表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/36

冒険者登録の下準備

2ヶ月の間更新出来ずに申し訳ありません、先のストーリー展開を考えていたら中々思い付かず、エタってしまいました…。




ザァァァァァ……



「うーむ、結構降ってきたなぁ」



俺は車のワイパーを入れた時には通り雨程度と思っていた雨は直ぐに日本で言うところの梅雨真っ盛りの大雨の様な豪雨になってしまった。



まるでバケツをひっくり返したかの様などしゃ降りで俺はワイパーの調節レバーを下に落とし、窓のワイパーブレードは絶え間なく動き続ける。



車で移動中こうした雨が降ると、同乗者同士の会話は自然と少なくなりそうなのだが、今回は初めてこの乗り物を見るアピスの質問攻めに曝されているので、この車の車内の狭さと相まって割りと賑やかになっているモノだ。



「この乗り物って凄いわね、雨の日にこんな快適に動けんなんて思いもしなかったわ」



「これでも乗り心地は悪いんですけどね、快適性を重視したものだともっと静かですよ」



「へぇ。 ならこの車は何を重視しているんだい?」



「これは不整地を速く進む為の車です。 フィーナ、キツくないか?」



「私は大丈夫だ。 だが馬車と比べるとやはり狭いな」



そんなたわいのない話をしながらも車はこのだだっ広いラティーナ平原を進み、ウィスカの近くの昨日、フィーナと合流した鍛練場へと到達した。



「もうウィスカについたのかい!?」



「ええ。 なんなら今日中にアクアポルトまで行くこもと可能ですよ」



「ひゃー……、アンタには驚かされてばっかりねぇ」



町の城壁にはいつもに増して自警団の団員が多い。 これはフィーナ曰く、雨で気温が下がると魔物が活発に動く為、いつでも大量の魔物の奇襲に遭遇しても対応できる様にするためらしい。



そしてこの町の自警団で俺の戦車を見慣れているが、この車を初めて見た団員に魔物と勘違いされてバリスタの照準を合わせられたのは言うまでもない。 これについてはフィーナが直ぐに車から飛び降りて自分の姿を見せて誤解を解いてくれた。



「シドー殿でしたか。 矢を向けたことお詫び申します」



「いえいえ、気にしないで下さい。 出る前に伝えなかった私にも非がありますので」



見張りの団員とちょっとした小言を済ませ、彼らは車を町中で走らせても良いと言ってくれた。この車は当然と言えば当然だが、戦車より小型である。 なので通行人に怪我をさせないのであれば通っても良いとの事だ。



「シドー、すまないがギルドに寄ってくれないか? 今回のゴーレムの打倒報告をしたい」



「わかった」



俺は一度フィーナをギルドで降ろすため、車をギルドの前に走らせる。 この町には車が走れそうな幅の道は割りとあるので町中を車で移動する際はあまり不自由しないかもしれない。 そして雨が降っているからか、通行人は殆ど歩いていないが、ちらほら大通にいるくらいである。



「よし着いたぞ」



「ありがとう、報告には少し時間が掛かるから二人は先に行ってくれ。 これが終わったら私は歩いて宿に向かう」



「そうか……、まて、そのままだと濡れるからこれ持って行きな」



そう言って俺はこの車の運転席側のピラー下に取り付けられた蓋を開き、傘を取り出す。この世代のパルサーにはアンブレラポケットなる装備があり、専用の傘を入れるためのホルダーが付いている。



傘自体は小さくて使いにくい場面があるが、この手の装備は付いていると何気に便利であり、これ以外でこの装備を付けているのはロールスロイスを始めとする限られた種類だ。



「ありがとうシドー。 では行ってくる」



フィーナと一度離れ、車内には俺とアピスだけになった。 彼女に宿泊先を聞くと、まだ決まっていないそうなので、俺は無料で泊めてくれているスプリング・インに客を紹介してあげたいと思い、俺達の泊まっている宿を紹介した。



「肩まで浸かれるお風呂があるなんて珍しいわね。 いいわ、そこにする」



「了解。 フィーナは後で合流するので先に行きます」



俺は車を宿屋の前に運び、アピスはチェックインを済ませる為に中へと入る。 エティが車のエンジン音を感知し、外へ出てきてくれた事が幸いして、この車を隣にある小さな宿の空き地に停める事が出来た。



俺はずぶ濡れになる前に中へと入った。 アピスはチェックインを終らせてから部屋の鍵を貰い、部屋は俺達の隣の部屋だそうだ。



そして速攻本日の着替えを持ってから風呂へとダッシュするのである。 アピスとフィーナが産まれたままの姿で入ってきて、色々と気を使って俺の理性を崩壊させる前に入浴を済ませる為だ。



フィーナがギルドの報告を済ませるのに時間が掛かるとの事なので、久しぶりに一人風呂を堪能させてもらう。 この風呂の構造は鍋みたいなモノなのだが、過熱し過ぎることなく、心地いい。



俺も転生前は冬の雪が深々と降る田舎の温泉宿に休暇を利用して愛車を転がした後にそこの露天風呂で体を肩まで浸かって黄昏るのが好きであった。

おっさん趣味全開で同期の隊員には中々理解してくれる者はいなかったのだが。



そんなある意味久しぶりに風呂を堪能できた俺は部屋に戻って戦車に補給する弾を召喚する。 一日に出せる数には限りがあるので、撃った弾を補給できるチャンスは最大限に活かす。



「あっ」



一通りの作業を終わらせた俺は荷物配達の仲介人に報告を済ませ、報酬金を貰うことを忘れていたのだ。 この報酬金は冒険者手帳を作成するための資金である。 俺は仲介人の居る集積場へと車で移動し、2日で帰ったコールマンから戻って来た事に仰天した仲介人に色々と説明をし、報酬金の6000ラリを受理したのであった。



宿に戻ったらギルドでのゴーレム打倒報告を済ませたフィーナが戻って来ており、貸していた車載の傘を返してもらいアピスを含む3人で夕飯を取った。 フィーナがゴーレム打倒で出た報酬金はフィーナとアピスで折半してもった。これは今回のに配達任務の報酬金を俺が冒険者登録を済ませる為に全て貰う事になっていたからである。



その後は特にこれと言った事件はなく、俺の布団に潜り込んで来たフィーナと共に眠りに就く。 明日はいよいよ冒険者登録を済ませる日だ。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




翌日、俺とフィーナは朝食を取るべく食堂へと向かった。 食堂に向かうとアピスとガリアンが俺の事についての話で少しばかり花を咲かせていた。



「シドー殿か、おはよう。 昨日はご苦労であったな、ゴーレム退治の話、そこのアピス殿から聞いたぞい」



「おはようございます。 今回は特例を認めて頂きありがとうございました」



「なに、気にすることはないですぞ。 それより資金の方は大丈夫かな?」



「もちろん」



俺はガリアンに貯まった一万ラリを見せ、昼から戦闘力(バトルレート)の測定と本登録を鍛練場で行うと説明を受け、朝食を取った。



戦闘力の測定は、該当者が使う武器の継続火力や瞬間火力等を総合し、該当者のトータルバランスを数値化するそうだ。 なので断続的に安定した火力を出せる者が一撃の火力を重視する者よりも数値が高いというイメージになるとの事。



俺は測定の準備のため、昨日召喚した砲弾をチャリカーに積み込み、ルイナー工房の前に停めている戦車へと補給する。この戦車は車体後部に弾薬の給弾ハッチが付いており、ボルトを外す事によって補給が可能となっている。



俺は戦車のOVM(車載工具)を取り出し、ハッチのボルトを緩める。 この戦車のハッチのボルトは特殊な型をしており、専用の工具でしか開けることが出来ない。 開いたハッチから5発のAPFSDSを装填し、再びハッチを閉じる。 これで粗方準備が完了した。



「シドー様、おはようございます!」



「ルイナーか、おはよう。 これから仕事かい?」



「いえ、シドー様が今日冒険者登録を済ませるとエティさんから聞きまして……。 そ、その……、シドー様の戦い方を見たいなと思いまして、その支度を……」



「ああ、そんな事か。 ガリアンさんはギルドの鍛練場で行うと言ってたな、もう少ししたら鍛練場へと向かう。 なんなら後で皆といくかい?」



「あ、ありがとうございます! お願いします!」



そう言って彼女に昼前に宿屋の前に来るように言ってから俺は戦車を鍛練場のある、町の反対側の外側に戦車を移動させた。 後は時間まで待つだけである。




■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



コンコン



「ん? ……あぁ……、寝てしまってた……」



俺は昨日とは打って代わって晴れた日射しと部屋の快適さに負けて軽く寝込んでしまった。 夏真っ盛りな時期の筈なのに、日本みたいな湿気が無いためエアコンの無いこの異世界でも日が当たらない所は何気に涼しいのだ。



ドアノックの音で目が覚めて、ドアを開けるとルイナーが来ており、もうすぐ昼の時刻になるとの事だ。 次いでに彼女からフィーナ達の場所を聞き出した所、皆は食堂で早めの昼食を取っているらしい。



俺は身支度を済ませて食堂へと降りて、食堂に集まっていたアピス、ガリアン、エティ、フィーナに寝てしまってた事を詫びた。



「気にすることはないですぞ。 まだ時間はあるのでな、だがそろそろ鍛練場へと向かった方がいい頃合いではある」



「解りました。 では移動します。 ここから鍛練場までは割りと距離があります。 剥き出しになってもいいのでしたら纏めて皆を運べますが……」



「センシャとやらの話は色々と聞かせてもらったわ。 是非お願いするわ」



「わ、私もいいですか?」



「ほぅ、あの乗り物に乗せてくれるとな。興味深い、お願いできるかな?」



「シドーさんの持っている物は何でも興味深いです、お願いできますか?」



「私もお願いしたい」



みんな即答だった。 どうやらこの異世界には定員外乗車の概念は存在しないらしい。 俺達は戦車の前に移動し、一人だけ車内に入れる権利を集まった面子に阿弥陀くじで決めてもらい、エティがその権利を勝ち取った為、先に彼女を車内に入れて、他のメンバーに各々掴まる場所を指定し、エンジンを始動する。



そして戦車をゆっくりと発進させ、俺の異世界生活での大きなイベントとなる、冒険者登録を済ませるためにとラティーナ平原を戦車で走り抜けるのであった。





もう冬ですが、作中ではまだ夏です。 今のところ夏のイベント(海とか)の消化予定がかなりあるので、しばらくは夏の設定で話が進む予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ