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日常の終焉 ~後編~

こんにちは。


今回は後半からありふれた日常が一変、終焉を迎えます。

こんな小説ですが、最後まで読んで頂けると嬉しいです。

「じゃ、上がったら伝えるわ。 テキトーにテレビでも見ていてくれ」



「おーう」



 そんな簡素なやり取りをしたあと、俺はにもどり、今日のイベントでかいた汗を流すために風呂に入る。 9月の半ばであるため、まだ残暑が残っているので二人とも汗だくになっている。 俺は予め帰る時間を逆算し、風呂が自動で沸くように設定していた風呂の湯船が満タンになっていることを確認し、服を脱いで



「お風呂直行~どぼーん!」



 と意味の分からない独り言を言い湯船にダイブする。



 すると浴槽に溜まった湯が溢れて湯船に残ったお湯が俺の肩まで上がってくる。肩まで上がってきたお湯が今日の体の疲れた箇所にしみる様でキモチイイ。本当はこのまま浸かっていたいが今回は駿が来ているため、早めに上がることにする。




 風呂から上がった俺は駿に上がったと伝え、風呂へ入るように催促する。 そして彼は1年の大半をシャワーで過ごすので速攻で風呂から出てくるため、たまに俺が休みの日に車を出して温泉めぐりに行く習慣があり、その次いでに駿も乗せて行く時くらいしかアイツは湯船に浸からない。



 そして風呂から上がった駿は、どこに隠し持っていたのか、いきなり、パン!とクラッカーの紐を引いて



「誕生日おめでとう!これでまた一歩オッサンの階段のぼったな!」



と祝いの言葉を言う。最後は余計だ……



そんなコイツに俺はうっせぇ、と短く一言かえす。因みに今年で24歳となりました。ハイ。彼女は未だにいません。ハイ。



なお、今回は明日が休みの言うこともあり、今夜はコイツと夜中に放映される随分昔にあった異世界モノのアニメの一挙放送があるため、時間になるまではテキトーにゲームとか色々して時間を潰す。 そんな中、駿が俺にある袋を渡してきた。そして、



「今年も誕生日おめでとう!コイツはプレゼントだ、さぁ開けてくれ!」



そう言って俺にそれなりの大きさのある袋の中にある物が入っていた。それを見て俺は嬉しさのあまり感激して、思わず声をあげる。



「うおおおお!これはマミヤのSタンクの絶版キットじゃねぇか!」



おっといかん、いかん、ついつい興奮してしまった。コイツが誕生日プレゼントとして渡してきたのは間宮模型がおよそ20年前に発売していたスウェーデンの戦車、strv-103c型のプラモデルだった。このキットは新規で開発され発売こそされたモノの、売れずに早期に生産終了となったキットだ。しかし、Sタンク自体は根強い人気があり、発売終了後に存在を知ったマニア達の需要が上り今では5万円は下らないプレミアキットとなっている。 俺が高かっただろ?と聞くと、得意気に



「そうだゾ、6万したわ」



なんて笑いながら答えた。俺はこんなモン貰ってええのか?と聞くと



「当たり前田のクラッカー」



 と言いながら返した。お前何時の時代の人間だよ……



「んじゃあ、俺がお前に贈る誕生日プレゼントは、かみねんどろいどのアイだな。」



「おいおい、本人の前で言うかぁ?」



 あはははは、と笑いながら駿の誕生日プレゼントの話題で話す。そして俺はコイツから貰ったプラモデルの中身を見て、



「すげぇ、さすがマミヤだ20年前の製品なのにバリの一つすらねぇ、それに部品の質もスゴいぜ。ヒケのなさといい、パーティングラインも殆どないぞ」



 俺が感動に浸っている間に駿が割って入り、



「おい、そろそろ時間じゃないのか?」



 と言って時計を差した。時計は時刻11時55分になっており、アニメ放映5分前となっていた。俺はテレビを点けて駿と一緒にアニメが始まるまで一緒に放映前に流れている短いニュース番組を見ていた。ニュースの内容は、なんと今日の駐屯地祭のことで、そこには笑顔でインタビューに答える子供達や戦車の体験搭乗に並ぶ人達の姿が写しだされており、こんな光景はいつ見てもイイ、と思い二人揃って和んだ。



「なあ、オメーが前から言ってた、今日の番組のタイトルってなんだっけ?」



 駿が唐突に尋ねた。駿はアニメに触れてからまだ少ししか経っていない。何故今まで戦車一筋の駿がアニメに興味を持ったのかというと、単純に休みや空いた時間を潰す為の暇潰しを教えて欲しいと聞いてきたからだ。そこで試しにアニメを薦めたらハマったと言う訳だ。



「ん?ああ、お前は30年前のアニメを見るの初めてだもんな、今日のアニメのタイトルは「あの素晴らしい神様にエールを!」と「Re:ベロシティから始める都市生活」、略して「あのすば!」と「リベロ」だ」




「へぇ、随分と短くしたモンだな」



「ああ、あの時代はさっきの様な長いタイトルのラノベが多くてな、知名度の高いタイトルは軒並み略されてたらしい。因みに他の言語にタイトルを翻訳する際に翻訳家が、「こんな長いタイトルどーやって訳すんだよ!」といってキレてたとか」



「へぇ」



そんな会話をしてたら、番組が始まった。そして



「ちょっ、軽トラを突進してくる戦車と勘違いしてショック死とか可笑しすぎる!まず戦車は農道とか走らんだろ!」



「この神様の「ぶーくすくす」って笑い声メチャクチャツボった!今度オメーがヘマやらかした時に使おう」




「やめれ、しかしこれなら俺の爺さんが昔ハマったのも納得だわ」



第一話の冒頭でこれである。そしてCMが入り、再び番組に戻りしばらく見て、主人公が異世界に転生する描写に入ろうとしたその瞬間画面が切り替わり、



「番組の途中ですが、ここで臨時ニュースです!」



「「なっ!?」」



 本来なら落ち着いた物言いでニュースを読み上げる筈のニュースキャスターが目に見えて、耳に聞こえて分かる様に慌てて声を上げながら話していた。アニメ番組が急にニュース番組に変わり、二人揃って驚いたが、直ぐに只事ではないことが理解できた。そのニュースとは、このニュースは夢の中の自分が見ているモノなんだ、早く覚めろ、と何度も嘆く様な内容だった。



「日米合同演習中に隣国海軍の駆逐艦がアメリカ海軍の駆逐艦、ガルベストンをミサイル攻撃、被害甚大!」



 そこには、米国海軍のミサイル駆逐艦、ガルベストンが炎上し今にも沈みそうな勢いで船体を海に傾ける映像がリアルタイムで写し出されていた。



「はぁ!? 嘘だろ!?」



 それからすぐに別のカメラに切り替わり、同じアメリカのミサイル駆逐艦のクリーヴランドが隣国海軍の駆逐艦にむかい、LRASMを発射した。亜音速のミサイルは目視でも確認出来る程の距離にある艦艇に即着弾する。迎撃も間に合うはずがない。相手の艦艇は文字通り轟沈。しかし、相手も多数の艦艇で来ているので、当然反撃をする。そして今度は海上自衛隊の護衛艦、「てるづき」に着弾、「てるづき」は船体に大きな穴が出来ており、沈没も時間の問題だというのが素人が見てもハッキリと分かる状態だった。



 そしてこの話は当然翌日のニュース速報になり、双方の被害状況が発表され、全面戦争は確定的なものとなった。



 無論このあと俺の小さな誕生会は終わり、駿は自分の部屋に戻って行った。俺も布団に入ったが、半日前まで基地内で民間人向けのイベントに勤しんでた光景と今見た光景を整理しようと思ったが、上手くできない。

その日はずっと寝れないと思っていたが、アッサリと眠れた。



 そして、俺が24の誕生日を迎えた日の時刻が変わり、15分経ったこの時、この国の平和と日常は終焉を迎えたのであった。

ここまで読んで下さりありがとうございます。


この次から戦車による戦闘シーンになります。

うp主のチープなセンスと知識で描写しますので、戦闘シーンに過度な期待はしない方がよろしいかと。


小説を執筆するに至って、役に立つテクニックや情報を教えて頂けるとうp主は泣いて喜びます。



尚、最後の方に出てきた駆逐艦の名前はこの世界における架空艦です。ただし、LRASMは米海軍が開発中の対艦ミサイルです。この世界は近未来なので実用化され、配備されてるという設定です。




私は結構パロディネタとか好きなので、今度いかつか使おうと思っています。しかし、最後の番組のタイトルパロディは流石に怒られそうで怖い((( ;゜Д゜)))

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[一言] Jがイントルーダーを叩き落とした時、一歩間違えてたら…………。と思った。
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