第8話 規格外
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これからも頑張って書いて行きますのでよろしくお願いします!
ドルマ教授に付いて学院内の廊下を歩き続けていて気が付いた事があった。
今歩いている廊下を見た事があったような気がした。
(…そうだ!この廊下確か学院長室の…)
やっと思い出した時、目の前でノック音が聞こえた。
そこはやはり学院長室でドルマ教授は学院長室をノックしていた。
「学院長、ドルマですじゃ。少々お話がありましてな、お時間宜しいかな?」
「どうぞ」
中からミレーヌさんの声が返って来てドルマ教授が扉を開いて中に入ったのでそれに続いて中に入るとミレーヌさんは驚いた様に目を見張った。
「ドルマ教授、どうかなさいまして?」
「それがのう、どうも困った事が起きてしまったんじゃ」
「困った事?」
訝しげな顔で、読んでいた書類から顔を上げ眼鏡を外したミレーヌさんがドルマ教授の顔を見て、椅子から立ち上がるとソファに座る事を勧めた。
「で、何があったのかしら?」
向かいに座ったミレーヌさんがドルマ教授に尋ねた。
「実はのう、今日の先程のわしの授業は一年生担当だったのじゃ。そして、今日の授業では初級火球呪文ファイアボールの実践だったのじゃ」
「ファイアボール…そう、今年は進むのが少し早いのね」
「そうじゃのう、今年は例年に比べて少し進行速度が早いかも知れんのう。取り合えずそれは置いて置こうかの、そこで、この娘が今日始めての授業なのを考慮に入れ順番を最期に回したのじゃ。するとこの娘の放ったファイアボールは青白いファイアボールじゃった。あれは恐らく高位呪文の一種である白炎に限りなく近い物であったのじゃ。高位呪文を出すには一年生では魔力修行が足りないため魔力が足りない、それにあの時呪文の詠唱を行わなかったばかりかファイアボールとハッキリと術名を呼称しておったのじゃ。通常的に考えるとありえぬ事じゃ。そして、さらに驚く事はその呪文はわしの保護魔法の掛かった鉄人形に穴を開け、それに加え魔法学教室の壁にも穴を開けてしまったのじゃ」
「…」
ドルマ教授の言葉を噛み締めるかの様に、目を瞑って何かを考えているミレーヌさんに向かってさらにドルマ教授は言葉を続けた。
「この際、編入生であるこの娘はまだ魔力測定を一度も行っておらん。それを調べた後に何故この様な事が起こり得たのかを検討したいのじゃ」
それを聞いたミレーヌさんは、溜め息を一つ吐くと机に歩いて行き、机の引き出しの中から小さな黒い箱を持って来た。
ミレーヌさんは箱を開けて私に見せた。
箱の中には箱一杯に入った水晶球の様な物があった。
「これは魔水晶と言って、触れた者の魔力に応じて光を発する特殊な性質を持っているの」
はい、と言ってこちらに差し出して来るので反射的に受け取ってしまった。
受け取った途端、水晶球は眩い光を発し目を開けていられなくなった。
「眩しい!」
「これは…」
その時唐突にその光が止んだ、目を開けると全く何もしてないと言うのに水晶球は割れて、手の中に残っているのはその破片だけだった。
「…え?」
「何と…魔水晶が砕けたじゃと!?」
「…」
それを見たドルマ教授は驚いている様だったが、ミレーヌさんの表情はやっぱりと言った様子だった。
ミレーヌさんはゆっくりとした動作で壁に並ぶ戸棚の中から小さなブレスレットの様な物を取り出した。
「これはこの学院に伝わる古いブレスレットなの。これは特殊な鉱石と金属で作られていいて、着けた人の魔力に影響して外に出す魔力を制限するの…ちょっと言い難いんだけど、今のままだと貴女の立場が悪くなるかもしれないの我慢して貰えないかしら?」
「…分かりました。これを着けて魔法が全く使えない訳じゃないですよね?」
「もちろん、貴女の魔力が多すぎて多分それだけじゃ完全に外に漏れるのを防ぐ事は出来ないと思うわ。でも、この学院にいる分には自分の魔力の制御が出来る様になるまでは着けていて欲しいわ」
「大丈夫です」
そう言って私は、ミレーヌさんからブレスレットを受け取ると直ぐに右の手首に付けた。
すると身体から力が抜けた様に感じた。
「慣れるまでは暫く掛かると思うわ。ゆっくり生活の中で慣れて頂戴?」
「はい」
「一先ずはこれで安心じゃのう?」
そう言ったドルマ教授に誰も返答する事は無い。
何故なら、マミのSランク特待生枠は他にもまだあるからである。
次回をお楽しみに!