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第4話 王!?

1000アクセス突破! 有難う御座います!!













「ん…」


小鳥の囀りが耳に入って目を開けるとそこには見慣れた自室の天井…ではなく、天蓋付きのベッド。

起き上がって暫く思考の海を漂い、再びベッドに倒れ込む。


「ハァ…そうだよ…もう、戻れないんだよね…」


そう呟くと枕をギュッと抱き締めた。

暫くゴロゴロしていると、クスクスと笑い声が聞こえて来たので視線を向けると、そこには大変セクシーな胸元の開いたネグリジェを着て、頬杖をついたミレーヌさんが口に手を当てて上品に笑っていた。


「マミ、貴女は本当に可愛いわ。食べちゃいたい位よ?」


「た…食べる!?」


「フフ…さぁ、そろそろ起きましょう?朝食を取ったら準備して、お昼前には城に行きたいわ」


「…ハイ…」


ミレーヌさんは私の手を引いてベッドから降りてシャワールームに放り込むとどこかへ行ってしまった。


「ハァ…シャワー浴びよう」


ミレーヌさんに借りた可愛い子供用だろうか、見た事の無い動物の絵柄のパジャマを脱ぎ、下着もサッと脱ぐと側の籠に放り込んだ。

昨日ミレーヌさんに教えて貰ったのだが、シャワーは向こうと殆ど変わらない。

この世界の文化がどこまで進んでいるのかは分からないが、魔法を使っているのだろうか?

温かいシャワーを頭から浴びて溜め息を吐く。


「私、この先どうすればいいんだろう?」


ミレーヌさんはああ言ってくれたけど、頼りっ放しって言うのも自分が我侭な人間になった気がして嫌だった。


「考えても仕方ないよね…」


キュッとシャワーのコックを閉めると、心地の良い水流から抜け出した。















今、私がどこにいるかと言うと…何とお城の中です。

学院から左程離れていない所に馬車で着くと門に近付いただけで門番が大声で「開門!」と言って何の確認もする事無く城に入った。

ミレーヌさんって何者なんだろう?学院長ってそんなに権力のある立場なのかな?

すると、一際立派な扉の前に立ったミレーヌさんがノックをした。

静かな廊下にミレーヌさんのノック音が大きく響き渡る。


「入るわよ」


中から何の返事もないのにミレーヌさんは大きな扉を開いて私が入ったのを確認して扉を閉めた。


「ようこそ、マミちゃん…で、良いのよね?」


「あ、はい…真美桜花院です」


部屋の中には大きなソファが並び執務机だろうか、巨大な机の奥の椅子には綺麗な女性が座っており、その隣には一人の男性が立っていた。


「私はこのバルトエント最大の国家、パラード王国の王ミラ=マラーヌ=クレドルス=パラードよ」


「この国って女王制だったんですか?」


「女王様とお呼びなさい」


「はい…女王様」


「プッ…女王様って柄じゃないでしょ?アハハ、笑っちゃうわ!」


女王様とミレーヌさんは笑い続けている。

キョトンとして見ていると、女王様の横に居た男の人が口を開いた。


「ミラ様…いい加減にして下さい。ミレーヌ様も、マミ様がお困りですよ?」


「フフ…その子本当に可愛いわ。昨日、貴女から聞いていたけどオドオドしてる姿が特に可愛いわ」


「でしょう?」


また、ミレーヌさんと女王様は笑い出してしまった。


「ミレーヌ様はミラ様のご親戚なのですよ」


「あぁ、申し遅れました。私はミラ様の側近で、この国の宰相のマルス=K=セノールと申します」


流麗な動作で、礼をして自己紹介をしたマルスさんは凄く格好良かった。


「ミラ様、そろそろ話を進めて頂いても宜しいでしょうか?」


「え~でも、マミちゃんともっと…「宜しいでしょうか?」…ハイ」


「…」


怖い、マルスさんの精霊が水だからだろうか?部屋の中の温度が下がっている様な気がする。

ミラ様の精霊である地の精霊は私の後ろに隠れた。(マルスさんがミラ様と呼ぶのでそうする事にした)

どうやら、ミラ様の精霊はマルスさんの精霊はの怒りに怯えている様だ。

クスッと笑うと、三人が頭の上に?を浮かべて私を見た。


「どうかしましたか?」


「いえ、ただ、ミラ様の精霊が怯えているのでマルスさんの精霊の怒りを抑えて上げた方がいいと思います」


「…」


「…」


ミラ様とマルスさんは顔を近づけて小さな声で話していたので何を話していたのか分からなかった。

しかし、話が終わった様でミラ様がこちらを向いて言った。


「精霊が見えると言うのは本当のようね。それなら何の問題も無いわ。貴女が学院へ入る事を許可します。それと、学院での待遇は特待生枠で一年生に編入、代わりに生徒会への入会をお願いするわ」


「まぁ、簡単に説明すると、特待生として学院に入れるのよ。その代わりに生徒会に強制的に入らなきゃならないって事。それについては、貴女の見た目も関係するんだけどね…」


「見た目…?あの、特待生枠って?」


「特待生は国からの支援を受けられるエリートの事よ。学院での受講料や入寮料等の一切を国が負担してくれるの。生徒会については、直接会って聞いた方がいいと思うわ」


「そうなんですか…有り難う御座います」


そう言ってミラ様に笑いかけると、ミラ様は後ろの窓の方を向いて頬を掻いた。


「当然の事よ。準備もあるでしょうから、もう行きなさい///」


「はい、本当に有り難う御座いました」


そう言って後ろを振り向くと部屋から出た。

少し遅れて後からミレーヌさんが出てきて、一緒に城の外へ出た。














城を出て、ミレーヌさんの学院長室に戻ってきて、今、ソファに向かい合わせで座っていた。


「始めに貴女の適性を調べる為に、どんな才能が有るか調べる必要があるわ」


「どうやって調べるんですか?」


「…これよ」


そう言って、ミレーヌさんは一枚の羊皮紙を取り出して机の上に置いた。


「これは、入学前の生徒全員に配られる用紙なの。ここに親指を押し当てればその人の才能を調べてこの枠に浮き上がる様になってるの」


指を指して幾つかの枠を記していく。


「便利ですね」


「まぁ、とりあえず試してくれる?」


「はい」


教えられた枠に親指を押し当てた。


「はい、いいわよ」


ミレーヌさんに言われて手を離すと、大きな枠の方に文字が浮かび上がった。


「えっと…何これ!?魔法学・魔導学・精霊学・魔科学・占い学・実戦型戦闘学…etc、って特殊技能が無いと取れない科目が全部Sランク推薦って…こんなこと初めてよ」


「それって凄い事なんですか?」


「凄いなんて物じゃないわ。貴女は皆がやりたくても出来ない事が全て出来るのよ?」


「は、はぁ…」


気の抜けた返事をしていると、ミレーヌさんは顎に手を当てて考えながら呟くように言った。


「でも、一人につき4~5科目って決まってるのよね…それは決めるしかないわね…マミちゃん、どれがいいか選んでもらえる?」


「はい、あの、魔法学と魔導学、魔科学と魔工学って何が違うんですか?」


「魔法学は魔法を使う訓練をするの。魔導学は、生活に役立つ魔法を開発したり危険な魔法の改善を研究する。魔科学は魔法を原料にして何かを作り出すもので、魔工学は魔法を一般の人にも使える様に道具を作るの。この道具の事は魔具って呼ばれるわ。因みに実戦型戦闘学は、武器や魔法を利用した戦闘を訓練するの。本当はSランク推薦を受けた学科だけ受けるって事も出来るんだけど、今までそれを2つ以上受けた人がいないの」


「そうなんですか…私、魔法学と魔導学、精霊学と…魔工学、あと、実戦型戦闘学がいいです」


「それで良いのね?」


「はい、始めの三つは色々と必要だろうし、魔工学は自分で物を作れるって何か良さそうだし、魔科学はとらなくても魔法学と魔導学を修学してれば出来そうな気がします。実戦型戦闘学は卒業後に外に出た時の為になると思うんです」


「そう、決まったならいいわ。そういう風に専攻しておくから」


「よろしくお願いします」













(じゃあ、私は用意があるから付いていけないけど。ここの隣に学院の女子寮があるから、そこの寮母さんに名前を言って寮の部屋に案内して貰って?部屋には必要な物と、後服なんかも用意しておいたから…明日は制服を着て、八時に寮の前に迎えに行くわ)


「って、言われたけど…この学院の寮って大きいなぁ」


目の前には大きな白い寮が立っている。

それはさながら高級ホテルのようだった。


「すいませーん」


「はい、あら、どちら様?」


「あの、私、今日からお世話になる真美桜花院です」


「あぁ、話は聞いてるわ。本当に可愛い子ねぇ」


寮母さんは優しそうなおばさんだった。

そんなに歳ではないのか、見た目よりもやる気が滲み出して来るのを感じた。


「さぁ、いらっしゃい。部屋に案内するわ」










部屋に着いた私達は、寮母さんが鍵を開けてくれて中に入れてくれた。

中は結構大き目で、バスルームやベッドルーム、リビングやキッチン等色々設備が充実していた。


「食事は、朝は七時で昼は十二時、夕食は七時半に一階の食堂で摂れるわ。中には自分で作りたいという人もいるからその人達には有料の注文で食材を送っているわ。基本、休みの日以外は昼食は学院内の大食堂で摂るからそのつもりでいてね?」


「はい、有り難う御座います」


「いいえ、では、また明日。お休みなさい」


「お休みなさい」


挨拶をして寮母さんは廊下を歩いて行ってしまった。


「さてと、そうだ。服が用意してあるんだっけ?」


思い出した様に、部屋の端の大きなクローゼットの扉を開いた。


「…」


クローゼットの中には、黒い元の世界の制服に似た制服と…可愛いスカート等の服ばかりだった。









オマケ

部屋をマミが出た後、ミレーヌはミラに声を掛けた。


「マミの笑顔にやられちゃった?」


「///そ、そんな事ないわよ!」


「あらあら…私は昨日の夜から今朝にかけて可愛い寝顔をたっぷりと鑑賞したからバッチリだけど♪」


「…マミちゃん今晩貸しなさいよ」


「残念でした。今晩からマミは寮に入るのよ」


「…っ」


ミレーヌが背を向けて部屋を退室して言った後には、悔しそうな顔のミラが残されていた。


「ミレーヌ様にも困ったものですね…ミラ様」


「何よ?」


「マミ様は学院にずっといらっしゃる訳では有りません。長期休暇等を利用してお呼びすれば宜しいかと…」


「そうね…その手があったわ!」


「はい」


今は、五月の上旬。

後3ヶ月ほどで、夏休みに入る。


「夏休みが楽しみね!」


こう言って、優秀な側近はこれを餌に仕事を進める算段が出来ていたのだった。











元の世界と時間、一年の長さ等はほぼ同じ設定となっております。

次回をお楽しみに!

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