中世の森
ヨーロッパの森林は日本と違い、山岳地帯だけでなく平野でも広がっています。
フランスを例に、中世の森林の面積を記しておきましょう。
現在のフランスは森林の割合は地表の約23%。
ところが、中世初期は最も開拓が進んでいるサン・ジェルマン・デ・プレ修道院の平野部でさえ、4割以上が森林だったと言われています。というか、900年頃の想定地図を見ると殆ど森しかありません。
土地の9割以上は未開の地であり、村の周囲だけが切り開かれていました。
森は簡単に立ち入れる場所ではありません。
キリスト教の聖職者は、一般社会から『隔絶した場所』であることから、苦行僧が好んで森に庵を編みました。
森は盗賊や無法者、狼や魔女、魑魅魍魎の跳梁する世界だと考えられてきたのです。
樹木の使われ方には建材や薪炭や、果実や木の実、蜜蜂の巣から蜂蜜と蜜蝋などが得られました。
ブタを放牧しておくのにも使われました。ドングリを食べさせていたわけですね。
中世初期まで、森は誰のものでもありませんでした。
中世も中期になると、貴族たちが管理し始めます。
伐採にも許可がいるようになったりします。
また、狩猟の場としても使われました。
ロビンフッドの物語の原点になっているイングランド国王の御料林管理の厳しさは有名だったようです。
また、森は腐葉土がつもり、非常に滋味豊かな土地でした。
開拓後は木の根や石などこそありますが、植物を育てる栄養面では満点です。
森を切り開いた直後の畑は、豊作が約束されていたでしょう。
中世も後期になると、ガラスや鍛冶といった燃料を多量に必要とする産業のため、木がなくなっていきます。
特に大木が少なく、建物や船のマストなどに使うためには、大金がかかりました。
そして、お金があっても上手く手に入るかどうかは別物、というのが現実でした。
ある修道院は、柱となる大木を手に入れれたのは「神の思し召しだ!」などと喜んだそうですよ。
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