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9【新人侍女】は語る5

この家は三角関係ばかりではなかった!!


これほど微妙な話題で盛り上がれる私はなんてお安いのだろう。しかたないでしょう、こんな特殊な状況下なんですもの


「実は料理長は~病弱系侍女さんに片思いちゅう~だったり~」

「なんだと、やはり三角!!」

「先代執事長様は~料理長の気持ちに気付いているけど、病弱系侍女さんは気付いていないのだよ新人ちゃん」


妹系侍女さんいわく、病弱系侍女さんは高級娼婦時代、ご高齢なお客ばかり取っていたそうで若い男に目がいかないそうだ。年上好きって言うよりは、若い男にご指名されないと思っているらしい。でも嫡子様と料理長とはヤっているのだ、矛盾しているぞ?


「娼館時代はたま~に若い人からご指名が入って、珍しいな~ってお相手すると、大体首絞められるんだって~。酷くない~?」

「酷いなんてもんじゃないですよ、そりゃあ枯れ専になるってもんですね……」

「そうよね~、首絞めで感じるのならともかく~」

「……」


遠い目をする私……、そういえばとうとう噂の嫡子様が帰ってくるらしい。学外学習でサバイバルの後、遭難もどきで予定の帰宅日よりもかなり遅れていたのだが、やっと山から下りて王都の近くの村まで帰還したらしい。あまりの疲弊っぷりに、保護者に迎えに来てくれとの伝令があり、朝早く執事長と護衛長が馬車を引き連れて迎えに行った


そういえばうちの小悪魔ファイブはどうしたんだろう、まさか同じ学外学習隊にいたりしないだろうか?


いやいや、上級学生と一緒の隊に入るには相当優秀ではなくては入れない。たしか学生を12の隊に分けて、期間をずらして行う行事だと聞いた。時期は隊長のくじ引き運次第で、天国にも地獄にもなるらしい。特に冬は地獄だと聞いた……雪山でサバイバルなんて恐ろし過ぎるわ


小悪魔ファイブは夏の方が嫌だとか言っていたな、虫が出るからだなんて、鷲掴んで投げてきそうなやつらが……お前等は乙女か!!なんて思ったのも懐かしいわ……、あれは幾つくらいの時だったっけ?


まぁ、もし参加組なら自力で帰りなさい、家には誰もいないからね






「嫡子様、おつきになります!!」


先触れの従者が屋敷へと戻ってきた、とうとう来た、来なくていいのに!!先代執事長様と侍女一同はロビーにずらりと並んでお出迎えの準備を始める。馬車のドアが開いたら、先代執事長様の号令の元、お勤めご苦労様でした……だっけ?お帰りなさいませだっけ?うぉう、緊張するッ!!


屋敷前の道に先導する護衛隊長が見える、その後ろに馬車が見えた。逸る鼓動を落ち着かせながら、馬車を眺める。そのままポクポクと馬車は玄関前で停車、護衛副隊長さんがドアを開けると……


小汚いお兄さんが出てきた……?


短く刈った髪と細めの体に、乾いた泥をまとわりつかせたまま下車なされた殿方。軍服は裾がほつれ、ボタンは飛んで中のシャツは汚れでまだらになっていたし、ひざ部分はパックリ切れているという、とても高位貴族の嫡子には見えない格好。清楚系侍女さんの悲鳴(演技)が聞こえるなか、侍女長様が嫡子様の元へと駆け寄り


「阿保か!!風呂……いや、水で泥くらい落としてから馬車に乗れ!!誰が掃除すると思っているんだい!!」


すぱーんと良い音を響かせて、嫡子様の頭を叩いたのだった




「何日ヤッてないと思ってんだよ。すっげ~溜まってんだよ、早くヤらせろよ!!」

「五月蠅いエロガキ。庭師長、裏に連れてって水ぶっかけてやりなよ」

「御意」

「いてぇ!!引っ張んな、俺は嫡子様だろうが」


ぎゃあぎゃあと騒ぐ嫡子様を裏へ連行。侍女長様は手を叩き、風呂と軽食の準備を促す。屋敷内へ向かおうとしたところ、呼び止められた


「新人ちゃん、病弱系侍女と嫡子様の湯あみのお供をしなさい」

「ゆあみのおとも!?」

「大変なお勤めだったみたいだし、さっぱりさせてピカピカに磨きなさい」

「ど、どういういみで?」


突然の指名に冷や汗ダラダラ状態の私。侍女長様は怪訝な顔の後、私の焦りに気が付き笑いながら


「普通の風呂っていう意味で。さすがに処女に風呂エッチはさせないわよ、もししそうだったら病弱系侍女がお相手なさいな」

「了解しました、侍女長様」

「はぁ……」


お日様が輝く爽やかな青い空の下の玄関前で、爛れた会話をしてしまった、恥ずかしい。病弱系侍女さんに連れられてお風呂場で待機することとなった




「普通の湯あみのお手伝いはしたことがありますでしょう?」

「女性の方なら」

「なら大丈夫ですわ、お背なを流したり髪を洗ったりするだけですもの」

「左様で……」


本当だろうか?半信半疑で風呂の準備を整えた頃、むくれた顔で粗方泥を落とされた嫡子様が到着。病弱系侍女さんにうながされ服を脱ぎ、まずは洗い場で掛け湯をしてから石鹸をたっぷりと泡立てて髪を洗う私、同時に体を洗う病弱系侍女さん


「嫡子様、侍女長様に甘えたいのはわかりますが、あのような言い方では怒られるのは当たり前ですわよ」

「別に、甘えたいわけではない。留守の間、誰か新しい女は入ったのか?」

「まぁ、わたくしの前でそんなに堂々と……」

「お前に手を出すと、じいやが笑顔で怒るから嫌だ」

「怒ったりしませんわ、わたくしは嫡子様専用ですもの……」

「どうだか」


短く刈った髪の毛はあっという間に洗い終わり、湯をかけ泡を落として軽く水気を切る。そしてそのまま背中を洗う私……、すいません、病弱系侍女さんに前面ばかり洗わせて……。さすがにそこまでの勇気が出ないのです


病弱系侍女さんは腕を洗いつつ、儚げにほほえみながら話を続ける


「そう思われるのであれば、早く奥方様を迎えてくださいませ。お気に入りの方は、うなずいてくださいませんの?」

「……脈はあると思うのだが。今回の学外学習の地にわざわざ忍び込んで来てくれたんだ」

「…………」


そんな事あり得るのだろうか、サバイバルをする山奥でご令嬢が1人で?忍び込んでばれなかったのか?なんだか変じゃないかしら?


そんな感じで頭の中で疑問だらけにしていたら、嫡子様は泡だらけのまま病弱系侍女さんに圧し掛かり、おっぱじめてしまった。病弱系侍女さんは視線でバスタブを指す、あぁ湯加減を調整しておけと言うのですね、そうさせてもらいます。そもそも先代執事長様に怒られるから、手を出したくなかったのではないですか?出しています、完全に出していますよ!!


アレな音を掻き消すように、バスタブに追加のお湯をたしている私でした……ひぃぃぃぃ






だらりとバスタブにつかる嫡子様。細身の人だなと思っていましたが、なかなかの筋肉具合でした。脱いだらすごいんですと言うやつですね。と言っても嫡子様は経済系貴族様なので、武力系貴族様ほどではないです、多分。あっちぃなんて言うので、冷たいレモン水など差し出します。ちなみに病弱系侍女さんは一度退場しております、お疲れ様でした……


「お前は、初めてか?こういうの」


嫡子様はだらりとしたまま、私に話しかけられました


「……ハイ、左様デス」


えぇ、処女なのにこんな特殊プレイを至近距離で見学させていただきましたよ……泣きそうです。そりゃあ、高位貴族の侍女歴長いので、こういうあはんうふんな状況に出くわしたことは、無きにしも非ずなんですけど、こんなに堂々と見たのは初めてですよ。イタした後のベッドメイキングなんて日常茶飯事でしたから、どんだけさかってんだと思っていたんですけどね、ここのお屋敷半端無いですわ……


「そうか。童貞(・・)には刺激が強かったかもしれねぇけど、俺こんなんだからさ、悪いけれど慣れてくれよ侍従見習い」

「え、あ、ハ、ハイ?」


……あれ、かなり真面目な顔で仰られたんですけど?まさか、私、男だと思われているのかな?






「あ~、嫡子様ってば、新人ちゃんがお気に入りに~?」

「そういう意味でのお気に入りじゃねぇよ、男の穴には興味ねぇよ」


風呂でピカピカになった嫡子様、ついでにテカテカもしていたがそこは無視。嫡子様私室へと(普通に)お供した後、妹系侍女さんが軽食を持ってやってきた。お茶を差し出しながら妹系侍女さんはにっこりとほほ笑む


「じゃあ、あたしをよんでくれる?」

「護衛たちと遊んでいればいいだろう。……それとも、なにか急に金が必要になったのか?なんか変な事に巻き込まれたんなら、侍女長経由で親父に言っておけよ、悪いようにはしねぇからさ」


妹系侍女さんを心配しているのであろう嫡子様。なんだか勝手なイメージでは、傍若無人で侍女に手を出しまくっている人なのかと思っていたのだけど、意外と次期当主として面倒見のいい人なのかもしれない


「まぁ、いいけど。今夜来いよ」

「は~い、毎度あり~」


ヤる事はヤッているけどさ!!

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