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現代書記  作者: 赤木梓焔
第壱章
7/26

壱の伍

「あー、うめぇ、やっぱ焼肉にはビールだな」

「え、焼肉には、赤ワインでしょう!」

「おい、お前。いつの間にワインなんか出したんだ?」

 アルテミスの目の前には、ワイングラスに並々と注がれた赤ワイン。しかもそれをグビグビと、ジュースでも飲むかのように飲んでいる。

 目の前で可愛い子がお酒を飲んでいるのだが、色気のない飲み方なので、カグツチの心はときめかない。むしろ、呆れていると言ってもいい。


「あー、おいしい、これ」

「お前がワインを飲んでいると、飲酒している女子高生にしか見えないから、外では飲むなよ」

「えー、見た目はキュートな女子高生だけど、立派な大人の女性だよ」

『……大人の女性じゃなくて、何千年も生きているババァだろ』

カグツチは小さい声でボソッと呟く。

見た目は若いカグツチとアルテミスだが、人間が生まれる遥か前から存在した神。もう自分たちの生まれた年や誕生日ははっきりと分からないが、ずっと人間達を見てきたのだ。


「ん? なんか言った? カグツチ?」

「あー、いやなんでもない。焦げるからさっさと食うべ」

 アルテミスがお酒に酔うと、絡んできてタチが悪くなるのに気づいたカグツチは、鍋の下に置いてある自分の左手から出る炎の温度を上げる。

一気に野菜や肉が焼け、アルテミスとカグツチは焼肉とお酒をいっぱい食べた。


 2時間後――

「あー、食った食った」

「本当、美味しかったね」

 ジンギスカンとお酒を楽しんだ2人は、夕食の後片付けをする。

 アルテミスが食器を洗っている間、カグツチは汚れたテーブルの上を拭いたり、焼肉の匂いがこもる部屋にスプレー消臭剤を撒いていた。

「片付け終わったー?」

「おう、ほとんど終わったぜ。焼肉の匂いが体に染み付いたから、サッパリするか」

 全ての片づけが終わると、カグツチはお風呂場に向かう。浴室を開け、浴槽に目を向ける。そこには、冷たい水が張ってあった。

 カグツチがその水の上に両手をかざすと……数分後、浴槽の水は温かいお湯に変わっていた。


「お風呂のお湯沸いたから入っていいぞ」

「ありがとう。今日最後のお仕事ありがと☆」

「じゃあ、俺は事務所に行っているな」

そう言うとカグツチは、玄関を出て階段を下りると、1階の事務所に向かった。

 そして事務所に入ったカグツチは、事務所の奥にあるシャワールームに向かう。


 なぜ、カグツチが自宅の風呂を使わないかというと。

 女性であるアルテミスに気を使っていることもあるのだが……

 生まれてすぐに、父であるイザナギに切りつけられ海に放り込まれたカグツチは、泳ぐことが出来ず、溺れていた。

 その経験から狭い浴槽とはいえ『水に浸かる』ことも苦手だからだ。


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