第6話 特Sクラス
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現在、学院内の廊下を歩いている。
豪華な生徒会質を抜け出して、ミレーヌさんとどこかに向かって歩いていた。
「そろそろ、午前の授業が終わってホームルームが始まるの。そこで貴女のクラスに貴女を紹介するわ」
「はい」
「あ、そうそう。貴女のクラスは一年特Sクラスよ、このクラスにはSランク特待生と貴族の優秀者、王族等がいるわ」
「…(面倒そうだなぁ)」
「まぁ、ポッと出たどこの誰かも分からない娘が複数のSランク特待生枠なんて気に食わないと思うけど、貴女なら大丈夫だと思うわ」
「はぁ…」
「まぁ、行けば分かるわ。あと、精霊が見える事はくれぐれも他言しないようにね?」
「え〜、今日はこの一年特Sクラスに編入生が来ま〜す!」
特Sクラスの担任だと思われる人がこう言った声に合わせて、教室内が盛り上がっているのが聞こえる。
私は、教室の外の廊下で待機している。
タイミングが着たら中から呼んでくれる手筈になっているのである。
「男?女?」
「女の子が良いな〜可愛い子〜」
「どっちでも、強ければ良い」
「こんな時期に編入なんて優秀なのかな?」
「…」
「まぁ、見れば分かる。お〜い、入っていいぞ〜」
声が聞こえたので教室の扉を開いて中に入った。
教室の中には教壇を囲んで大学の机みたいに半円・段状になって机と椅子が並んでいた。
そこには疎らに生徒が座っていた。
「はい、じゃあ簡単に自己紹介して貰おうかな?」
「あ、私は真美桜花院、十六歳(?)です。受講教科は魔法学と魔導学、精霊学と…魔工学、あと、実戦型戦闘学です。宜しくお願いします!」
生徒会でしたみたいに、ペコッとお辞儀して挨拶した。
「…」
またもシーンと静まり返ってしまった。
顔を上げて様子を窺うと、キョトンとした生徒達の姿。
「可愛い!」
「って言うか、教科おかしくない?」
「それだけ優秀と言う事でしょうかね?」
クラスメイト達は興味津々と言った様子で私を見てくる。
そこで落ち着いてクラスを眺めると教室の中の生徒の少なさは異常なほどだった。
ざっと見て男子生徒三人、女子生徒二人って所。
「はいはい、お前ら仲良くしろよ~」
そう言った先生はそのまま外に出て行ってしまった。
唖然として先生の出て行った教室の入り口を見ていると肩に突然重みが掛かった。
「私は、ミル・マッカールム、ミルでいいわ。マミ、よろしくね!」
「僕はロイ・マッカールムだよ、よろしくね?」
「姉弟?」
「そう、ロイは私の二つ下の弟で十四歳。私は十六歳よ」
「同い年だね」
二人は身長の違い以外はそっくりと言ってもよかった。
しかし、性格が違うのか精霊は水と火だった。
他の生徒達も追々挨拶して言った。
チャイムが鳴ったためその場で解散したので、ミルとロイと共に食堂に向かったのだった。
食堂に到着すると、寮の食堂が小さく感じるほど大きかった。
食堂は食券を買って、注文するらしく寮の直接注文するよりも効率よく回す事が出来るようだ。
品揃えもこちらの方が圧倒的に多く、沢山の人がいた。
皆で注文すると席に着いて待つ。
「で、マミは何でこんな時期に編入して来たの?」
「え、っと…それは…」
「姉さん、人にはそれぞれ事情があるんだから余り無理に聞いちゃ悪いよ」
「ごめんね?」
「いいのよ、無理に聞いてごめんね?」
「あ、料理が来たよ」
そう言うミルの視線の先を見た。
ウエイトレスの様な服装の人が、銀のプレートに載せた料理を運んできた。
私はパスタをサッパリとしたクリームで味付けした物、ミルは美味しそうなケチャップで星の書かれたオムライス、そして、さらにロイはハンバーグとエビフライにライスの付いたセットを頼んだみたい。
さすが男の子、よく食べるなぁ。
そう思って、エビフライを食べるロイを見ていると、何を勘違いしたのかフォークに刺したエビフライをこっちに向けて差し出してきた。
「食べる?」
「えっ…えっと…」
「見てたでしょ?食べたいのかと思って」
「それは…」
「そんなに悩まなくても食べちゃえばいいのよ。ロイがこんな事言い出すなんて珍しいのよ?」
「うん…ありがとう」
お礼を言って差し出されたエビフライを口に入れて尻尾の殻の付いた部分を噛み切ってモグモグと口の中で咀嚼していると、二人が急に大人しくなった。
「ん?…モグモグ…どうしたの、二人とも?」
「え…っと…」
「うん、何でもないよ」
「…マミ、私のオムライスも食べない?はい、アーン」
そう言ってスプーンで一口分掬うとミルが差し出してきたので有り難く頂く。
「う…モグモグ、うん、美味しいね」
「…あーもう我慢できない!」
突然、ミルがガバッと机越しに抱き付いて来た。
「み、ミル!?」
「だってこんなに可愛いのよ!?もう、ホントほっぺを膨らましてモグモグしている所なんか小動物みたいで可愛い!」
「いや…まぁ、そうかもしれないけど…」
こうして、生徒の沢山いる食堂の中心で女の子に抱き付かれると言う恥ずかしい目に、初日からなったのでした。
次回をお楽しみに!