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15【新人侍女】は語る9

「なにしてんのよ、高位貴族をからかって何がそんなに面白いのよ!!あの方、3番目に本気なのよ。女にだらしないけど、良い人なのよ……多分ッ」

「絆されたの、姉上。初めての男は忘れられないとか言うし」

「……あんたら、頭の良い馬鹿だったのね。学費が勿体ないわ、爵位も返上した方が良いかもね」


私だって甘いものが食べたかった、でも我慢したわ、だって高価なんですもの。可愛らしい服だって着たかった、これは似合わないからいいけど。青春を犠牲にしてずっと働いていたのは、こんな馬鹿どもの為じゃなかったのに。涙が出そうになるが……


「姉ちゃん、娼婦になったんでしょう?俺にもヤらせてよ~」


……ものすごい馬鹿発言に涙がひっこむ。5番目か、落下と同時に踵落とし食らわせてやる!!胴上げ大会に参加できず、周りでオドオドする3番目に向かって叫ぶ


「3番目、姉と一緒に土下座しましょう。そして国を出て、……そうよ農業国へ行きましょう!!あそこならやとわれ農民で、何とか食べていけるかもしれないから!!」

「姉上……。僕も侍女として働けませんでしょうか?」

「……女装してやる気?」

「自分、男装してやってんじゃん」

「これは当主様からの命令なんです!!」


余計なツッコミ入れたの誰だ、4番目か、踵落としだ!!


4番目と5番目に踵落としを食らわせたので、次は2番目を狙っていたら、あいつらわざと私の体に回転をかけ始めた。ちッ、狙いが定まらない上に、き、きもちわるい……酔う…………


「姉上、今頃何の御用ですか?しかもそんな面白い格好までして、俺達を笑わせに来てくれたのですか。まったく笑えませんがね」

「1番目……うぇ、胃が……」

「そろそろおろしてやれ、中身ぶちまけられても困るしな」


まるで闇の首領みたいな態度で植込みの奥から出てきた1番目、居るんなら最初からまとめて出てきやがれ。4人の弟たちに囲まれ睨まれる、大きくなっても同じ顔っぷりが凄い。普通ある程度成長すれば差が出来るものだと思うんだけどな……、3番目だけはちょっと違う。女装が無駄に似合っているよ、なんだその女子力は


同じ顔でも何となく判別が付く私、嫌だと思っていてもやはり血が繋がっているのだろうか






「新人ちゃ~ん、どうしたの?襲われたの?」

「君は何をしているんだ。あまりボロボロな格好をしていると、侯爵家の恥にもなるんだぞ?」

「妹系侍女さん、副執事さん……申し訳ありませんッ」


あの後残りの弟たちに一発ずつお見舞いしてから、取りあえず部屋に帰した。3番目には改めて嫡子様に土下座するから、覚悟を決めておけと通告しておいた。その為にまずは副執事さんに土下座し、事の次第を話す


「……男なんですか、例のご令嬢は。ぶ……プププ、事実なんですか、くふ、男に惚れたんですか嫡子様……。ククク、ぶ、ふふ。マジで……腹痛いっ…………プ」

「副執事くんは~、嫡子様と同い年だったから、お側付だったのよね~」

「そうです……、あの女好きが超ウケる。ぐふふふふ……く…………、ひゃはははははは!!無理無理、笑い止まんねぇ!!」


大爆笑する副執事さん。あなたクールで有能なのに、笑い上戸だったのですね……


「そうか。ぐふ、貧乏没落男爵家の3男の女装か……。だから情報に引っかからなかったんですね。学校内でたま~に趣味で女装していたからか。解りました新人さん、当主様には話を通しておきましょう、まぁその前に会わせてくださいね。からかいという悪意以外の思惑が無かったか、調べなくてはいけませんから」

「アイツらがそこまで深く考えているとは思えません。私以外には怒られる程の悪戯を、危険を冒してはいないらしいですし……」


大体賠償金でかたが付いてしまう悪戯ばかりなのよ、名誉棄損で訴えるとか言われたことはない。そういう事は上手くかわしているところが、憎たらしいと言うか……


そもそも天然ボケの3番目に至っては、私が金を払っていること自体、最近まで知らなかったそうだ。父母よ、どういう教育を施していたんだ、金は湯水のように湧いては来ないのだぞ。……あ、教育を放棄していたのか。その割には私は普通に育ったな?


「あぁ、やっぱ止まんねぇ。ぐふふふふふ、がははははは、ひひひひひッ、マジかよ殺す気か俺を……くくくくく」


ゴロゴロと腹を押さえながら、副執事さん床をローリング。それを見ながら妹系侍女さんも笑っている。私は乾いた笑いを浮かべて、破滅へと向かうであろう告白の日を思った……




数日後、低位貴族が使用するカフェで待ち合わせをした。まだ女装にこだわっているのか、女生徒服に身を包み可憐に椅子に座る3番目。副執事さんは真剣な目で3番目を見つめると、フッと苦笑いをこぼし向かいの椅子に座った


「確かにお可愛らしいご令嬢だ、あなたのお姉さんが務める屋敷にて副執事の任を賜っているものです。以後お見知りおきを」

「初めまして、姉がお世話になっています」

「お姉さんから一通り聞いていますから、単刀直入に言わせていただきます。何が狙いでしょうか、悪戯でしたら性質が悪いですね?」


男爵家終了のお知らせです、みたいな笑顔で副執事さん。いいんだ、もう他国で農民をしよう……私。遠い目をしながら2人の話に耳を傾けていたが


「僕、身の程知らずなのはわかっていますが……。嫡子様の事がすき……です、この思いは真剣なんです。悪戯じゃないです」


まさかのびーえる展開、知っているわ《4の国》で流行っているのでしょう男性同士の愛


「そうですね。身の程知らずにも男爵家の者が、序列2位侯爵家の次期当主の妻を望みますか?」

「妻だなんて、おこがましい事はいいません。できればお側においていただけるだけで僕は……」

「そりゃ妻は無理ですよ、男なんですから」


つい話に割り込んでしまった私、さすがに弟と一緒に身売りなんてどれだけ残念な結果なのだろう。あきらめて普通に生きなさいと諭すが、副執事さんと3番目はキョトンとした視線を私に向けた。え、何か変な事言ったのかしら?


「僕、女だよ……。胸あるし」

「無いわよ。それくらいの盛り上がり、太りすぎの男にだってあるわよ?」


何故か副執事さんと3番目は私の胸部を見て居るけど……。あ、これは潰しているのよ。だって男装中だし、脱いだってそれほど変わりがないって言いたいのか、うん、それ正解!!


「下、ついていないし……」

「そこまでして女装したかったの?そんな手術代、どこからだしたのよ。無駄使いはやめて頂戴」


まさかのちょんぎっちゃった発言、親からもらった体に何するんだ、金が勿体ない!!


「あなたのお姉さんは結構馬鹿ですね」なんて副執事さんは言う。え、どういうことなの?

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