中世の食事
食事関係を細かく書いていきます。
*見方*
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●タイトル●
本文
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●キャベツは丸くなかった●
キャベツやレタスは丸いものという印象がありますよね?
もともとは真っ直ぐに天にそびえ立つ葉っぱをしていました。
長い茎を持つ背の高い植物で、その茎から葉が互生しています。
食用に収穫する時は、その葉を一枚一枚掻き取って束ねていたんですね。
だから八百屋さんで売っているキャベツやレタスは、葉っぱを摘んだい状態で売られているわけです。
ちなみに、丸くなるのは栄養過剰にして、葉っぱが増えるために起こります。
結球と言います。品種改良の結果で、中の方の白い部分がやわらかく、甘くなる、収穫がしやすいという利点があります。
今でもポルトガルでは、この「立ちキャベツ」が主流なんですって。
●レタスのサラダが広まったのは、ルイ14世のおかげ●
ルイ14世1638年―1715年
それまではクレソンがサラダとして人気だったようです。
レタスの葉を和えるルイ14世お好みのドレッシングは、タラゴン、パンプンネル、バジル、バイオレットで香りをつけたものだったそう。
●保存食の王様タラ●
タラは保存がしやすい食料で「塩タラ」「干タラ」として魚介系保存食としては最も古いものです。
干しダラは数週間。
完全に水分が抜けた塩タラは、カビることもなく数年は品質を維持できるそうです。
燻製ニシンや酢漬けのニシンはただ干すだけのタラに比べると面倒なので、流通量はやや劣るようです。
また、馬車で運んでも品質劣化を起こさないので、海から離れた大陸中央部で唯一食べられる海の魚として、有名でした。
生で食べられたのは、漁港の人たちだけで、ファンタジーなら、「港町だけで食べられる本当のごちそう」としての描写など、楽しいでしょうね。
また、交易船の積荷となって外貨を稼いだ他、船乗りたちの食料そのものにもなっていたようです。長期航海でも劣化しないので、保存食として貴重だったんですね。
ヴァイキングの人たちは、交易するだけでなく、加工工場を持っていたようです。
生産から加工、出荷まですべて自分たちでやっていたんですね。ローコストで頭がいいです。
塩タラの一番の活躍は、なんといってもコロンブスを始めとした、新大陸の発見です。
長期間の航海では、ほとんどの食料が腐り、カビが生え、衛生状態は非常に悪いものでした。そもそも数ヶ月も保つ食料がない。
ところが、塩タラはタンパク質として、数少ない保存食の条件を満たしていました。
塩タラがなければ、新大陸の発見はもっと遅れていたでしょう。
ちなみに、塩タラは戻すのに一日かけて木槌でたたき、水につけ、ようやく戻るそうです。
●塩漬けニシン●
ハンザ同盟やオランダが大発展する原動力となったのが、この塩漬けニシンです。
とくに、保存方法の確立により、世界中に輸出されるようになりました。
これには、宗教上の禁欲日(肉を食べない)の影響が大きいようで、そうなると、沿岸部の人以外は、この塩漬けニシンを食べることが多かったようです。
腐りやすい腸を抜いて、塩につけるだけなのですが、魚の大きさ、卵の有無(産卵後は味が落ちるから)、樽の板の枚数など、非常に細かな規定を設けて、品質管理をしていたようです。
●白いナス●
ナスの原産地はインドと言われています。
13世紀頃には地中海あたりに広がっていたので、ファンタジーに充分登場できる作物です。
さて、このナス、原種はもっと実が小さく、棘が鋭く、味は苦かったようです。
色はなんと白色。完熟すると黄色くなるんだとか。
イギリスに伝わったナスは白く、卵のような形をしていたので、エッグプラントと呼ばれたそうですよ。
●ワインの地方●
すでに中世でも、フランスのワインの産地は50ほどありました。
ブルゴーニュやモンペリエ、オルレアン、シャンパーニュなどが有名でした。
フランス人なら白ワインを好み、ブルゴーニュ地方の人達は赤ワイン、イギリス人ならビール。ノルマンディー地方の人は、リンゴ酒を好んで飲みました。
個人的な雑感ですが、ファンタジー小説などでも、十把一絡げではなく、どこどこ産地が好きだなどという描写があれば、世界観に深みが出てて、私は嬉しい。