。各種の計器の針や車内に伝わる振動、スクリーンに映し出された映像を見ると戦車の勇猛さが体で感じ取れる。アリアスはこの森を真っすぐ抜けるとラティーナ平原へと出て、しばらく走ると「ウィスカ」と呼ばれる街に着くと教えてくれた。俺は彼女の助言を信じ、俺は戦車をゆっくりと前に出す。



 ミシッ……ギギギギイ……ガザア……! 俺はまるで第二次世界大戦中、アルデンヌの森を抜けるドイツ軍機構師団みたいに樹海の木々を戦車でなぎ倒しながら「迷宮の森」を進んでいる。こんな光景、日本の環境省の100人に見せたら打ち首ものだろうナ。森の道は険しく、途中途中で泥濘があり、いつスタックするか分らない恐怖におびえつつ慎重に進む。そして薄暗くなった森の先に見える光が徐々に大きくなって行く。



 30分ほど走っただろうか、遂に樹海を抜け土と草がバランスよく交わった平原、通称「ラティーナ平原」へと抜けた。そこは今まで写真でしか見たことが無かった、世界中の大草原という表現では生暖かいレベルの終点などなさそうな、地平線の彼方まで行きそうな美しい大地が俺を出迎えた。俺は無意識のうちにハッチから身を乗り出し、辺りの状況を見るべく双眼鏡を召喚していた。



 召喚した望遠鏡を早速のぞき込むと、一面真っ平らな平原にポツポツと大きな山の様な一枚岩があることを確認する。その大きさは地球にある、ウルルと比較してもおかしくないレベルの大きさだと、双眼鏡越しに見てそう思った。次に遠くの地面を双眼鏡で覗いてみると、緑色の草原を横切るようにベージュの道の様なものが確認できた。きっとこの世界の住民達が馬車などの移動手段を使うために作られた、いわゆる道路なのだろう。



 第一目標である樹海を脱出した俺は第二の目標である、「ウィスカ」へ通ずる道であると信じ、直感で4キロほどと感じる先にある、獣道の様な道に戦車の舵を向ける。そしてこの異世界に存在しない「戦車」という怪物の足跡を残してゆく。まあ、それが後日新手のモンスターが現れ、町の住人が総出で正体を突き止めようと動き出す一大イベントと化してしまうのだが……。



 ゴゴゴゴゴゴ と戦車が走る際に発生する振動と、カチャカチャと走る戦車が巻き上げた小石が車体に当たる音を五感で感じ取りながら、俺は戦車を獣道に向かって走らせる。そして10分ほど時間を掛けながらその道とやらに到着する。そこで驚いたのが、その道は白みの掛ったベージュ色の平らな石が敷き詰められた舗装路で、日本を走っている平均的なセダンタイプの乗用車はおろか、車高の低いスポーツカーも楽に走れるような道で非常に高いインフラの建築技術が垣間見えるような、丁寧な作りをしていた。



 そして俺が到着した道路の境目のすごそばにある看板が立っているのを見た。看板に書かれている文字は今まで見た事ないような文体で、いわゆるこの世界の言語なのだがアリアスの言ってた通り、スラスラと読める。その看板には給水場と書かれており、その下には大きな水の入った木の容器が置かれている。きっとこんなに長い平原を移動するときの馬や人々の水分補給のために作られた、高速道路のパーキングエリアみたいな設備なのだろう。そのせいか、ご丁寧に馬は低い位置に、人は高い位置に置かれた容器が1つずつ置かれていた。



 この世界は本当にアリアスの言ってた地球の中世レベルの文明レベルなのか? と疑り始める。道路の路面も石がビッチリと詰め込まれており、下手なアスファルト道路よりも綺麗に舗装されている。そんな感じで例の看板の近くでしゃがみながら直接手でその路面を触り、立ち上がる。するとさっき「給水所」と書かれていた看板の下側にある案内が小さく書かれた文字を視認する。そこには、


「←交易都市 ウィスカ   水都 アクアポルト→」


との表記があった。行先を示す矢印があることに安心感を覚え、俺は再び戦車に乗り込み発進する。この世界にやって来て、高度なインフラ技術で舗装された道路を見て人の文明が存在することを確認することが出来たものの、未だに誰一人として「人」という生き物に合っていない。そんな中、人が住んでいるであろう、町への行き先を知ることの出来た俺はおのずとテンションが上がり、次第に戦車を増速させる。そして戦車を時速45キロ程まで加速させ、しばらく走っていると道路脇に何かが倒れている物が存在する事を戦車に搭載されたカメラ越しに確認する。そして徐々にその物体に接近し、その物体が何たるかを認識する。












 ……少女だ……







 そう、道端には一人の鎧と思えしき物を纏った少女がうつ伏せで倒れていた。



 



読破ありがとうございます。ついに1日のアクセス数が400まで行きました!ここまでこの作品を読んでくださってくれる読者がいる事を半ば信じられないうp主です。



コメントで改行ミス等の指摘や文の書き方などを纏めた記事を紹介して貰ったので、これらを参考にしつつ序章の改修作業も並行して進めていきます。



また、こんな感じのネタを入れると面白いんじゃない?とか、こんな武器、兵器を出してほしいと言った意見、要望はドンドン送ってくれると嬉しいです。それが新たなアイデアやネタにつながります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ